
「自分の貯金は1000万円。でも、これって周りと比べて少ないのかな?」「結婚や子育て、老後のことを考えると、このままで本当に大丈夫だろうか…」 もし、あなたが今、そんな風に感じているのでしたら、それは将来を真剣に考えている素晴らしい証拠です。
この記事では、まず客観的なデータを用いてあなたの現在地を確かめ、漠然とした将来への不安を具体的なシミュレーションで明らかにします。その上で、1000万円という大切な資産を活かし、本当の安心を手に入れるための具体的なステップを、誰にでも分かるように丁寧に解説していきます。
資産運用、始める前の第一歩
資産運用を始める前に、まずは家計の土台を見直しませんか?
月々の保険料を適切に見直すことで、運用資金を増やせる可能性があります。
保険マンモスの【無料】保険相談では、お金のプロ(FP)が保険と資産運用をまとめてアドバイス。まずはお気軽にご相談ください。
【結論】35歳で貯金1000万円は「少数派の勝ち組」!まずはデータで客観的な立ち位置を知ろう
最初に、あなたの不安を和らげる事実をお伝えします。データ上、35歳で貯金1000万円は決して「少ない」どころか、紛れもない「少数派の勝ち組」と言えるでしょう。まずは落ち着いて、客観的なデータでご自身の現在地を確認していきましょう。
30代の平均貯金額と、より実態に近い「中央値」
「みんな、どれくらい貯金しているの?」という疑問に答える最も信頼性の高い調査の一つに、金融広報中央委員会(日本銀行)の「家計の金融行動に関する世論調査」があります。最新のデータを見てみましょう。
【30代・二人以上世帯の金融資産保有額(2023年)】
項目 | 金額 |
---|---|
平均値 | 597万円 |
中央値 | 200万円 |
【30代・単身世帯の金融資産保有額(2023年)】
項目 | 金額 |
---|---|
平均値 | 499万円 |
中央値 | 110万円 |
※金融資産を保有していない世帯を含む
平均値は一部の富裕層によって引き上げられるため、より実態に近いのは、データを順番に並べたときに真ん中に来る「中央値」です。30代の中央値は、二人以上世帯で200万円、単身世帯で110万円。あなたの貯金額1000万円は、この数値を大幅に上回っています。
資産1000万円以上は上位22.3%!あなたはすでに「貯蓄優等生」
さらに、同調査で30代のうち金融資産が1000万円以上ある世帯の割合を見てみると、22.3%となっています。これは、30代の約5人に1人しか到達していない領域だということです。
30代の金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)
- 100万円未満: 31.8%
- 100~200万円未満: 9.3%
- 200~300万円未満: 6.4%
- 300~400万円未満: 4.8%
- 400~500万円未満: 3.4%
- 500~700万円未満: 6.7%
- 700~1000万円未満: 5.6%
- 1000万円以上: 22.3%
このデータを見ても、あなたが「貯蓄優等生」であることは間違いありません。まずはご自身のこれまでの努力を認め、自信を持ってください。
なぜ不安?「貯金1000万円だけ」では将来のライフイベントを乗り切れないかもしれない3つの理由
「データ上は多いと分かった。でも、なぜか安心できない…」
その直感は、将来を見据えているからこそ生まれるものです。統計的に上位層であっても、これからの人生で起こりうる大きな支出を考えると、「貯金1000万円だけ」では安泰とは言えない3つの理由を解説します。
理由1:人生の3大支出で「数千万円単位のお金が必要になるから」
30代後半から40代にかけて、人生の大きなライフイベントが集中する可能性があります。それぞれの費用がどれくらいかかるか見てみましょう。
1. 結婚費用
挙式、披露宴・ウェディングパーティーの総額は平均327.1万円というデータがあります。ご祝儀などを差し引いたとしても、大きな出費であることに変わりはありません。
2. 住宅購入費用
住宅金融支援機構の調査によると、住宅購入にかかった費用の全国平均は以下の通りです。頭金として1〜2割を準備するとしても、数百万円単位の資金が必要になります。
住宅の種類 | 全国平均の所要資金 |
---|---|
新築マンション | 4,929万円 |
建売住宅 | 3,719万円 |
注文住宅 | 3,717万円 |
中古マンション | 3,157万円 |
中古戸建 | 2,725万円 |
3. 子どもの教育費
子ども一人が幼稚園から大学を卒業するまでにかかる教育費は、全て国公立でも約1000万円、全て私立(大学は理系)となると約2500万円にも上ると言われています。もし子どもが二人なら、単純計算でこの倍の費用がかかる可能性があります。
これら3大支出を考慮すると、数千万円単位の資金が必要になることが分かります。1000万円という貯金は、これらのイベントの「入り口」には立てるものの、すべてを賄うにはさらなる準備が必要なのです。
理由2:インフレで「お金の価値そのものが目減りするから」
見過ごせないのが「インフレ」のリスクです。インフレとは、モノやサービスの値段が上がり、相対的にお金の価値が下がること。例えば、去年100円で買えたジュースが、今年は110円に値上がりするような状況です。
日本の消費者物価指数は、2023年に前年比で3%以上上昇しました。もし今後も年2%のインフレが続くと仮定すると、あなたが今持っている1000万円の価値は、20年後には約673万円まで目減りしてしまう計算になります。
銀行の普通預金金利が極めて低い現代において、ただお金を預けているだけでは、その価値は時間と共に静かに減っていく可能性があるのです。
理由3:ライフプラン次第で「今の貯金だけでは不足する可能性があるから」
あなたの状況に当てはめて、より具体的に考えてみましょう。
- パターンA(独身・今後結婚を考えている方):
結婚費用(300万)+住宅購入の頭金(500万)だけでも800万円。残りの200万円で、自身の老後資金や万が一の備えも準備していく必要があります。 - パターンB(既婚・子なしの方):
夫婦二人の老後資金として2000万円を目指す場合、あと1000万円が必要です。もしこれから住宅購入や子育てを考えるなら、さらに数千万円の上乗せが必要になります。 - パターンC(既婚・子ありの方):
子ども一人の教育費(1000万円〜)を準備すると、今の貯金はほぼなくなってしまう可能性も。それに加えて、住宅ローン返済や夫婦の老後資金をどう準備していくかという課題が残ります。
このように、どのライフプランを想定しても、1000万円は「ゴール」ではなく、本格的な資産形成の「スタートライン」に立った段階だと言えるのです。
貯金1000万円を達成した「あなた」が今すぐ始めるべき、お金の最適戦略
では、どうすればいいのでしょうか? 1000万円という大きな元手を築いたあなただからこそ、ここから飛躍的に資産を成長させることができます。やるべきことは「守り」と「攻め」の2つの戦略を同時に進めることです。
大前提:「生活防衛資金」を確保し、お金を3つに色分けする
まず、1000万円すべてを投資に回すのは避けたいところです。最初に、病気や失業など万が一の事態に備える「生活防衛資金」を確保しましょう。これは、生活費の6ヶ月〜1年分が目安です。このお金は、いつでも引き出せるように普通預金などに入れておきます。
そして、残ったお金を「守るお金」「増やすお金」に分けて考えます。
【守りの戦略】聖域なき「固定費の見直し」で投資の”種銭”を最大化する
資産運用を始める前に、家計の”穴”を塞ぎ、毎月投資に回せるお金(種銭)を最大化しましょう。一度見直せば効果がずっと続く「固定費」から手をつけるのが効果的です。
①通信費:大手キャリア→格安SIMで年間数万円のインパクト
もし大手キャリアのスマートフォンをお使いなら、料金プランの見直しや格安SIMへの乗り換えを検討してみましょう。月々5,000円、年間6万円以上の節約につながるケースも少なくありません。浮いたお金をそのまま投資に回せば、強力なエンジンになります。
②保険料:あなたのライフステージに合っていますか?定期的な見直しが鍵
保険は、万が一の際に家計を支えてくれる重要な金融商品です。社会人になった時に、将来を考えて保険にご加入された方も多いでしょう。その保険は、当時のあなたには最適なものだったはずです。しかし、35歳になった今、守るべきものや将来の計画は変わっていませんか?
例えば、独身の方とご家族がいらっしゃる方では、必要な保障は大きく異なります。ライフステージの変化に合わせて保険を見直さないと、保障内容が現状に合わず、いざという時に不足したり、逆に過剰な保険料が家計の負担になったりする可能性もあります。定期的に保障内容を確認し、今のあなたに本当に合ったものかを見直すことが大切です。
③住居費:家賃交渉や住宅ローン借り換えは効果絶大
家計で最も大きな割合を占める住居費。賃貸住宅にお住まいなら、契約更新のタイミングで家賃交渉を試みる価値はあります。すでに住宅ローンを組んでいる方は、より金利の低いローンへの借り換えができないか、一度シミュレーションしてみることをお勧めします。
④サブスク:使っていない「幽霊サービス」は即解約
利用頻度の低い動画配信サービス、フィットネスジム、ニュースアプリなど、月々数百円〜数千円の支出も、積み重なれば大きな金額になります。クレジットカードの明細を定期的にチェックし、あまり利用していないサービスは整理しましょう。
【攻めの戦略】最適化で生まれたお金を「資産運用」に回す
家計の守りを固めたら、いよいよお金に働いてもらう「攻め」のフェーズです。35歳のあなたが活用すべきは、国が用意してくれた税制優遇制度です。
①新NISA(つみたて投資枠)を最優先で始める
2024年から始まった新NISAは、投資で得た利益が非課税になるという、ぜひ活用したい制度です。特に、毎月コツコツ積み立てる「つみたて投資枠」から始めるのが良いでしょう。
- なぜ今始めるべきか?:
資産運用は、時間をかければかけるほど「複利」の効果が大きくなります。複利とは、利益がさらに利益を生む雪だるま式にお金が増える仕組みのこと。35歳のあなたには、まだ30年以上の運用期間という最大の武器があります。 - 初心者におすすめの投資信託:
特定の株価指数(インデックス)との連動を目指す、低コストな「インデックスファンド」から始めるのが王道です。具体的には、全世界の株式にまとめて分散投資するものや、アメリカの代表的な優良企業群にまとめて投資するものなどが、分かりやすく人気があります。
②iDeCo(個人型確定拠出年金)で節税しながら老後資金を準備する
老後資金の準備に特化するなら、iDeCoも強力な選択肢です。掛け金が全額所得控除の対象になるため、毎年の所得税や住民税の負担を軽減できるという「今」の節税メリットが非常に大きいのが特徴です。ただし、原則60歳まで引き出せない点には注意しましょう。
③副業・スキルアップで「稼ぐ力」そのものを強化する
資産運用と両輪で進めたいのが、収入源を増やすことです。本業での昇進や昇給を目指すのはもちろん、週末の時間を使ってWebライティングやデザイン、プログラミングなどの副業を始めるのも良いでしょう。収入が増えれば、その分投資に回せる金額も増え、資産形成のスピードは一気に加速します。
※資産運用に関するご注意
本記事で紹介する新NISAやiDeCoをはじめとする資産運用には、価格の変動等による損失を生じるおそれがあり、元本が保証されているものではありません。
この記事はあくまで情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。投資の最終決定は、金融商品の契約締結前交付書面や目論見書等をよくご確認の上、ご自身の判断と責任において行ってください。
初心者のための資産運用デビュー・ロードマップ(一例)
「やるべきことは分かったけれど、具体的に何から手をつければ…」と感じる方もいらっしゃるでしょう。ここでは、多くの方が始めやすい一般的なステップの一例をご紹介します。
【1ヶ月目】情報収集と口座開設
まずは、資産運用のための「銀行口座」にあたる、証券口座を開設します。手数料が安く、商品ラインナップも豊富なネット証券が人気です。
- ネット証券のサイトでサービスを比較・検討する
- 開設したい証券会社を決めて、オンラインで口座開設を申し込む
- 同時にNISA口座の開設も申し込む
【2ヶ月目】投資方針の決定と入金
口座開設の通知が届いたら、次はいよいよ投資の準備です。
- どの投資信託を、毎月いくら積み立てるか決める
- まずは家計を見直して生まれた月々1万円など、無理のない金額からでOK
- 証券口座に、銀行口座から資金を移す(入金する)
【3ヶ月目】積立スタート&「ほったらかし」
ここまで来れば、あとは自動で資産形成が進んでいきます。
- 証券会社のサイトで、積立設定を完了させる
- 一度設定すれば、あとは毎月自動で買い付けが行われる
- 最も重要なのは、日々の価格の上下に一喜一憂せず、長期的な視点で「ほったらかし」にしておくことです。
「35歳からの資産形成」よくある質問Q&A
最後に、あなたが抱えるであろう細かい疑問について、Q&A形式でお答えします。
Q1. 今から資産運用を始めても、もう遅いですか?
A1. 全く遅くありません。むしろ、35歳は資産形成を本格化させるのに最適なタイミングです。65歳まで働くとすれば、まだ30年もの運用期間があります。これは、複利の効果を最大限に享受するために十分な時間です。40代、50代になってから「あの時始めておけば…」と後悔しないためにも、今が行動すべき時です。
Q2. 投資で損をするのが怖いのですが、リスクを減らす方法はありますか?
A2. そのお気持ちはよく分かります。投資のリスクをゼロにすることはできませんが、軽減することは可能です。そのキーワードが「長期・積立・分散」です。
- 長期: 10年、20年という長い目で見れば、一時的な暴落があっても価格は回復してきたのが過去の歴史です。
- 積立: 毎月定額を買い続けることで、価格が高い時には少なく、安い時には多く買うことができ、平均購入単価を抑える効果が期待できます(ドルコスト平均法)。
- 分散: 投資先を一つの国や商品に集中させず、国・地域(地理的分散)や、株式・債券といった値動きの異なる資産(資産クラスの分散)に分けることで、一つの投資先の不振が全体に与える影響を和らげる効果が期待できます。
Q3. 独身の場合、どれくらい貯金があれば安心できますか?
A3. 一概に「いくらあれば絶対安心」という金額はありません。大切なのは、ご自身の理想のライフプラン(結婚の有無、働き方、住む場所、趣味など)を考え、そこから逆算して必要な金額を把握することです。まずは老後資金の一つの目安である「2000万円」を、iDeCoやNISAを活用して65歳までに準備することを目標にしてみてはいかがでしょうか。
Q4. 貯金1000万円を達成したら、車や時計など、少し贅沢な買い物をしてもいいでしょうか?
A4. 頑張った自分へのご褒美は、もちろん素晴らしいことです。ただし、そのお金が将来、複利の力で何倍にもなる可能性があった「金の卵」だったかもしれない、という視点を持つことも大切です。大きな買い物をする際は、「生活防衛資金」や将来のための「投資資金」には手をつけない、というルールを設けることをお勧めします。
Q5. 専門家(FPなど)に相談した方がいいですか?
A5. ライフプランが複雑で、自分一人で考えるのが難しいと感じる場合は、お金の専門家であるファイナンシャル・プランナー(FP)に相談するのも有効な選択肢です。特に保険の見直しや、ご自身の状況に合った資産配分の決定など、個別具体的なアドバイスが欲しい場合は心強い味方になります。初回相談は無料で行っているところも多いので、一度話を聞いてみるのも良いでしょう。
まとめ
最後に、この記事の要点を改めて振り返ります。
35歳で貯金1000万円は、統計的には「少数派」の素晴らしい成果です。しかし、将来のライフイベントやインフレを考慮すると、盤石な備えが必要です。
本当の安心を手に入れる鍵は、まず固定費を見直し家計を盤石にした上で、その資金を元手に「お金に働いてもらう」仕組み、つまり資産運用を今すぐ始めることです。
難しく考える必要はありません。まずは最初の小さな一歩として、「使っていないサブスクを1つ解約する」「格安SIMのサイトを見てみる」「ネット証券の資料を請求してみる」ことから始めてみませんか?
今日のこの小さな行動が、10年後、20年後のあなたの未来を大きく、そして豊かに変えるはずです。もし、保険の見直しや具体的なライフプランについて専門家のアドバイスが必要だと感じたら、いつでも私たちにご相談ください。
本記事のデータソースについて
この記事で紹介した各種データは、以下の公的機関および調査機関が公表した情報に基づいています。
- 金融資産保有額について
出典: 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」、「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和5年)」 - 結婚費用について
出典: 株式会社リクルート「ゼクシィ結婚トレンド調査2023」 - 住宅購入費用について
出典: 独立行政法人住宅金融支援機構「2022年度 フラット35利用者調査」 - 教育費について
出典: 文部科学省「令和3年度子供の学習費調査」、日本政策金融公庫「令和3年度 教育費負担の実態調査結果」 - インフレ率について
出典: 総務省統計局「2020年基準 消費者物価指数 全国 2023年(令和5年)平均」