生命保険の加入や、現在加入している保険の見直しを検討されている方が気になるのは、適切な保障を得られるかということと、保険料がいくらになるかということではないでしょうか。
生命保険文化センターによると、1世帯あたりの平均年間払込保険料は37万1,000円※。1ヵ月にならすと、約30,917円です。
毎月3万円以上の支出は、決して安い金額ではありませんよね。
生命保険の加入や見直しの際にどうしても、保険料が安い商品を選択してしまうのは無理もないことかもしれません。
しかし、保険料だけで保険を選んでしまうと、加入当初は満足かもしれませんが、将来的に後悔する可能性があります。
ここでは、生命保険を保険料の安さだけで選ぶとどのような怖いことが起こるのか、そもそも生命保険の保険料はどのような要素で構成されているのか、さらに、気になる「適切な保障を得たうえで保険料を安くする方法」をお伝えします。
※公益財団法人 生命保険文化センター「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査〈速報版〉」個人年金保険を含む
生命保険の保険料を「安さ」だけで選ぶと起こる3つの怖いこと
前述のように、毎月3万円以上を支払っているご家庭が少なくない、生命保険の保険料。
家計への負担を少しでも軽減しようと、保険料の安さだけを重視して保険選び・見直しをすると、将来的に下記のような怖いことが起こる可能性があります。
- 年齢が上がってから保険料が上がる
- 今後、新たな保険に入れなくなる(保障がなくなる)
- 万一の時に受け取る保険金額が不足する
詳細を順にみていきましょう。
年齢が上がってから保険料が上がるかもしれない
保険料が安い保険のひとつに「定期保険」があります。
定期保険は保険期間(その保険で保障が得られる期間)が決まっている保険。保険期間には、10年や15年等の「年満了」と、60歳まで等の「歳満了」があります。
また定期保険は、貯蓄性のない「掛け捨て」タイプがほとんどです。
生命保険の定期保険で掛け捨て・更新型の場合、保険期間満了時に更新をすると、保障内容は同じなのに保険料が上がる可能性が高いです。
というのは、更新時の年齢で保険料が決まるからです。
一般的に保険料は、年齢が上がると高くなります。保険期間10年の定期保険に30歳で加入した場合、10年後の更新時に契約者は40歳になっています。40歳の保険料が適用されるため、値上がりするのですね。
では、いくら値上がりするのでしょうか。
下記条件で試算をしたところ、毎月の保険料は2,600円値上がりしました。
- 加入年齢:30歳
- 性別:男性
- 死亡保険金:3,000万円
- 保険期間:10年
- 保障内容:加入時と同じ
※A生命保険の定期保険(掛け捨て・更新型・保険料払込期間と保険期間は同じ)から試算
年間31,200円、保険期間10年と考えると、10年で312,000円も値上がりします。
更新前と同じ保障にも関わらず、保険料だけがこんなにも上がってしまうのです。
安易に「安い」という理由だけで生命保険を選ぶと、このような事態を招く場合があります。
上記試算を含め詳細は、「定期保険の「自動更新による保険料値上げ」を回避する2つの方法」をご覧ください。
今後、新たな保険に入れなくなるかもしれない
保険に加入できない場合、主に下記のような理由があります。
- 加入検討時に健康状態が良くない
- 過去に病歴がある
- 年齢が加入上限を超えている
上述のように、定期保険の場合は保険期間が満了すると更新が必要です。
更新時には健康告知書を提出する場合があります。その時点で健康状態が悪かったり、保険期間中に病気をしている場合、更新ができないだけでなく、新たな保険に加入できない可能性があります。
年齢が、更新する保険や新たに加入を希望する保険の上限を超えている場合も同様に、新たな保険に加入できないでしょう。
無保険、無保障状態になってしまう危険性があります。
万一の時の保険金額が不足するかもしれない
保険料を安くするために、保険金額(保障額)を減らすという方法があります。
生命保険は、被保険者に何かあった場合に、ご家族の経済的な負担を軽減するために加入するもの。
適切な保険金額に設定をしていないと、ご家族がお金に困ることになってしまいます。
目先の保険料の安さに惑わされず、遺されたご家族が経済的に困ることのないように適切な保険金額を準備しておきたいですね。
適切な保険金額をどのように決めるかは、後述します。
保険料が決まる要素
先述のように、保険料を安くするために、定期保険にしたり、保険金額(保障額)を減らすなどの方法があります。
では、保険料が決まる要素にはどのようなものがあるのでしょうか。
その要素の種類と、各要素ごとの内容を比較し一般的にどちらの保険料が高いか安いか、一覧表にまとめました。
ただし、保険商品やその他条件により下表の通りでない場合もございます。ご注意ください。
保険料構成要素と各要素の保険料比較
要 素 | 保険料 | |
保険期間 | 定期保険 | 低 |
終身保険 | 高 | |
払込期間 | 長い | 低 |
短い | 高 | |
貯蓄性 | 掛け捨て型 | 低 |
貯蓄型 | 高 | |
保障額 | 低い | 低 |
高い | 高 | |
特約 | なし | 低 |
あり | 高 | |
年齢 | 若年 | 低 |
高齢 | 高 | |
健康状態 | 良い | 低 |
悪い | 高 |
保険期間は「保障期間」といわれることもあり、契約している保険の保障が受けられる期間のことです。
払込期間は保険料を支払う期間のこと。
詳細は「保険の「払込期間」と「保険期間」の決め方」をご参照ください。
保険料は、上表の各要素の組み合わせで決まります。
全ての要素で保険料が低いものを選択すれば、一般的には保険料が安い保険に加入することができるかもしれません。
しかし、将来の家族構成やマネープランに即した「適切な保険」になるとは限りません。
適切な保険は、保障内容と保険料のバランスが良い保険です。
では、適切な保険に加入するにはどのように考えればよいのでしょうか。
次章でご説明します。
適切な保障を得て、保険料を安くする方法
保障が適切で、保険料が安い保険が理想ですよね。
では、適切な保障とは具体的にどのようなものか、さらに、保障を適切にしたうえで保険料を安くする方法はあるのでしょうか。順に解説していきます。
適切な保障を得る方法
適切な保障とは、「必要な保険金額(保障額)をみたす保障」といえます。
「保障」には、公的保障と民間保険の二種類があり、「公的保障で得られない保障を民間保険(以下、保険)で補う」というのが、保険の基本的な考え方です。
例えば夫に先立たれた妻には、「遺族年金」が支給されます。保険では、遺族年金が支給されたうえで足りない金額を、死亡保険金で補います。
このように、公的保障でどんなときにどれくらいの金額が支給されるかを把握したうえで保険を選ぶことが大切です。
そうすることで保障の過不足がなく、無駄な保険料の支払いを避けることができます。
適切な保障の保険を選ぶ手順は、下記のようになります。
- 1.ライフプランの作成
- 今後の家族構成や就労、支出の変化をシミュレーションし、各タイミングで起こりうるリスクを知る。
- 2.必要保障額の算出
- 遺族の「今後の収入や資産」と「今後の支出」を比べ、不足金額を求めます。
- 3.公的保障の支給額を算出
- ライフプランの作成で想定したリスクの際に利用できる公的保障の支給額を算出します。
- 4.必要保障額から公的保障を省いた保障額を算出
- 必要保障額から公的保障支給額を差し引いたものが最終的な必要保障額です。
- 5.4の保障額を充たし保険料が適切な保険を選ぶ
- 数多ある保険の中から、必要保障額と希望の保険料が合致する保険を選びます。
これら1~5を全て個人で行うとなると、大変骨の折れる作業ですよね。知識も手間も必要です。
そこで頼れるのが、お金と保険の専門家であるFP(ファイナンシャルプランナー)。
FPへのご相談は無料なので、ぜひ一度ご利用されてはいかがでしょうか。
適切な保障を得たうえで保険料を安くするには
適切な保障を得たうえで、保険料を安くする方法があります。
それは、支払い方法を工夫すること。
例えば下記のような支払い方法があります。
- 年払い・半年払い・一時払い
- クレジットカード払い
「年払い・半年払い・一時払い」は、保険料を月払いせずに一定期間分をまとめて支払う方法です。
こうすることで、支払い保険料総額が安くなります。
年払いや半年払いは、一年単位、半年単位でまとめて支払います。
一時払いは、はじめに保険期間分の保険料を全額一括で支払うことです。支払い保険料総額安くなるだけでなく、解約返戻金のある保険の場合は、返戻率が高くなります。
詳細は下記ページをご参照下さい。
「払い方で保険料が安くなる?年払い・半年払いのメリット・デメリット」
「保険料の一時払い・全期前納とは?」
「クレジットカード払い」では保険料自体を安くすることはできませんが、クレジットカードのポイントを利用して買い物に利用できるなど、お得になる可能性があります。
詳細は下記ページをご参照ください。
お金と保険の専門家であるFPは、先述のような適切な保障だけでなく、保険料をどのように支払えば支払総額を安くすることができるかについても、知識が豊富です。
ライフプランやマネープランの作成、必要保障額の算出、公的保障の支給額、適切な保険プランの作成、お得な支払い方法まで、全て包括して相談が可能です。
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