うつ病になったら保険金は下りる?収入減は民間保険と公的助成金でカバーしよう

                 
うつ病になったら保険金は下りる?

日本のうつ病患者数は増加傾向にあります。

日本の精神疾患を有する総患者数の推移(下図)を見ると、うつ病を含む「気分[感情]障害」の患者数は15年間で約1.6倍になり、419.3万人となりました。

出典:厚生労働省ホームページ

うつ病を疑い病院を受診する際、多くの方が「このまま仕事を続けられないかもしれない」と不安を感じるそうです。

うつ病は中長期的な治療や療養が必要になる可能性があるため、仕事を続けられなくなり、収入が減ってしまう不安があります。

そこで、うつ病にかかってしまったときの経済的な損失を補うための保険や、国による公的助成金についてまとめました。

  • ※本ページに掲載の情報はうつ病に特化しており、統合失調症についての内容は含んでおりません。

うつ病にかかったら仕事への影響はどれくらい?

「うつ病にかかると、治療や療養のために長期的に仕事を休む」というイメージを持っている方は多いかもしれません。

実際はどうなのでしょうか。

厚生労働省の「令和4年 労働安全衛生調査(実態調査)」によると、過去1年間にメンタルヘルス不調により連続1ヶ月以上休業した労働者または退職した労働者がいた事業所の割合は13.3%となっております。

うつ病になった場合、症状の程度によって休職期間は異なります。

まずは治療に専念することが大切ですが、休職や退職によって収入が減ったり、無収入になることに不安を感じる方もいるでしょう。 生活費や治療費をどのように確保すれば良いのでしょうか?

そこで、経済的な不安を解消するための下記2つの方法について詳しく解説していきます。

  • 今入っている保険からの保険金
  • 国が支給する公的助成金

通院・入院は保険金がおりる!?うつ病にかかった場合の保険金

うつ病と診断を受ける前に加入した保険で保険金がおりれば、生活費や治療費を少しは補うことができますよね。

結論から言いますと、「生命保険」や「医療保険」で保険金がおりる可能性が高いです。ただし条件がありますし、保険商品によっては保険金がおりない場合もあります。

また、長期間働けなくなった場合の保障となる「就業不能保険」でも、保険金がおりない場合があります。

保険タイプごとに詳細を見てみましょう。

生命保険・医療保険の場合

生命保険や医療保険では、通院・入院ともに保険金がおりる可能性が高いです。

通院の場合

通院給付がついている保険の場合、保険金がおりるでしょう。ただし下記の場合は対象外となります。

  1. 通院給付の上限日数をすでに満たしている場合
  2. 入院後の通院のみを保障の対象としている場合

保険商品による保障内容や、これまでの給付状況により保険金を受け取れないことがあります。

入院の場合

入院給付金は、うつ病による入院でも保険金がおりる可能性が高いです。ただし、下記の場合は対象外となります。

  • 告知義務違反があった場合
  • 責任開始期前の発症の場合
  • すでに入院給付の上限回数を満たしている場合

保険加入の際に申告すべき疾病等を保険会社に告知しなかった場合、また、加入した保険の保障期間外の場合は、保険金はおりません。

通院給付と同様、加入されている保険の保障内容やこれまでの給付状況によっても、保険金を受け取れない場合はあります。

就業不能保険の場合

病気やけがなどで長期間働けなくなったときに収入を補える就業不能保険では、うつ病等の精神疾患は給付対象とならないのが一般的です。

ただし、入院給付は受けられる可能性があります。

生命保険、医療保険、就業不能保険ともに、加入している保険がうつ病に対応しているかは、各保険会社の問い合わせ窓口にて確認ができるでしょう。

生命保険会社の問い合わせ先一覧はこちら

うつ病にかかった人向けの公的助成金

国も、うつ病にかかって長期間働けなくなった人に治療費や生活費をサポートをする助成金制度を設けています。

主に、下記の4つです。

  • 傷病手当金
  • 自立支援医療(精神通院医療)
  • 重度心身障がい者医療費助成制度
  • 労災保険

順にみていきましょう。

傷病手当金

サラリーマンや公務員の方に、お勤め先の健康保険から支給される手当です。

連続する3日間(待期)を含め4日以上休業した期間で給与の支払いがない人が対象で、支給対象となる期間で一日につき標準報酬日額の3分の2相当額が支給されます。

※自営業の方は対象外となります

うつ病でも支給の対象となります。

傷病手当について詳細は「傷病手当金はどんな時にもらえるのですか?」をご参照ください。

自立支援医療(精神通院医療)

通院で精神医療を受ける人が対象の、公費負担医療制度です。

医療費の自己負担額を減らすことができます。

主に下記のような措置がされます。

  • 公的医療保険での3割負担が1割に
  • 世帯の所得に応じて1か月の上限負担額を超えないようにする

申請および問い合わせの窓口は、お住いの市区町村もしくは精神保健福祉センターです。

申請をして認可されると「自立支援医療受給者証」が交付されます。

重度心身障害者医療費助成制度

心身に重度の障害がある人が病院に受診した際の自己負担金を軽減する制度です。

受給には所得制限がある場合があります。

自治体によって対象となる障害の種類や程度、助成内容が異なりますので、詳細はお住いの市区町村にお問い合わせください。

労災保険

労災保険は、従業員が勤務時間中や通勤中に病気やケガをした場合の公的保障です。

うつ病が労働災害(労災)として認められ、給付を受けるためには、下記の要件をすべて満たす必要があります。

  1. 認定基準の対象となる精神障害を発病
  2. 認定基準の対象となる精神障害の発病前おおむね6か月の間に、業務による強い心理的負荷が認められること
  3. 業務以外の心理的負荷や個体側要因により発病したとは認められないこと

厚生労働省「精神障害の労災認定」より引用

うつ病の労災認定についての詳細は、最寄りの都道府県労働局、労働基準監督署にお問い合わせください。

都道府県労働局・労働基準監督署一覧

うつ病発症後でも保険に入れる?

うつ病になってしまった場合、定期保険や更新型医療保険など更新型保険の「更新」はできますが、「新たな保険(生命保険や医療保険)に加入」するのは難しいでしょう。

新たな保険に加入する場合、一般的な保険よりも審査基準が比較的緩い「引受基準緩和型保険」ならば加入できる可能性があります。

しかし、支払う保険料が割高であったり、一定期間は給付額が半額になってしまったり、付けられる特約が少なかったり、デメリットはあります。

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うつ病にかかる前にしておくべきこと

先述のように、うつ病にかかると中長期的な治療が必要になり、仕事を休む必要が出てきます。

サラリーマンや公務員の方は、保険や傷病手当金を活用することで、休んでいる間のうち一定期間は無収入になる可能性は低いでしょう。ただし、元気に働いていた時に比べて収入額は減るでしょう。

自営業の方は傷病手当金を受けられないため、無収入になる可能性があります。そのため、うつ病になる前に保険に加入しておくと安心でしょう。

サラリーマンや公務員、自営業など雇用形態に関係なく全ての方に言えることは、うつ病になって収入が減ったり無収入になった場合の備えを万全にしておく必要があるということです。

その備えとは主に下記です。

  • 貯蓄額をふやす
  • 家計を見直し、毎月の支出額を減らす
  • 加入中している保険の、うつ病に関する保障内容を把握する
  • 加入中している更新型保険から終身型保険への変更を検討する
  • 新規で保険に加入する場合、うつ病の保障内容を確認する

どうやって貯蓄額をふやすか、保険の保障内容確認やプラン変更などを考える際は、お金の専門知識があると効率的・効果的です。

しかし、いちから専門知識を身に付けるのは大変なことです。

これら全てを、時間と手間をかけずに効果的に行う方法があります。それは、お金の専門家であるFPへの相談。的確なアドバイスと対応をしてくれるでしょう。

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