
「がん保険って、毎月の保険料を考えると、本当はいらないんじゃないかな…」
高額療養費制度もあって、医療費の負担は昔より軽くなったと聞く。そう考えると、保険料がもったいないと感じるのは、至極もっともなことです。実際に、合理的な判断として「不要」と結論づける声も少なくありません。
しかし、その判断の先に、本当に「後悔しない未来」は待っているでしょうか?
もし、がんと診断された時、お金の心配が頭をよぎり、治療法の選択をためらってしまったら。もし、治療費の捻出に追われ、心穏やかに治療と向き合う時間を失ってしまったら。
この記事では、多くのサイトが語る「治療費はいくらかかるか」というお金の議論だけにとどまりません。がんという病気が、私たちからお金以上に大切な「時間」と「選択肢」を奪う可能性があるという事実を直視し、がん保険が持つ本当の価値を解き明かしていきます。
この記事を読み終える頃には、巷の情報に惑わされることなく、「自分にとっての正解」が明確になり、自信を持って明日からの行動に移せるようになっているはずです。
「お金のプロ」、FPを【無料】でご紹介
日本最大級、4,500人以上の優秀なFPと提携する保険マンモス。
お客様に最適なお金のプロを、保険マンモスのオペレーターがマッチングして【無料】でご紹介いたします。
「がん保険はいらない」と言われる3つの理由と、その“落とし穴”
まず、なぜ「がん保険は不要」という意見が出てくるのか、その代表的な3つの理由を整理しましょう。多くの方が納得する理由ですが、それぞれに考慮すべき“落とし穴”も存在します。
理由1:公的保険(高額療養費制度)で治療費は抑えられるから
これは不要論の最大の根拠です。日本の公的医療保険には「高額療養費制度」があり、医療機関で支払う医療費の自己負担額が、年齢や所得に応じて定められた上限額を超えた場合、その超えた分が払い戻されます。
例えば、年収約370~770万円の方(70歳未満)の場合、1ヶ月の自己負担上限額は「80,100円+(総医療費-267,000円)×1%」で計算されます。仮にがん治療で100万円の医療費がかかっても、窓口での支払いは約8万7千円で済むため、「高額な治療費も怖くない」という理屈です。
落とし穴:制度の対象は「保険適用の治療費」のみ
高額療養費制度は万能ではありません。この制度がカバーするのは、あくまで健康保険が適用される診療にかかる費用のみです。がん治療では、以下のような保険適用外の費用が発生するケースが少なくありません。
- 先進医療にかかる技術料
- 差額ベッド代
- 入院中の食事代の一部
- 通院のための交通費・宿泊費
- その他、ウィッグ代やサプリメント代など
これらの費用は全額自己負担となり、高額療養費制度の対象外です。「制度があるから安心」と過信していると、想定外の出費に慌てる可能性があります。
理由2:若いうちは、がんになる確率が低いから
生涯でがんに罹患する確率は、男性65.5%、女性51.2%(2019年データ)と非常に高く、「2人に1人」と言われる時代です。しかし、そのリスクは年齢とともに上昇するため、特に20代や30代の罹患率は低い傾向にあります。そのため、「確率の低いリスクに保険料を払い続けるのは非合理的」という考え方です。
落とし穴:ライフプラン形成期のがん罹患は経済的ダメージが大きい
確率は低いとはいえ、ゼロではありません。若年層に多いがん(子宮頸がん、乳がん、白血病など)も存在します。結婚、出産、住宅購入といった大きなライフイベントを控える時期にがんと診断されると、治療による収入減やキャリアの中断が、その後の人生設計に与える影響は計り知れません。リスクの「発生確率」だけでなく、「発生した場合のインパクトの大きさ」も考慮する必要があります。
理由3.:保険料を払う分、貯蓄した方が合理的だから
月々数千円の保険料も、20年、30年と払い続ければ数十万~百万円単位のまとまった金額になります。「このお金を保険会社に払うのではなく、自分でコツコツ貯蓄しておき、万が一の時に使った方が合理的だ」という考え方です。
落とし穴:計画通りの貯蓄と、有事の冷静な判断は難しい
「毎月必ず一定額を貯蓄し続ける」という強い意志を維持できるでしょうか。また、いざがんと診断された時、あなたはパニックにならず、冷静に「この貯蓄を治療費に充てよう」と判断できるでしょうか。診断直後の精神的動揺の中で、大切に貯めてきたお金を取り崩す決断は、想像以上に心理的な負担が大きいものです。
データで見る「がんとお金」の不都合な真実|公的制度の“死角”とは
「高額療養費制度があるから大丈夫」という安心感を、少し厳しい視点で見つめ直してみましょう。ここでは、公的制度ではカバーしきれない「お金」に関する不都合な真実を、具体的なデータとともに解説します。
死角①:治療費以外にかかる「見えない自己負担費用」リスト
がん治療には、健康保険が適用されない、あるいは一部しか適用されない費用が数多く存在します。これらはすべて高額療養費制度の対象外です。
費用の種類 | 内容 | 目安金額 |
---|---|---|
先進医療費 | 厚生労働大臣が定める高度な医療技術。技術料は全額自己負担。 | 数十万~数百万円(技術による) |
自由診療費 | 国内未承認の抗がん剤や治療法など。全額自己負担。 | 数十万~数千万円以上 |
差額ベッド代 | 1~4人部屋など、希望して個室に入院した場合の室料。 | 1日あたり平均6,614円 |
入院中の食事代 | 1食あたり460円(所得や状況により減額あり)。 | 1日3食で1,380円 |
QOL向上費用 | 抗がん剤副作用のためのウィッグ代、サプリメント代、気分転換の費用など。 | 数万~数十万円 |
交通費・宿泊費 | 遠方の病院へ通院する場合や、家族の見舞いにかかる費用。 | 距離や頻度による |
これらの費用が、気づけば数十万円、場合によっては数百万円に膨れ上がる可能性も否定できません。
死角②:収入減のリアル|傷病手当金だけでは埋まらない“穴”
がん治療で本当に怖いのは、治療費そのものよりも「治療による収入の減少」かもしれません。会社員と自営業・フリーランスでは、そのリスクの大きさが全く異なります。
会社員の場合
健康保険に加入している会社員や公務員は、病気やケガで仕事を休んだ際に「傷病手当金」を受け取れます。これは心強い制度ですが、完璧なセーフティネットではありません。
- 支給額は給与の約3分の2:収入が3割以上減る中で、住宅ローンや子どもの教育費など、固定費の支払いは続きます。
- 支給期間は「通算して」1年6ヶ月:以前は支給開始から1年6ヶ月で打ち切りでしたが、2022年1月から制度が改正され、途中で復職した期間はカウントされず、休んだ日数の合計が1年6ヶ月になるまで保障されるようになりました。これは治療と仕事の両立を目指す上で大きな改善点です。しかし、がん治療が再発や転移などで長期化し、通算の休業日数が1年6ヶ月を超えた場合、収入保障は途絶えてしまいます。
自営業・フリーランスの場合
国民健康保険には、傷病手当金の制度がありません(一部の組合国保などを除く)。つまり、働けなくなった瞬間から収入がゼロになるリスクと常に隣り合わせです。治療に専念したくても、収入が途絶える恐怖から無理して働き続け、結果的に治療が長引いてしまう…という悪循環に陥る可能性も考えられます。
あなたはどっち?5つの質問でわかる「がん保険」必要度セルフチェック
ここまで読んで、がんへの備えについて少し見方が変わってきたかもしれません。では、ご自身の状況に置き換えて、「がん保険の必要度」を客観的に把握してみましょう。以下の5つの質問にYESかNOで答えてみてください。
YES/NO診断チャート
- 働き方は自営業・フリーランス、または非正規雇用だ
- 病気やケガで働けなくなった場合、すぐに使える貯蓄が300万円未満だ
- もしもの時、お金の心配をせず、先進医療など最善と思われる治療を受けたい
- 自分が倒れた時、家族に経済的・精神的な負担をかけたくない
- 親族にがんになった人がいるなど、将来のがん罹患に強い不安を感じている
診断結果
YESの数を数えてみてください。これはあくまで簡易的な診断ですが、あなたの現状を考える一つのヒントになります。
YESが0~1個:現時点では不要の可能性大
あなたは公的保障が比較的厚く、経済的な体力もある方かもしれません。ただし、油断は禁物です。この後の「入らないと決めた人の行動計画」を必ずお読みください。
YESが2~3個:検討の価値あり
あなたの状況では、公的制度や貯蓄だけではカバーしきれない弱点があるかもしれません。がん保険がその弱点を補う有効な手段になる可能性があります。
YESが4~5個:必要性は非常に高い
がんになった場合、経済的・精神的に大きな困難に直面するリスクが高い状態です。リスクを軽減するための一つの手段として、がん保険の情報を積極的に集め始めることを強くおすすめします。
【お金より重要】がん保険で手に入る、人生を守る3つの“無形資産”
もし、がん保険を単なる「治療費を補填する金融商品」と捉えているなら、その価値の半分しか見ていないかもしれません。がん保険が提供するのは、お金そのもの以上に価値のある、3つの“無形資産”です。
無形資産①:治療に専念できる「時間」
がんと診断された直後、人の心は激しく動揺します。将来への不安、家族への申し訳なさ、治療への恐怖。そんなパニック状態で、冷静にお金の計算をしたり、仕事の段取りを考えたりするのは至難の業です。
この時、診断一時金としてまとまったお金が手元にあればどうでしょうか。「当面の生活費や治療費はこれで大丈夫だ」という安心感が、大きな支えになります。お金の心配から解放されることで、自分の病と向き合い、最適な治療法を焦らずに探すための、かけがえのない「時間」を手に入れることができるのです。
無形資産②:最善を選べる「選択肢」
「こちらの治療法は効果が期待できますが、保険適用外で高額になります」
もし医師からそう告げられた時、あなたはどうしますか?
「お金がないから、効果は少し劣るかもしれないけど保険適用の治療にしよう…」
こんな辛い決断を、自分や家族にさせたい人はいません。がん保険は、こうした場面で「お金を理由に治療を諦めない」ための武器になります。先進医療や自由診療といった最善の治療法を、ためらわずに選ぶことができる「選択肢」を確保しておくこと。これも、がん保険の非常に大きな価値です。
無形資産③:家族を想う「精神的安心」
「自分が倒れたら、家族の生活はどうなるんだろう…」
がんになった本人が抱える不安は、自分自身のことだけではありません。愛する家族に経済的な負担や、精神的な心労をかけてしまうことへの申し訳なさが、重くのしかかります。
「保険に入っているから、お金の心配はしないで」
この一言が、本人だけでなく、支える家族の心をどれだけ軽くするか、想像に難くありません。がん保険は、治療を受ける本人だけでなく、共に病と闘う家族にとっても、未来への不安を和らげる「精神的なお守り」になるのです。
【結論】後悔しないための最終判断と、あなたが今日からやるべきこと
ここまで、がん保険に対する多角的な視点を提供してきました。最終的に「入るか」「入らないか」を決めるのは、あなた自身です。どちらの結論に至ったとしても、大切なのはその結論に責任を持ち、具体的な行動に移すことです。
「がん保険に入る」と決めたあなたへ
必要性を感じた方は、次のステップとして情報収集を始めましょう。保険を選ぶ際は、以下の3つのポイントを意識してみてください。
- ポイント1:診断一時金の額は十分か?
- ポイント2:保障範囲は適切か?
- ポイント3:保険料は無理なく払えるか?
一人で選ぶのが難しい場合は、複数の保険会社の商品を比較検討できる保険代理店の無料相談などを活用するのも一つの手です。
【最重要】「がん保険に入らない」と決めたあなたの“完璧な”行動計画
「やはり自分には不要だ」と結論づけたあなた。その判断は尊重されるべきですが、何もしなくていいわけではありません。「保険に入らない」という選択は、「自分でリスクを管理する」という選択です。以下の4つの行動計画を、今日から実行してください。
- 「がん対策専用口座」を作る
- 公的制度を「予習」しておく
- 家族と「共有」する
- 「がん検診」を予約する
がん保険のよくある質問(Q&A)
最後に、がん保険を検討する際によく寄せられる質問にお答えします。
Q1. がん保険が不要になる貯蓄額は、具体的にいくらですか?
A1. 一つの目安として300万円~500万円と言われることが多いです。この金額は、がん治療の自己負担平均額(約100万円)、治療中の収入減少分、その他の雑費などを考慮したものです。ただし、これはあくまで最低ラインの目安。あなたが独身か扶養家族がいるか、どのような治療(先進医療など)を望むかによって、必要な額は大きく変わります。「自分にとっての安心額」を考えることが重要です。
Q2. 医療保険とがん保険、どちらを優先すべきですか?
A2. 一般的な優先順位としては、まず医療保険で病気やケガ全般の基本的な備えを固めるのがセオリーです。医療保険は入院や手術といった幅広いリスクをカバーします。その上で、特有のリスク(高額な治療費、長期の収入減など)を持つがんに、より手厚く備えたい場合にがん保険を追加で検討するのがおすすめです。最近は、医療保険にがん特約を付加する形でも備えられます。
Q3. がん保険を実際に使う確率はどれくらいですか?
A3. 国立がん研究センターの2019年のデータによると、生涯でがんに罹患する確率は男性65.5%、女性51.2%です。これを単純に平均すると「2人に1人」という表現になり、決して他人事ではないことがわかります。この確率は年齢とともに上昇します。
Q4. 「上皮内新生物」でも給付金はもらえますか?
A4. 商品によります。「上皮内新生物(ごく初期のがん)」の場合、悪性のがん(浸潤がん)と同額の診断一時金が支払われる商品と、10%~50%程度に減額して支払われる商品、あるいは保障対象外となる商品があります。保障の手厚さを重視するなら、上皮内新生物でも同額が支払われるタイプを選ぶと安心です。契約前に「ご契約のしおり・約款」で必ず確認しましょう。
Q5. やはり保険料がもったいないと感じてしまいます…
A5. そのお気持ちはよくわかります。保険は「何もなければ掛け捨てになるコスト」と考えることもできます。しかし、見方を変えれば、月々数千円で「万が一の経済的破綻を防ぎ、時間と選択肢と安心を手に入れる権利」を買っているとも言えます。車にかける車両保険や、住まいにかける火災保険と同じように、起こる確率は低いけれど、起こった時のダメージが非常に大きいリスクにどう備えるか、という「価値観の問題」でもあります。ご自身の価値観と照らし合わせ、納得のいく結論を見つけることが何より大切です。
まとめ:あなたにとっての「後悔しない選択」とは
本記事では、「がん保険はいらない」という意見の裏側と、お金だけでは測れないがん保険の価値について深掘りしてきました。
がん保険は、すべての人にとって絶対に必要なものではありません。十分な貯蓄があり、公的制度を熟知し、万が一の際にも冷静に対処できる自信がある方にとっては、不要なコストになるかもしれません。
しかし、もしあなたが、
- お金の心配をせず、治療に専念できる「時間」がほしい
- 最善の治療法をためらわずに選べる「選択肢」を確保したい
- 自分と家族が心穏やかでいられる「安心」を手に入れたい
と少しでも感じるのであれば、がん保険はあなたの人生を守る強力なパートナーになり得ます。
大切なのは、「みんなが入っているから」「専門家がいらないと言っていたから」という理由で判断を他人に委ねるのではなく、ご自身の価値観、経済状況、そして家族への想いに向き合い、「自分にとって後悔しない選択は何か」を考え抜くことです。
この記事が、あなたのその大切な決断の一助となれば幸いです。
関連する記事
【無料】 保険相談:お急ぎの方はこちら
〜特長を1ページにまとめています〜
保険マンモスのおすすめサービス
保険マンモスの【無料】 保険相談をシェア
気に入ったら いいね!
気に入ったら
いいね!
保険マンモスの最新情報をお届けします