「医療保険は不要」という噂を耳にしたことはありませんか?
なぜこのような噂が流れるのでしょうか。
日本の公的保障が充実しているからというのが、その理由のひとつにあるようです。
公的保障とは、国民健康保険等の「公的医療保険制度」のこと。医療費が助成される制度ですね。
では、実際に「医療保険は不要」と考え、医療保険に加入していない人はどれくらいいるのでしょうか。
生命保険文化センター※1によると、生命保険の世帯加入率は89.8%※2。そのうち、医療保険や医療特約の機能を持つ保障に加入している世帯は93.6%※3。
単純に掛け合わせると、日本で医療保険や医療特約などの民間医療保険に加入している世帯は84.1%となります。
実際に医療保険に加入していない世帯は2割にも届いていません。「医療保険は不要」と考えている世帯は少数と考えて良いかもしれませんね。
しかし、医療保険は保険料を支払わなければいけません。保険料を支払う価値があると判断できなければ、「医療保険は不要」という疑惑を払拭できませんよね。
そこでここでは、医療保険に加入する必要があるのか、検証してみます。
- ※1 生命保険文化センター 2021(令和3)年度「生命保険に関する全国実態調査」
- ※2 全生保
- ※3 かんぽ生命を除く
実際にかかる医療費自己負担額はいくら?
まず、実際に病気に罹患した場合の治療費と自己負担金額を算出してみましょう。
実際に治療にかかる費用から公的医療保険を引くと、自己負担金額になります。
部位別がん罹患数で男女合計して一番罹患者数の多い※女性の乳がんを例にし、まずは治療にかかる費用、次に公的医療保険、最後に自己負担金額の順で算出していきます。
参考モデル
年齢 50歳
性別 女性
職業 正社員
疾病 乳がん
※公益財団法人 日本対がん協会「がんの部位別統計」(2018年)
実際に治療にかかる費用
乳がんの治療の流れ(下記)に沿って治療費を算出すると、約240万円になりました。
乳がんの確定診断 → 入院・手術 → 術後の治療(放射線療法、ホルモン療法、抗がん剤治療)
詳細は下表の通りです。治療は進行度合いや体調、年齢、個人の考え方や病院の治療方針等によって大きく異なりますので、あくまでも一例です。
入院・手術:治療費(温存手術) | 約77万円 |
---|---|
入院・手術:食事代、差額ベッド代※1(7日間入院) | 約2万円 |
術後・退院後:放射線療法 | 約40万円 (5日間×5週間。計25回照射) |
術後・退院後:ホルモン療法 | 約47万円 (週1回、1年間) |
術後・退院後:抗がん剤治療 | 約67万円 (6か月)※3 |
逸失収入※2(入院期間7日間分) | 7万円 |
合 計 | 約240万円 |
- ※1食事代は1日460円(国による規定)、差額ベッド代は4人部屋1人あたり1日2,440円(厚生労働省「主な選定療養に係る報告状況」より)として換算
- ※2生命保険文化センター 令和元年度「生命保険に関する全国実態調査」
- ※3週に1回を4ターンと、毎週1回を12ターンの併用の場合
逸失収入とは、入院に伴い収入が減った場合の、本来得られるはずだった収入額です。治療費ではありませんが、失うお金として計上します。
公的医療保障を適用した後の自己負担額
では、治療にかかる約240万円から、公的医療保険で補てんされる分を引いていきましょう。すべて公的医療保険で賄えれば、民間医療保険は不要ということになります。
結論から言いますと、「高額療養費制度」を適用することで自己負担額は190,530円になりました。
計算式は下記です。
高額療養費:80,100円+(医療費2,310,000円※-267,000円)×1%=100,530円
「入院・手術:食事代、差額ベッド代」+「逸失収入」=90,000円(7日分)
100,530円+90,000円=190,530円
(標準報酬月額28万~50万円の場合。医療費総額は健康保険適用前のもので、入院時(7日間)の食事代・差額ベッド代および逸失収入を除いた金額です。)
ここで落とし穴があります。それは、病院窓口で87万円を実費で支払う※可能性があること。
高額療養費制度は事前に申請していないと後から自己負担限度額の超過分が還付される仕組みのため、窓口では健康保険適用後の医療費3割負担分87万円を、実費で支払わなければいけない可能性があるのです(高額療養費制度について、詳細は後述します)。
さらに、治療等で働けなくなった場合には収入がなくなることもあります。
※この金額は一括払いではなく総額です
民間保険で自己負担額をどれくらい減らせる!?
さて、いま課題になっているのは、自己負担額190,530円と、窓口で支払う実費の87万円、治療で働けなくなった場合の収入減少ですね。
民間医療保険でこれらの課題を払拭することはできるのでしょうか。
結論から言いますと、自己負担額をなくし、窓口で支払う実費を全額保険で賄い、収入減少を補うことが可能でしょう(ただし、加入する保険商品や、契約内容によって大きく異なります)。
特約を付けていなくても、入院・手術費用は医療保険の主契約のみで賄える可能性が高いです。特約を付けると、通院費用も補てんできるでしょう。
心配なのは、窓口で支払う実費と、収入減少への対応ですよね。
例えば特定疾病特化保障(後述)でがんと初めて診断されたときに100万円の給付がある特約をつけていると、給付金は申請から1週間程度で支払われるのが一般的です(郵送の場合に保険会社に申請書到着後約5日後等、保険会社によって規定があります)。
この給付金で、実費で発生する自己負担額を給付金で賄うことができ、収入減少をある程度補うこともできます。
高額療養費制度であとからお金が還付されるので、その分でさらに収入減少への補てんを手厚くできます。
さらに、高額療養費制度の適用外である差額ベッド代や入院時の食事費用や、体調不良で食事が作れない場合の食事費用や通院の交通費等、さまざまな負担を賄うことができます。
保険料を支払っても民間医療保険に入る必要はある?
民間保険に加入する場合は保険料を支払う必要があります。そのため、保険料とのバランスを考える必要があります。
先述のモデルケースに当てはめてみましょう。
乳がんの罹患者が多い年齢は、40代後半~50代前半※1です。
30歳で保険料月額5,000円の医療保険※2に加入し、50歳で乳がんに罹患した場合、支払った保険料総額は720,000円です。
個人の考え方にもよりますが、自己負担額と窓口で支払う実費を賄え、さらに高額療養費制度での還付金を合わせると、保険料を支払っても民間保険に加入するメリットがあるといえるでしょう。
- ※1独立行政法人国立がん研究センターがん対策情報センター:地域がん登録全国推計によるがん罹患データ(2008年)
- ※2終身医療保険(契約年齢30歳、女性。保険料払込期間60歳満了)。入院日額5,000円、手術給付あり、特約加入(先進医療、三大疾病入院時保険料払い込み免除、三・七大疾病入院一時金1回あたり50万円、通院)の場合
民間医療保険のメリットを最大限にする方法
医療保険は、日進月歩で進化している最新の医療事情を反映して、変化しています。
例えば先述のように、入院日数が短くなり通院で治療を続けることが多くなったため通院保障の内容が変わったり、対象となる疾病や先進医療が見直されたりです。
医療保険に加入したからと安心していると、年月の経過とともに最新の医療に対応できなくなっている可能性もあります。
医療保険の保障を十分に受けるためには、定期的に見直しをすることをお勧めします。
その際、見直し時の年齢の保険料が適用されるため、保険料が上がることを懸念される方もいらっしゃると思います。
年齢が上がるということは、家庭環境も変化していることが多くあります。そのため、生命保険等、ほかの保険も一緒に見直すことで、過剰な保障を付けている場合はそれを削減して保険料の払い過ぎを防ぐことも可能です。
医療保険の見直しの際は、ぜひ、優秀な保険とお金の専門家FP(ファイナンシャルプランナー)をご紹介する保険マンモスをご利用ください。
ご自身の加入している保険が適正か見てもらうだけでも構いません。ご相談は無料ですので、ぜひご検討下さい。
参考情報:公的医療保障と民間医療保険の保障範囲をおさらい
これまで述べてきました日本の公的医療保障と民間医療保険の保障範囲が分かっていると、民間医療保険に加入するか迷った時の参考になりますよね。
そこで、それぞれの保障範囲を表にまとめ、詳細を後述します。
【公的・民間の医療保障範囲】
公的医療保障※ | 民間医療保険 | |
---|---|---|
治療費 | 〇 | 〇 |
手術 | 〇 | 〇 |
入院 | △ | 〇 |
通院費用 | △ | 〇 |
特定疾病特化保障 (がん、脳卒中・心筋梗塞・高血圧性疾患・糖尿病・肝硬変・慢性腎不全 等) |
× | 〇 |
先進医療 | △ | 〇 |
※公的医療保障は、健康保険や高額療養費制度などです
公的医療保障の保障範囲
治療費用に関わる公的医療保障には、主に下記の3種類があります。
- 健康保険の医療費助成
- 高額療養費制度
- 医療費控除
順に見てみましょう。
健康保険の医療費助成
皆さまお馴染みの保障ですね。医療機関でかかった手術や入院、通院による医療費の7割を国が負担し、私たち国民が負担するのは3割になります(70歳未満の場合)。
高額療養費制度
1か月の医療費が、国が定める自己負担限度額を超えた場合、その超過額が支給されるというものです(上限額は年齢や所得によって異なります)。
高額療養費は月単位で計算するため、入院期間が月をまたいでいる場合、金額によっては適用されない場合もあります。
詳細は「高額療養費制度で、医療費負担は軽くなるのですか?」をご参照ください。
医療費控除
1年間に支払った医療費(本人だけでなく家族も含む)が高額の場合に、翌年に確定申告をすることで医療費の控除を受けられるもの。
控除額は下記の計算式で求められます。
医療費控除額(200万円まで) = (1年間に支払った医療費の総額 - 保険金等で補てんされる金額) - 所得合計額の5%(最大10万円)
健康保険の適用有無や先進医療等に関わらず、上記の控除が受けられます。
民間医療保険の保障範囲
民間医療保険に加入することで、公的医療保障があっても発生する自己負担額を減らすことができます。
上表に沿って下記を順に見ていきましょう。
- 治療費や手術・入院費
- 通院費
- 特定疾病特化保障
- 先進医療保障
治療費や手術・入院費の保障
医療費は3割を自己負担しなくてはいけません(70歳未満の場合)。
また、高額療養費制度では、入院中の食事代や差額ベッド代※、見舞いに来る家族の交通費等は保障されません。
これらを民間医療保険で賄うことができるでしょう。
※入院時に1~4人部屋を希望して入室した場合にかかる費用
通院費の保障
昨今の治療は、入院日数は少なく、仕事や通常の生活をしながら通院で治療を継続することが多くなっています。
民間医療保険で、通院にかかる治療費や交通費を補うことができるでしょう。
通院保障は医療保険の特約として加入するのが一般的です。一般的な保険商品の場合、退院後の通院(退院した日の翌日から120日以内の通院に適用等)に適用されます。
給付金額は、日額3,000円~1万円で設定するのが一般的のようです。
特定疾病特化保障
病気には、死因となる確率が高い病気があります。例えば日本人の死因上位は、1位が悪性新生物、2位が心疾患、3位が老衰、4位が脳血管疾患でした※。このうち、老衰以外は病気が原因ですね。
民間医療保険では、これらの病気への保障を手厚くする特約があります。三大疾病特約や七大疾病特約等です。
例えば「がんと初めて診断された場合」に一時金が支払われるなどの保障があります。
上記の保障の場合、一時金の金額は100万円~1,000万円程度までさまざまで、保険会社によって異なります。治療、入院、手術、通院、働けなくなった場合の給与補てん等、さまざまな用途に活用ができますね。
※厚生労働省 令和2年(2020)人口動態統計先進医療保障
治療費が100万円以上かかることが少なくない先進医療。
基本的に、先進医療には公的健康保険が適用されません。
しかし民間医療保険では、先進医療特約をつけることで治療費実費を保障してくれます(保障金額は保険商品によって異なります)。
ただし、治療時に該当の治療法が先進医療として国に認可されている場合に適用されます。
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