「保険と貯金どちらいいの?」「保険は損、貯金は得!」など、保険に加入するときに保険と貯金とでどちらを選ぶべきか考えたことがある人も多いのではないでしょうか。
※ここでの「貯金」とは「預貯金」のことを指しています
どちらも同じ金融商品のひとつですが、それぞれにメリット・デメリットがありますので、どちらか一方だけを選ぶというのは正解ではありません。
ここでは、元募集人である筆者 が実際に体験したことの中で今でも印象に残っていることをお伝えしようと思います。
「保険より貯金」を選んで後悔された30代女性の例
今から10年ほど前、私がまだ生命保険の募集人をしていた頃の話です。彼女は30代独身女性で、新たに保険に加入したいと保険相談に訪れました。
彼女は以前マネー雑誌に書いてあった「保険は無駄!保険料はそのまま貯金に」という記事を見て、保険をすべて解約してその浮いた保険料分を貯金に回していました。
毎月の貯金は4万円、節約をして将来の夢や万が一のためにコツコツ貯めていました。しかし、貯金が20万円を超えた頃に彼女は病魔に襲われました。乳がんです。
乳がんの治療は、外科手術(温存術)、放射線治療、ホルモン療法、抗がん剤治療、リハビリなど長期間にわたり、健康保険が適用されるにもかかわらず、あっという間に貯金は底をついてしまいました。
彼女は仕事を続けながら治療を継続していましたが、治療と仕事の両立が難しくなり仕事量が減ってしまい、その結果収入が減っていきました。なんとか親からの援助で治療は続けていましたが、やはり保険は必要と相談に来たのでした。
しかし、当時彼女はがん治療中でしたので、相談した結果、希望の保険に加入することができませんでした。彼女は「こんなことなら保険をやめるんじゃなかった。あのまま保険を続けていれば給付金を受け取ることができて、ここまでお金の苦労をしなくて済んだのに・・・」と後悔していました。
例えば彼女の場合、もし貯蓄型の保険に加入していたとしたら、お金を貯めながら保障も備えておくという考えで運用していたら、違った未来が待っていたかもしれません。
保険と貯金はバランスを考えて配分することが大切
保険と貯金には、それぞれメリットとデメリットがありますので、どちらかを選ぶというよりもバランスを考えて選ぶことが大切です。
保険のメリット
- 掛け捨て型の商品なら少ない資金で大きな保障を得ることができる
- 貯蓄型の商品なら解約返戻金や満期金などがある
- 生命保険料控除など税制面でのメリットがある
保険のデメリット
- 掛け捨て型の商品の場合、保険を使わなければ保険料が返ってこない
- 貯蓄型の商品の場合、途中で解約すると解約返戻金が支払った保険料総額よりも少なく損をする場合がある
- お金を受け取るときの手続きが難しく時間がかかる(保険金や解約返戻金など)
貯金のメリット
- 流動性が高い(すぐに引き出すことができる)
- 途中でやめても減ることがない
- 利息がつく
貯金のデメリット
- 金利が低くインフレに対応していない ※
- 途中で死亡しても保険金がない(積み立てた分だけ)
- 利息に対して税金がかかる
※将来の物価上昇(インフレ)に対応できず資産が実質目減りしてしまうこと
保険と貯金にはそれぞれこのようなメリット・デメリットがありますので、どちらか一方を選ぶのではなくバランスが重要だということがわかります。
例えば、貯金などの資産が少なく、突然の病気やケガでの大きな出費が心配な方は、貯金をしながらも最低限の保険料でリスクに備えると良いでしょう。逆にたくさんの資産を持つ方であれば、突然の病気やケガでも治療費や生活費の心配はありませんが、相続や贈与などのリスクに備える必要があるでしょう。
まずは保険と貯金のバランスを考えよう
今回ご紹介した女性はあくまで一例ですが、あなたはどう感じましたか?
彼女の貯金が100万円まで貯まっていたら、もしかしたらここまでお金の苦労はしていなかったかもしれません。しかし、逆にがんになっていなかったら、保険に加入しようなんて思わなかったかもしれません。
将来のことは誰にもわかりません。しかし、彼女の例を見てみてもわかる通り、突然の病気やケガに備える方法はひとつにしぼる必要はないのではないでしょうか。
大切なのは自分の生活や収入・資産に合ったバランスを考えることです。保険マンモスでは、お金の専門家であるFP(ファイナンシャルプランナー)に無料で相談できる機会をご提供していますので、お気軽にご利用ください。
執筆者プロフィール
保険マンモス編集部
元出版社の編集者兼ライター2人と、外資系生命保険会社と乗合代理店合わせて約20年の募集人経験を持つライター。全員がFP資格を持ち、保険マンモスのサイト全般の執筆を担当。
執筆:保険マンモス編集部/公開:2020年11月30日
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