火災保険の請求を経験した人は、手続き等がとても面倒だったという感想を持つ方が多くいます。
保険の契約者ご自身と保険会社だけでなく、修理業者も関わってくるため、各所との連携や必要書類の記入などで面倒だと思われるのでしょう。
また、火災保険の保険金で家の修理をするよう持ち掛けて法外な料金を請求するなど、悪徳な修理業者も存在するため、注意が必要です。
ここでは、火災保険の保険金請求方法と注意点、悪徳業者に騙されないためのチェックポイントをご紹介します。
火災保険 請求の流れ
火災保険 請求の流れと登場人物
先述のように、火災保険の請求に関わる人は一般的に、保険の加入契約者ご本人と保険会社、修理業者の3者です。
下表は、火災保険の請求の流れとやるべきこと、それにかかわる人(保険契約者ご本人は全てに関わるため、それ以外)をまとめたものです。
火災保険請求の順番 | やること | 関係者 |
---|---|---|
1.保険会社に連絡 |
|
保険会社 |
2.修理業者に修理依頼・書類作成依頼 |
|
修理業者 |
3.保険会社に書類提出 |
|
保険会社 |
4.保険会社の確認・審査 |
|
保険会社 |
5.保険金の入金 | 保険金が振り込まれているか確認 | 保険会社 |
6.修理工事の開始 | 自己負担額がある場合は修理業者へ支払い | 修理業者 |
※修理後でも保険金の請求はできますが、必ず修理の見積もりが必要になりますので捨てずに取っておきましょう。
火災保険 請求時に提出する書類
火災保険の請求のために保険会社に連絡をすると、保険会社から請求に必要な書類が送られてきます。
保険契約者はその書類に記入したり、必要な書類を取り寄せたりして保険会社に提出します。
火災保険の請求時に提出する書類は下記のようなものです。保険会社や保険金額によって提出書類は変わります。
D~Gは修理業者に記入や写真撮影等をお願いするものです。
- A.保険金請求書
- B.建物登記簿謄本
- C.印鑑証明書
- D.事故内容報告書
- E.損害箇所の写真
- F.修理見積書
- G.損害明細書
※後述しますが、火災保険の請求を利用した悪徳業者による詐欺等の被害が多発しています。万が一、悪徳業者に騙されないために、ご自身でも写真を撮っておくことをおすすめします。
火災保険 請求の2つの注意点
火災保険を請求する際に注意すべきことは下記の2つです。
- 注意点1.火災保険には免責事項がある
- 注意点2.信頼できる修理業者を選ぶ
順に説明します。
注意点1.火災保険には免責事項がある
火災保険には、保険金支払いの対象外となる免責事項があります。
例えば、家屋の腐食や老朽化等、自然劣化による損傷等です。
また、保険契約時に補償範囲としなかったものに関しては、当然ですが補償対象外となります。
例えば、台風の多い地域にも関わらず保険金が安くなるからという理由で風災による被害を補償範囲から外していた場合、建物や家財に損害があっても台風による損害は補償されません。
注意点2.信頼できる修理業者を選ぶ
後述しますが、火災保険の保険金を利用して建物の修理ができるなどと悪徳業者から勧誘され、法外な手数料を請求されてしまう等の被害が相次いでいます。
修理業者は信頼できる業者を選びましょう。
悪徳業者に騙されないポイントは本ページの下部にありますので参考にしてみてください。
火災保険の請求期限と支払期限
火災保険の請求期限は、被害を受けてから「3年以内」。保険法によって定められています。
手続きが面倒そうだからと放置していると請求期限が過ぎてしまうので、早めに保険会社に連絡をしましょう。
また、保険会社が火災保険の保険金を支払う期限も決められています。それは、請求してから「30日以内」。
保険金が支払われる目安日が分かって安心ですね。
保険金支払いが認められても自己負担が必要な場合
火災保険には、保険会社が保険金を支払うと認めても、修理費用の全額を保険金でまかなうことができずに契約者が自分で負担しなければいけない場合があります。
自己負担金額は、加入時に決めた下記2種類の方法のどちらかによって決まります。
- ・免責方式
- ・フランチャイズ方式
「免責方式」は、あらかじめ一定の免責金額(自己負担する金額)を決めて、被害額からその免責金額が引かれて支払われる方法です。
「フランチャイズ方式」は、損害の額が一定額を超えた場合に保険金が支払われる方法です。
両方とも被害額が免責金額以下の場合、保険金は支払われません。
下表は、「免責方式」で免責金額を5万円に設定した場合と、「フランチャイズ方式」で免責金額を20万円に設定した場合で、それぞれ免責金額以下と免責金額以上で支払われる保険金額を試算したものです。
被害金額 | 保険金額 | |
---|---|---|
免責方式 (免責金額5万円) |
フランチャイズ方式 (免責金額20万円) |
|
4万円 | 0円 | 0円 |
19万円 | 14万円 (19万円-5万円) |
0円 |
21万円 | 16万円 (21万-5万円) |
21万円 |
「フランチャイズ方式」は、被害金額が免責金額を超えた場合、「被害金額=保険金額」となります。
悪徳業者が横行!トラブルにあわないためのチェックポイント
火災保険の請求を利用した詐欺等のトラブルが多発しています。
大型台風や洪水等のあとに悪質な修理業者が対象地域の家を訪問して、「火災保険の保険金を利用して、台風で壊れた屋根の修理をしないか」等の文句で誘い、法外な手数料を請求するなどしています。
悪徳業者からの被害事例
独立行政法人 国民生活センターにはこのような被害相談が多数寄せられており、例えば下記のような被害が発生しています。
- 【事例1】
- 契約時に高額な違約金に関する説明がなかった
- 【事例2】
- 工務店に壊れていない瓦を外す細工をされ「黙っているように」と指示された
- 【事例3】
- 事業者の見積もりが杜撰(ずさん)で少額の保険金しか提示されなかった
- 【事例4】
- 保険で修理可能と言われたのに保険金が下りなかった
- 【事例5】
- 保険金で修理工事ができると契約したが、工事が杜撰(ずさん)だった
例えば事例1の場合、詳細は下記のとおりです。
令和元年秋台風の影響で雨漏りをしていたところに、事業者から「火災保険の保険金で修繕ができる」と電話があり、訪問を受けた。
事業者が屋根の損傷箇所を撮影し、約400 万円の工事見積もりを出した。保険申請は事業者がすべて行ったが、「自分たちの存在は保険会社に伝えないでほしい」と言われ、少し不審に思った。
その後、保険会社の鑑定人が家を診て、見積金額全額は出ないと言われた。契約時に違約金の説明はなかったが、書類をみたら工事をしない場合は違約金として保険金の5割を支払うと書いてあり、悪徳商法にひっかかったと思った。契約をやめたい。(2020 年6月受付 40 歳代、男性)
独立行政法人 国民生活センター「「保険金を使って自己負担なく住宅修理ができる」と勧誘されても すぐに契約しないようにしましょう!」より引用
悪徳業者に騙されないためのチェックポイント
悪徳業者は、下記のような手口で誘い、客を騙して利益を得ています。
- ポイント1. 自己負担額がゼロで修理ができると強調する
- ポイント2. 強引に勧誘してくる
- ポイント3. うその理由で保険金の請求をすすめてくる
このようなことがあったら怪しいと思い、独立行政法人 国民生活センターや保険会社に相談しましょう。
保険会社の中には、修理事業者を紹介するサービスを行っている場合もあります。まずは保険会社に連絡して聞いてみるのも良いかもしれません。
保険マンモスでは損害保険と生命保険両方に詳しい、知識と経験が豊富なお金と保険の専門家FP(ファイナンシャルプランナー)をご紹介しています。
火災保険の請求に関する相談とともに、火災保険の補償対象外となる経年劣化によるメンテナンス費用の工面方法なども相談に乗ってくれるでしょう。
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