大人の保険は生命保険や医療保険など、死亡時や病気の時の保障が一般的ですが、子どもの保険というと、学資保険を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
学資保険は保険という名前がついていますが、その目的は教育費の積み立てと、保護者の死亡など万が一の時の保障です。
では大人と同じような生命保険や医療保険を子どもにかける必要はあるのでしょうか。
子どもの場合、医療費は子ども医療費助成制度で中学生までの医療費が無料の自治体が多く、高校卒業までこの制度を設けている自治体もあります。
そのため、お金を払ってまで子どもの保険に加入する必要はないと思っているご家庭もあるのではないでしょうか。
実は、子どもに保険をかけておいた方が安心な場面があります。加入しておけば、想定外の出費でも慌てずに安心ですね。
ここでは、どんなときに子どもの保険が必要か、子どもの保険の種類や保障内容、加入に最適なタイミングをまとめました。
学資保険について知りたい方は「学資保険とは」をお読みください。
子どもに保険が必要なのはどんな時?
子どもに保険が必要なのはどのような時でしょうか。下記のような場面があります。
- 病気やケガでの治療費・入院費・通院費
- 誰かにケガをさせた場合の治療費・入院費・通院費
- 誰かの物を壊した場合の弁償費
- 死亡時の葬儀費用
1と4は子ども自身の病気やけケガ、2と3は第三者に被害を与えてしまった時です。
上記のような状況でも、公的保障でまかなえる場合は、保険の必要はありません。
子ども向け保険の種類と必要性
では、上記のような状況に応じて、どのような保険が必要か、見ていきましょう。
状況 | 公的保障の有無 | 保険の名称 | 保険の必要性 |
---|---|---|---|
病気やケガの治療費・入院費・通院費 | △ | 医療保険・傷害保険 | 中 |
誰かにケガをさせた場合の治療費・入院費・通院費 | × | 個人賠償責任保険 | 高 |
誰かの物を壊した場合の弁償費 | × | 個人賠償責任保険 | 高 |
死亡時の葬儀費用 | × | 生命保険 | ご家庭による |
保険の種類としては、下記4種類の保険が登場しました。
- 医療保険
- 傷害保険
- 個人賠償責任保険
- 生命保険
上記のほかに、1~4の保障+育英費用を詰め込んだハイブリッドタイプ、
5.子ども総合保険
という保険も存在します。
1~5まで、それぞれの保険の内容と必要性について見ていきましょう。
1.医療保険
医療保険は病気やケガの治療費、入院した場合の入院費、通院費のための保障です。
先述のように子どもの医療費は、「子ども医療費助成制度」で中学卒業まで医療費の自己負担がない自治体が多くあります。
そのため、治療費に関しては公的保障でまかなうことができます。
しかし、病気やケガで入院したときなどには、治療費以外に下記のような費用が発生します。
- 入院時の差額ベッド代
- 入院時の食費
- 保護者が付き添う場合のベッド代
- 保護者が付き添う場合の食費
- 病院が遠方の場合、通院のための交通費
子どもが幼いと保護者が入院や通院に付き添うため、収入が減ったり、上記の他にきょうだいの幼稚園への送迎をベビーシッターに依頼する費用等がかかる場合もあるでしょう。
このような、公的保障ではまかなえない費用を、医療保険に加入することで補うことができます。
また、子ども医療費助成制度の対象年齢を超えた場合も、子どもの医療保険への加入を考えましょう。
2.傷害保険
傷害保険は、偶然発生したケガと事故に特化した保険です。
治療費や入院、通院費に関しては、上記の医療保険の場合と同様です。
傷害保険は、後述する個人賠償責任保険とセットになっていたり、特約でつけられる商品もあります。
また、特別支援教育を必要としている子ども向けの傷害保険等、当事者目線で必要な補償を盛り込んだ対象者特化型の傷害保険もあります。
3.個人賠償責任保険
個人賠償責任保険は、第三者にケガを負わせたり、第三者の所有物に損害を与えたりして法律上で損害を賠償しなければならない場合の補償です。
例えば、下記のような場合に補償されます。
- 子どもが自転車走行中に人とぶつかりケガをさせてしまった
- 子どもが友達の家に遊びに行き、テレビを壊してしまった
友達とケンカをして相手にケガをさせた場合等、保険の対象外となるケースもあります。
1~5の保険の中で特におすすめなのが、この個人賠償責任保険です。詳細は後述します。
4.生命保険
生命保険は、死亡時の保障です。一般的に死亡時の保険金は、葬儀費用や残された家族の生活費等に充てられます。
子どもの生命保険の場合、被保険者が子どもで、受取人が親等になります。
子どもが死亡した時の死亡保険金を受け取れるよう生命保険に加入するかどうかは各ご家庭によって考え方が大きく異なります。
ご家庭内でよく話し合って決めましょう。
5.子ども総合保険
保険商品によって名称は異なりますが、子ども向けの保障・補償を組み合わせた総合保険です。
保障・補償内容も商品によって異なりますが、下記のようなタイプが主流です。
- 扶養者が死亡した時の育英費用
- 傷害保険
- 個人賠償保険
- 子どもが死亡した時の葬儀費用
子どもに特化した保険なので、子どもの生活環境に沿ったオプションが充実している商品もあります。
例えば、昨今よく聞くSNSでの誹謗中傷やいじめなどのトラブルに巻き込まれた場合に、弁護士費用をサポートするオプション等です。
子ども総合保険は、幼稚園や保育園、学校から資料をもらうことがあるかもしれません。
注意点は、加入できる年齢が限られているところ。対象年齢が保険商品によって異なります。保障・補償に対する保険料が大人に比べて割安なため、年齢制限を設けているようですね。
おすすめは自転車保険を兼ねる個人賠償責任保険
上記1~5の保険のうち、特に加入をお勧めするのは、個人賠償責任保険です。
その理由は、自転車事故への備え。下図(東京都の例)のように、交通事故全体のうち自転車が関与している事故が占める割合は2017年以降増え続けています。
自転車事故でも数千万円の賠償命令が下ることもあるため、政府は各都道府県に、住民の「自転車損害賠償責任保険」などへの加入義務付けを要請。
一般的に「自転車保険」といわれていますね。
2020年末時点で、この保険への加入が義務化されているのが19都府県(東京都、大阪府、京都府など)。努力義務としたのが10道県(北海道、千葉県、香川県など)です。
自転車保険は、「自転車損害賠償責任保険」等の名称でなくとも、自転車事故に対応した個人賠償責任保険であれば加入していることになります。
運転者自身の傷害補償と、相手への賠償責任が果たせる保険であればよいのです。
確認を!個人賠償責任保険にすでに加入しているかも
個人賠償責任保険は、自動車保険や火災保険等の損害保険の特約として加入するのが一般的です。
そのため、加入中の自動車保険や火災保険の特約としてすでに加入している可能性があります。補償内容をよく確認しましょう。
また、個人賠償責任保険は家族のうち一人が加入していれば、同居している家族全員が補償対象になるため、上記の損害保険の特約としてすでに加入していれば、子どもの個人賠償責任保険に新たに加入する必要はありません。
加入中の保険の詳細がよく分からないという方は多くいらっしゃいます。そんな時は、FP(ファイナンシャルプランナー)に相談するという手もあります。
子ども向け保険の加入タイミング
上記1~5までの保険の加入タイミングをまとめたのが下表です。
医療保険 | ・入院・通院費用が不安な場合:0歳~ ・治療費さえ賄えればよい場合:子ども医療費助成制度の終了時 |
---|---|
傷害保険 | 幼稚園入園ごろ |
個人賠償責任保険 | 小学校入学ごろ |
子ども総合保険 | どの保障・補償を重視するかによって異なる |
生命保険 | 各ご家庭の考え方によりさまざま |
医療保障の場合は、公的保障以外の保障は必要ないと考えるか、公的保障でまかなえない入院費等のリスクに備えるか、ご家庭の考え方によって加入時期が変わります。
傷害保険や個人賠償責任保険は、子どもの活動範囲が広がるのに合わせて加入するのが良いでしょう。
子ども総合保険はさまざまな保障・補償を併せ持ったハイブリッド型なので、どの保障・補償を重視するかによって加入タイミングが決まってきます。ただし、先述のように加入対象年齢が限定されているので注意が必要です。
家族の加入している保険とダブリがないか要チェック!
子どもの保険選びには注意点があります。
それは、すでに家族が加入している保険と重複がないかということ。
個人賠償責任保険や、育英費用等も保障される子ども総合保険は、すでに家族が加入している保険でまかなえている場合があります。
まずは家族がいまどんな保険に加入しているのかを把握したうえで、子どもの保険選びを始めましょう。
保険マンモスには、生命保険や医療保険だけでなく、損害保険の知識も豊富なFP(ファイナンシャルプランナー)が多数在籍しています。
ご家庭の保険を、保障・補償の重複や保険料の払い過ぎがないか、総合的に見て、子どもの保険が必要がどうか、アドバイスが可能です。
子どもの保険について相談するとともに、現在のご家庭の収支と今後のライフプランに合わせて保険や家計の見直しをすることもできます。
子ども向けの保険には先述のように子ども向けならではのオプションがある保険もあるので、たくさんの子ども向け保険からおすすめのオプションもご紹介できるでしょう。
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