執筆:井上雅夫/更新:2012年08月03日
ドイツの車が8割増
最近、街でベンツをよく見かけませんか?ここにきて、日本と欧州(EU)の貿易収支で、初めて日本が赤字に転落しました。ギリシャや南欧の消費低迷と、円高の影響です。
逆にEUからの輸入は、昨年以来前年同月を上回り、5月には、特にドイツを中心に自動車の輸入がナント!80.3%も伸びています。
通常、輸出が増えると通貨が高くなって、輸出そのものにブレーキがかかるのですが、ドイツはマルクからユーロになったお陰で、輸出が増えても通貨高になりません。 ドイツがユーロ圏で一番恩恵を受けているとされるのも、この辺の事情のようですね。
あと、輸入車を安く買える日本人も、恩恵を受けていると言えますね。欧州車を手に入れるなら、ユーロが安い今のうちかもしれません。
日本の輸出は、ドイツの何分の1?
ところで、ドイツの輸出比率(その国のGDPに対する、輸出の大きさ)は50%です。中国は26%、それでは、日本は次のうちどれだと思いますか?
- 50%
- 30%
- 15%
答えは3の15%です。
円高や海外移転などの影響もありますが、リーマンショック前のピーク(2007年)ですら18%です。ドイツや中国に比べて、大きく見劣りしています。
戦後、「メイドインJAPAN」を引っさげて世界を駈けた(はずの)日本のイメージからすると、意外に低いと思われませんか?
例えば1970~80年代、燃費の良いトヨタやホンダが好まれ始めた時代、アメリカは脅威に感じ、「ダンピング」と称して何度も日本の輸出を抑制しました。そんな間に、ドイツは輸出を着実に伸ばしてきたわけですね。
変わるべき日本の国内向けサービス
日本もドイツのように輸出復興に注力を、と言いたい訳ではありません。むしろ、国内マーケットの変化を、つぶさに見る必要があるのではないでしょうか。
日本はGDPにおいて中国とほぼ同額。一方、国土は26分の1ですから、国内マーケットは中国とほぼ同じ消費が、極めて狭いエリアに集中しているということになります。問題はその中身です。
例えば、現在60~65歳の団塊の世代はビッグマーケットといわれ、「団塊の世代が買う商品は売れる」という神話がありました。事実、この世代の成長と共に戦後経済は発展してきました。テレビ、車、エアコン、ウォークマンなどが華やかに売れた時代です。
けれど彼らにも変化がきました。現役時代は横一線だったのが“ばらつきの世代”になったことです。
最近の総務省統計でも、60歳以上の世帯の貯蓄残高は平均が2,287万円であるにもかかわらず、実態は0から5,000万円以上と“幅広くなだらかに”ばらついています。また、仕事観やライフスタイルも相当異なり、購入する商品も極めて多様化しています。
いまや団塊の世代は、ひと塊(かたまり)としてビッグではなく、たくさんの“ニッチマーケットの集合体”になったとも言えます。
ですから、サービスは例えば単に安い、といった安易なメリットばかりでなく、個人のニーズに対していかにマッチしているかということが、今まで以上に評価される時代になっているのです。
世帯主が60歳以上の世帯の貯蓄現在高階級別世帯分布(二人以上の世帯)
総務省「平成23年 家計調査報告(貯蓄・負債編)」
この傾向は、保険の選び方にもいえます。
過去は、定期保険特約付終身保険のように、全ての保障をひとまとめにしたパッケージ商品が売れました。しかし今は、個々のお客様のライフプランとご要望に合わせて、複数の保険会社の商品をキメ細かく組み合わせたプランの提案が求められます。
そのような中で、保険のプロであるFPが、お客様のために果たす役割も、過去に比べてますます大きくなっていると言えるでしょう。
執筆者プロフィール
井上雅夫
住宅メーカーに30年いた経験を生かし、相談者の家計とローン、教育や将来について、分かりやすく親切なアドバイスを心掛ける。グッドヒル・プランニング代表。CFP・ローンアドバイザー・宅建主任。
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