ご家族が亡くなった方は、悲しみの中でさまざまな手続きをすることになります。
お亡くなりになった方が年金を受給されていた場合、年金の手続きも必要です。
しかし、亡くなった方がまだ受け取られていない「未支給年金」を請求すれば、その分をご遺族が受け取れることは意外と知られていないようです。
また、受給されていなかった方でも未支給年金が発生するケースもあります。
このページでは、未支給年金の基本的な知識と手続きなどについて解説します。
未支給年金を請求できる年金の種類
- 国民年金(受給されていたすべての方)
- 厚生年金・共済年金(会社員・公務員だった方)
- 企業年金(勤め先で企業年金基金に加入していた方)
- 国民年金基金の年金(基金に加入されていた自営業の方)
国民年金や厚生年金・共済年金といった公的年金を受給されていた方が亡くなった場合、ほとんどのケースで未支給年金が発生します。
また、私的年金である企業年金・国民年金基金でも未支給年金が発生していることがあります。
ここからは、公的年金での未支給分の請求についてご説明いたします。
私的年金の手続きについては、企業年金連合会またはご加入されていた年金基金のサイトでご確認ください。
未支給年金は誰が請求できる?
未支給年金を請求できるのは、死亡した受給権者と生計を同じくしていた3親等以内の親族です。
請求者の優先順位
請求できる方には優先順があります。
優先順が高い人がいる場合、順位の低い人は受け取ることはできません。
請求できる優先順
- 配偶者
- 子
- 父母
- 孫
- 祖父母
- 兄弟姉妹
- 上記以外の3親等内の親族
※数字が小さいほど優先度が高い
同順位者が2人以上いる場合
同じ優先順位の方が2名以上いる場合は、1人が全員を代表して受け取るものとして支給されます。
未支給期間は通常1~3カ月分
未支給期間が発生するのは、公的年金が2カ月に1回、前月分・前々月分を後払いする仕組みのためです。
発生する未支給期間は、亡くなった時期によって以下のように変わります。
死亡日 | 未支給分 |
---|---|
奇数月 | 2カ月分(当月・前月分) |
偶数月前半 (支給日前) |
3カ月分(当月・前月・前々月分) |
偶数月後半 (支給日後) |
1カ月分(当月分) |
支給日は原則として偶数月の15日です(曜日によって前後します)。
繰り下げ受給待機中でないかを確認しましょう
亡くなった方が65歳以上で公的年金を受給されていなかった場合、繰り下げ受給の待機期間中でないか確認しましょう。
「繰り下げ受給」とは、国民年金・厚生年金の受給開始年齢を遅らせるほど、月々の受給額を増やすことができる制度です。
亡くなった方が繰り下げ受給を選択されていて、まだ受給が始まっていなかった場合(受給待機中)、65歳から亡くなった月までの全期間分を請求できます。
※繰り下げ分の増額はありません
繰り下げ受給の詳細はこちら
未支給年金の請求手続きの流れ
年金を受給している方が亡くなったあと、ご遺族が行う年金の手続きの流れは以下のとおりです。
ご遺族が行う年金の手続き
- 年金の支給停止手続き※
- 未支給年金の請求
- 遺族給付の請求
※年金機構に個人番号(マイナンバー)が収録されている方は省略可能
1.年金の支給停止手続き
- 窓口:年金事務所または年金相談センター
- 必要書類:年金受給権者死亡届、亡くなった方の年金証書、死亡の事実を明らかにできる書類(戸籍抄本、死亡診断書等)
- 期限:国民年金は死亡日から14日以内、厚生年金・共済年金は死亡日から10日以内
ご注意ください
支給停止手続きは、市区町村役場の戸籍課に提出する死亡届とは別に行う必要があります。
停止手続きをしないと不正受給となってしまうので、必ず手続きをしましょう。
2. 未支給年金の請求
未支給年金の請求先
請求先は、受給していた年金の種類によって、以下のように変わります。
受給していた年金 | 請求先 |
---|---|
老齢基礎年金、老齢厚生年金、旧法国民年金、旧法厚生年金、障害厚生年金、遺族厚生年金 | 年金事務所 |
障害基礎年金、遺族基礎年金、寡婦年金 | 市区町村役場の国民年金課 |
退職共済年金、障害共済年金、遺族共済年金 | 加入されていた共済組合 |
必要書類
請求に必要となる書類は以下のとおりです。
- 未支給年金請求書
- 亡くなった方の年金手帳・年金証書
- 戸籍謄本
- 亡くなった方の住民票除票
- 請求者の世帯全員の住民票
- 振り込み先の通帳・キャッシュカード
※請求先により必要書類が異なる場合があります。詳細は請求先窓口でご確認ください。
期限
未支給年金の請求期限は5年以内です。5年以内に請求を行わなかった場合、未支給分は時効となってしまいます。
亡くなった方が繰り下げ受給待機中だった場合、時効の起算が65歳からとなるので、早めに請求しましょう。
3.遺族給付の請求
ご遺族に支給される遺族基礎年金、遺族厚生年金、寡婦年金、死亡一時金などをまとめて「遺族給付」といいます。
遺族年金・寡婦年金の時効は5年、死亡一時金の時効は2年です。
遺族給付の詳細はこちら
未支給年金と税金の関係
未支給年金に相続税はかからない
公的年金・私的年金ともに、未支給年金はご遺族の所得扱いとなります。
そのため受け取った相続財産とはみなされず、相続税の課税対象外となります。
同じ理由で、相続放棄をした方でも未支給年金を受け取ることができます。
ただし、私的年金(企業年金やiDeCo、個人年金保険など)から受け取った遺族一時金・遺族年金は相続財産とみなされ、課税対象となります。
確定申告が必要
前述のとおり、受け取った未支給年金はご遺族の所得となるため、一時所得として確定申告をする必要があります。
一時所得には50万円の特別控除があるので、その他の一時所得と合算して50万円を超えなければ所得税はかかりません。
その他の一時所得の例
- 保険の一時金や返戻金
- 懸賞や福引き、クイズなどの賞金
- 競馬や競輪の払戻金
- 法人から贈与された金品
- 遺失物を拾ったときのお礼金 など
安心して老後に備えるための方法
年金はご自身の老後の収入の基盤となるだけでなく、亡くなった後には遺族年金として残されたご家族にとっての大切な支えとなります。
しかし、ご自分が受け取れる年金や遺族年金の額を知っている方はあまり多くありません。
あなたの老後やお亡くなりになった後に備えるには、まず公的保障を正しく知り、しっかりとした生活設計を立てる必要があります。
そんなときに頼りになるのが、生活設計や公的保障制度などの知識を持った、お金のプロ・FP(ファイナンシャルプランナー)です。
FPに相談をすれば、あなたの受け取れる年金の目安や、将来設計がクリアになります。
保険マンモスでは優秀なFPを無料でご紹介しています。わからないことは何度でも丁寧にご説明するので、安心してお申し込みください。
FP(ファイナンシャルプランナー)に相談することをおすすめします。
執筆者プロフィール
三嶋裕貴
2級ファイナンシャル・プランニング技能士。出版社に勤務したのち、保険マンモス専属ライターとして入社。
お金の失敗を防ぐための保険選びや見直し方、資産運用などの記事を執筆。
【無料】 保険相談:お急ぎの方はこちら
〜特長を1ページにまとめています〜
保険マンモスのおすすめサービス
保険マンモスの【無料】 保険相談をシェア
気に入ったら いいね!
気に入ったら
いいね!
保険マンモスの最新情報をお届けします