サラリーマンの方は、自営業の方でも等しく受け取れる「国民年金」の他に、「厚生年金」を受け取ることができます。
さらに一部の企業では「企業年金」に加入しており、その場合は、国民年金、厚生年金、企業年金の3つの年金を受け取ることができます。
企業年金制度がある企業は、全体の47.8%(退職金制度がある企業(全企業の92.6%)のうち、企業年金制度がある会社は51.7%※)。
約半数の企業で企業年金を導入しています。
そこで皆さまが気になるのは、ご自身が企業年金に加入しているか、企業年金がどのような形で受け取れるのか、いつから、いくら受け取れるのか、ではないでしょうか。
ここではこれらの疑問への解説とともに、そもそも企業年金とはなにか、詳細をお伝えします。
※人事院「平成28年民間企業の勤務条件制度等調査(民間企業退職給付調査)」より
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企業年金はいつから、どうやって受け取れる?
年金とは、65歳(厚生年金は段階的に受給開始年齢を65歳に引上げ中)から継続して定期的に給付されるお金のことです。
企業年金も「年金」ですから、年金形式で受け取ることができます。
それだけではなく、一時金形式(一度に全額受け取る方法)を選択することもできます。
下記は、定年退職した場合の企業年金の受け取り開始時期と方法を種類別にまとめたものです。
各企業年金がどんなものか、詳細は本ページ下部「企業年金とは?3種の企業年金の違い」の章をご覧ください。
種類 | 受け取り開始時期 | 受け取り方法 |
---|---|---|
基金型確定給付企業年金 | 60~65歳 |
|
規約型確定給付企業年金 | ||
企業型確定拠出年金 | 60~75歳の希望する時期 |
|
厚生年金基金 | 公的年金の支給開始年齢もしくは60歳 | 年金形式 |
- ※受け取り開始時期や受け取り方法は企業年金のタイプや会社によって異なります。
- ※厚生年金基金が解散等で制度変更された場合は、受け取り方法が一時金形式になる場合があります。
受け取り手続き窓口
- 基金型確定給付企業年金(基金型DB):各企業年金基金
- 規約型確定給付企業年金(規約型DB):会社を通じて契約している信託銀行や生命保険会社等
- 企業型確定拠出年金(企業型DC):運営管理機関
- 厚生年金基金:加入期間10年以上の場合は各厚生年金基金、加入期間10年未満または解散した厚生年金基金の場合は企業年金連合会
企業年金の受取りには、条件が設けられている場合があります。
各企業年金の受取条件については、後述の「加入している企業年金の確認方法」に記載の方法にて確認ができます。
企業年金に加入している?いくら受け取れる?企業年金の確認方法
老後資金は少しでも多い方がよいですよね。
企業年金に加入していれば年金額がふえる可能性があるので、ご自身やご家族がどの企業年金に加入しているか、そしていくら受け取れるか、確認しておきましょう。
そもそもお勤めの会社が企業年金を利用しているのかを知りたい方は、人事や総務担当者に聞いてみましょう。
加入している企業年金の確認方法
在職中の場合
種類 | 確認方法 |
---|---|
確定給付企業年金 |
|
確定拠出年金 |
|
厚生年金基金 |
|
退職済・転職後の場合
種類 | 確認方法 |
---|---|
確定給付企業年金 |
|
確定拠出年金 |
|
厚生年金基金 |
|
会社を中途退職した方は、それまで加入していた企業年金の記録等が「企業年金連合会」に移管されている可能性があります。
インターネットで確認ができますので、参考になるかもしれません。
企業年金はいくらもらえる?
企業年金はいくらもらえるのでしょうか。
加入している企業年金の種類や拠出額・会社によって異なりますが、目安として年間支給額の平均は
確定給付企業年金(基金型):58.2万円
確定給付企業年金(規約型):98.6万円
というデータがあります※。
ただし、受け取る額は基本的に、給与額と加入期間によって変わりますので、ご注意ください。
また、確定拠出型年金の場合、給付額は掛け金の額や運用商品・運用結果により大きく異なりますので、ご自身の「お取引状況のお知らせ」などでご確認ください。
※企業年金連合会サイトより(令和2年度末現在)
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企業年金とは?3種の企業年金の違い
これまで企業年金がいつ、どうやって、いくらもらえるのかをお伝えしましたが、そもそも企業年金とはなんでしょうか。
日本の年金制度についてお話しすると分かりやすいでしょう。
サラリーマンの場合、国民年金のほかに会社で加入する厚生年金保険(以下、厚生年金)が受け取れます。
国民年金に厚生年金が上乗せされるので、受け取る額も国民年金のみの場合よりも多くなります。
このことから、日本の年金制度は「2階建て(1階が国民年金、2階が厚生年金)」といわれています。
これに加え、企業によっては、さらに上乗せされる仕組みを設けている場合があります。それが「企業年金」です。
企業年金に加入していると、国民年金、厚生年金、企業年金と、年金は3階建てになります。
企業年金のひとつが「厚生年金基金」。名前を聞いたことがある方は多いと思いますが、実はこの制度、実質廃止になっており、現在は新規で加入することはできません。
「厚生年金基金」制度の実質廃止により、ほかの企業年金である「確定給付企業年金」への移行や「企業型確定拠出年金」への加入が増え、サラリーマンが加入できる企業年金は多様化しています。
企業年金の主な種類は下記の3種です。
- 確定給付企業年金
- 企業型確定拠出型年金
- 厚生年金基金
順にみていきましょう。
1.確定給付企業年金
3種のうち最も加入率の高い企業年金で、2002年4月に新しく始まった制度です。
掛け金の負担も運用も企業が行い、運用の結果、もし元本割れとなった場合でも、企業と社員が約束した給付金額を受け取ることができます。
確定給付企業年金には下記2つのタイプがあります。
- 基金型
- 規約型
「基金型」は、企業が厚生労働大臣の認可を受けて法人を設立し、その法人が管理・運用を行うもの。預かった掛け金を管理・運用する法人を「年金基金」といいます。
「規約型」は、企業等が会社と社員合意の年金規約を作成し、厚生労働大臣の承認を受けて管理・運用を行うものです。
2.企業型確定拠出型年金
掛け金を積み立てるのは企業、金融商品の選択と運用は社員が行う企業年金です。
金融商品は投資信託、保険などです。
確定給付企業年金と違って運用を社員が行うため、もし元本割れになったとしても、企業はその責任を負うことはありません。
その代わり、運用によっては大きな利益を得られる場合もあります。
3.厚生年金基金
公的な企業年金制度として始まった厚生年金基金ですが、2014年4月以降は新規の加入はできず、実質廃止となっている企業年金制度です。
以前に加入した企業年金がすでに解散している場合や、転職等で中途脱退している場合は、先述のように「企業年金連合会」に移管されている可能性があります。
老後のお金をどう貯める?
ゆとりのある老後を送るためには、夫婦二人で3,000万円が必要といわれています。
どうやってこの大金を貯めればよいのでしょうか。途方に暮れる方は少なくないと思います。
多くの場合、企業年金だけでは残念ながら3,000万円には届きません。
すでに企業年金を導入している企業にお勤めの方は、下記のようなことが気になるのではないでしょうか。
- 自分はいくらもらえるか
- その金額で老後資金は足りるか
- ほかに老後資金を蓄える効果的な方法はないか
企業年金のほかに老後資金を蓄える方法としてはほかに、iDeCoやNISA、個人年金保険等があります。
どのようにして老後資金を貯めるか、決める際に強い味方になるのが、お金の専門家であるFP(ファイナンシャル・プランナー)。
加入中の企業年金でいくらもらえるか等も含め、年金や老後資金について、疑問点を解決できるでしょう。
でも、一言でFPといってもその知識やスキルには個人差があります。
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