
白血病と診断された方、あるいは過去に白血病の治療経験がある方の中には、「もう自分は保険に入れないのではないか」と不安を感じている方が少なくないかもしれません。しかし、結論から申し上げますと、白血病という病歴があっても保険に加入できる選択肢は十分に存在します。
保険への加入は、万が一の事態に対する経済的な備えとして非常に重要です。特に白血病のように治療期間が長く、高額な医療費がかかる可能性のある病気では、公的医療保険だけではカバーしきれない費用が発生することも考えられます。ご自身の状況に合った保険を見つけることで、ご本人やご家族の経済的な不安を軽減し、治療に専念できる環境を整える一助となるでしょう。
このコラムでは、白血病の診断を受けた方や治療経験がある方が保険に加入するための具体的な選択肢、保険加入時の注意点、そして白血病の治療費にどのように備えるべきかについて、わかりやすく解説していきます。
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白血病の経過と保険審査の考え方(現症と寛解後の違い)
保険の加入審査において、白血病の病状や経過は非常に重要な判断材料となります。大きく分けて、「現症(現在治療中または治療開始から間もない期間)」と「寛解・完治後(治療が終了し、一定期間が経過している状態)」では、保険会社の審査基準や加入できる保険の種類が異なります。
現症の場合、保険会社は高い医療リスクを考慮するため、一般的な保険への加入は難しい傾向にあります。しかし、後述する引受基準緩和型保険や無選択型保険といった特定の保険商品であれば、加入の選択肢が見えてくることもあります。
一方、寛解・完治後で、かつ一定の期間(例えば5年や10年など)が経過している場合は、再発リスクが低いと判断され、通常の保険商品への加入可能性も出てきます。この「一定期間」は保険会社によって異なり、また病状や治療内容によっても個別に判断されるため、一概には言えません。
なぜ加入が難しいと言われるのか?その理由と対策
白血病という病歴があると、一般的な保険への加入が難しいと言われる背景には、保険会社の仕組みが関係しています。保険会社は、契約者からの保険料と、将来の保険金・給付金の支払いリスクのバランスをとることで成り立っています。白血病のような重い病気の既往歴がある場合、保険会社から見ると、将来的に保険金や給付金を支払うリスクが高いと判断されるため、通常の健康状態の方と同じ条件での加入が難しくなることがあります。
主な理由としては、以下の点が挙げられます。
- 再発リスク: 白血病は一度寛解しても、再発のリスクがゼロではないと評価されることがあります。
- 合併症のリスク: 治療による副作用や合併症が発生する可能性も考慮されることがあります。
- 長期的な治療の可能性: 治療が長期にわたることで、医療費が高額になる可能性があります。
しかし、これらの理由があるからといって、全ての保険への道が閉ざされるわけではありません。対策としては、ご自身の病状や治療経過を正確に伝え、それに対応した保険商品を選ぶことが重要です。また、保険会社も多様なニーズに応える商品を開発しており、健康状態に不安がある方でも加入しやすい選択肢が増えています。
白血病経験者・治療中でも加入しやすい保険の種類
白血病の既往歴がある方や、現在治療中の方でも加入を検討できる保険は複数存在します。それぞれの特徴を理解し、ご自身の状況に合ったものを選ぶことが大切です。
告知項目が少ない「引受基準緩和型保険」
引受基準緩和型保険は、その名の通り、保険会社が保険契約を引き受ける際の基準が通常の保険よりも緩和されているタイプの保険です。主に医療保険や生命保険で提供されています。
特徴
- 告知項目が少ない: 通常の保険では多数の健康状態に関する告知が必要ですが、引受基準緩和型保険では、特定の少ない告知項目(例:「過去2年以内に入院・手術があったか」「過去5年以内にがんや特定の病気で入院・手術があったか」など)に該当しなければ加入できる場合があります。
- 保険料が割増し: 保険金や給付金の支払いリスクが高いと想定されるため、通常の保険と比べて保険料は割増しになる傾向があります。
- 保障開始までの待機期間: 契約から一定期間(例:3ヶ月~1年)は、病気による給付金が支払われない待機期間が設けられていることがあります。この期間中に給付金支払事由が発生しても保障対象とならないため注意が必要です。
具体的な告知項目は保険会社や商品によって異なるため、複数の商品を比較検討し、ご自身の病状や経過が告知項目に該当しないかを確認することが重要です。
告知不要の「無選択型保険」
無選択型保険は、健康状態に関する告知が一切不要なタイプの保険です。そのため、白血病の病歴や現在の治療状況に関わらず、ほぼ誰でも加入できる点が最大の特徴です。主に生命保険で提供されることが多いですが、一部医療保険もあります。
特徴
- 告知が不要: 健康状態に関する質問がなく、書類審査のみで加入できる点が魅力です。
- 保険料が非常に高い: 告知が不要であるため、保険会社は全ての契約者のリスクを一律に評価します。そのため、保険料は引受基準緩和型保険よりもさらに割高に設定されています。
- 保障額が限定的: 保険金や給付金の額が、通常の保険や引受基準緩和型保険に比べて低い傾向があります。
- 保障開始までの待機期間: 契約から一定期間(例:1~2年)は、死亡保障や給付金が制限されたり、支払われない待機期間が設けられていることが一般的です。
無選択型保険は、他の保険への加入が難しい場合の選択肢となり得ますが、保険料と保障内容のバランスを慎重に検討する必要があります。
特定の保障を外す「部位不担保特約」という選択肢
通常の医療保険や生命保険を申し込む際に、健康状態によっては「部位不担保特約」を付けて加入できるケースがあります。これは、特定の部位(白血病の場合は、白血病そのものや関連する合併症など)について、将来にわたって一定期間、または終身にわたり保障の対象外とすることで、保険会社が契約を引き受けるというものです。
特徴
- 通常の保険への加入可能性: 引受基準緩和型保険などよりも、保障範囲が広い通常の保険に加入できる可能性があります。
- 特定のリスクは保障対象外: 白血病関連の病気やその治療が保障の対象外となるため、その部分の医療費は自己負担となります。
- 保険料は通常の保険とほぼ同水準: 部位不担保以外の保障は、通常の保険と同じような条件で受けられる可能性があります。
この特約を受け入れることで、白血病以外の病気やケガについては通常の保障を得られる可能性があります。ご自身の状況や、白血病の治療が終了しているか、再発のリスクがどの程度と評価されるかによって、検討する価値のある選択肢です。
寛解期間が経過すれば通常の保険に入れる可能性も
白血病の治療を終え、医師から「寛解」と診断され、そこから一定の期間(例えば、5年や10年など)が経過している場合、通常の保険(標準的な告知条件の保険)に加入できる可能性が高まります。
これは、寛解期間が長くなるにつれて再発のリスクが低下すると判断されるためです。保険会社によっては、病気の種類や治療内容、現在の健康状態、定期検査の結果などを総合的に評価し、一般的な健康体の方と同じ条件で保険契約を引き受けることがあります。
保険会社の審査基準は商品や時期によって異なるため、ご自身の寛解期間がどの程度か、現在の健康状態はどうかを正確に把握し、複数の保険会社に相談してみることが重要です。
白血病経験者・治療中でも加入を検討できる保険の種類
- 引受基準緩和型保険:健康状態に関する告知項目が少ない保険です。保険料は割増しとなる傾向があります。
- 無選択型保険:告知が一切不要で、誰でも加入できる保険です。保険料は非常に高くなります。
- 部位不担保特約付き保険:特定の部位(白血病関連)の保障を外すことで、他の保障は通常の保険で加入できるケースがあります。
- 通常の保険:寛解後、一定期間が経過し再発リスクが低いと判断された場合に加入できる可能性があります。
白血病で保険に加入する際の告知義務と注意点
保険に加入する際には、「告知義務」という重要なルールがあります。これは、契約者が現在の健康状態や過去の病歴について、保険会社に正確に伝える義務のことです。白血病の病歴がある場合、この告知義務を特に慎重に行う必要があります。
告知義務の重要性と正確な情報申告
告知義務は、保険契約の公平性を保つために非常に重要です。もし告知内容に虚偽があったり、重要な事実を告知しなかったりした場合(告知義務違反)、保険会社は契約を解除したり、保険金や給付金を支払わないと判断する可能性があります。そうなると、せっかく加入した保険が無効になってしまうため、必ず正確な情報申告を心がけましょう。
「この病気は軽かったから伝えなくていいだろう」「告知すると保険に入れないから言わないでおこう」といった自己判断は絶対に避け、全ての事実を正確に告知することが肝心です。
告知書に記載すべき主な内容
白血病の病歴がある方が告知書に記載すべき内容は多岐にわたりますが、一般的には以下のような項目が挙げられます。
- 病名と診断時期: 白血病の診断名(急性、慢性、骨髄性、リンパ性など)と、いつ診断されたか。
- 治療内容と治療期間: 抗がん剤治療、造血幹細胞移植、放射線治療、分子標的薬治療など、受けた治療の種類と開始・終了時期。
- 投薬状況: 現在服用している薬の種類、量、期間。
- 現在の症状と健康状態: 現在、自覚症状があるか、体調は安定しているか。
- 合併症の有無: 白血病や治療によって引き起こされた合併症があるか。
- 経過観察の状況: 現在も定期的に通院しているか、その頻度や直近の検査結果(血液検査、骨髄検査など)はどうか。
- 医師からの指示事項: 日常生活上の制限や注意点など、医師からの指示があればそれも記載。
これらの情報は、保険会社がリスクを正確に評価し、適切な保険商品や条件を提示するために不可欠です。
診断書・検査結果の活用で審査をスムーズに
告知書だけでは伝えきれない複雑な病状や治療経過がある場合、医師の診断書や直近の検査結果(血液検査データ、骨髄検査報告書など)を併せて提出することで、審査がスムーズに進むことがあります。
客観的な医療情報があることで、保険会社はより正確な状況を把握でき、公平な判断を下しやすくなります。特に、寛解から期間が経過しているにもかかわらず、告知書だけでは審査が難しいと感じる場合などに有効な手段です。かかりつけの医師に相談し、必要な書類を用意してもらいましょう。
白血病の治療費はどのくらい?公的保障と民間保険で備える
白血病の治療は、病型や進行度、治療法によって異なりますが、一般的に長期にわたる可能性があり、医療費が高額になることが予想されます。公的な医療保障制度を理解し、必要に応じて民間保険で備えることが、経済的な不安を軽減する上で重要です。
白血病の平均治療費と費用の内訳
白血病の治療費は、患者さんの状況によって大きく変動するため、一概に「いくら」と示すことは困難です。しかし、一般的な傾向として以下のような費用が発生します。
- 急性白血病:
- 初期の集中化学療法(入院、抗がん剤投与):数百万円〜1,000万円以上の費用となることもあります。
- 造血幹細胞移植(骨髄移植、臍帯血移植など):ドナー選択から移植、その後の拒絶反応抑制などを含めると、自己負担額が数百万円になることも珍しくありません。総額では数千万円規模の費用が発生することもあります。
https://ganjoho.jp/public/qa_reg/cost.html
- 慢性骨髄性白血病(CML):
- 分子標的薬による治療が主流であり、外来での継続的な投薬が中心となります。薬代が高額で、月に数十万円かかることもあります。治療は長期にわたることが一般的です。
これらの費用には、診察料、検査費用、薬剤費、入院費、手術費などが含まれます。公的医療保険が適用されることで、自己負担割合は通常3割(年齢や所得によって異なる)となりますが、それでも高額になることには変わりありません。
高額療養費制度で自己負担を軽減
日本の公的医療保険制度には、「高額療養費制度」という非常に重要な制度があります。これは、医療機関や薬局の窓口で支払う医療費が、ひと月(月の1日~末日)で自己負担限度額を超えた場合、その超えた分が払い戻される制度です。
制度の仕組み
自己負担限度額は、年齢や所得によって異なります。例えば、70歳未満で一般的な所得の方(標準報酬月額28万円以上50万円未満)の場合、自己負担限度額の計算式は「80,100円+(医療費総額-267,000円)×1%」となります。これを超える医療費は国が負担してくれるため、医療費の自己負担が青天井になることを防いでくれます。また、過去12ヶ月間に3回以上高額療養費の支給を受けている場合は、4回目以降の自己負担限度額がさらに引き下げられる「多数回該当」の制度もあります。
申請方法
医療費が高額になることが事前に分かっている場合は、「限度額適用認定証」を医療機関の窓口に提示することで、窓口での支払いを自己負担限度額までにとどめることができます。事前の申請がない場合でも、後から申請すれば払い戻しを受けることが可能です。ご加入の健康保険組合や市町村の国民健康保険窓口で手続きができます。
高額療養費制度は、白血病の治療費が高額になった際に、経済的な負担を大きく軽減してくれる非常に頼りになる制度です。
引用元:厚生労働省「高額療養費制度について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/newpage_00006.html
白血病は指定難病?医療費助成制度の現状
「白血病は指定難病ですか?」という疑問を抱える方もいらっしゃるかもしれませんが、白血病そのものは、一般的に国の「指定難病」には含まれていません。そのため、指定難病の医療費助成制度の直接的な対象とはなりません。
指定難病制度は、特定の難治性疾患で、診断基準や重症度分類を満たした場合に医療費助成が受けられる制度です。白血病は「がん」の一種として扱われることが多く、一般的ながん治療と同様に、高額療養費制度の適用対象となります。
ただし、白血病の治療過程で発生する合併症の中には、指定難病に該当するものや、小児慢性特定疾病医療費助成制度の対象となるものがある場合もあります。また、CML(慢性骨髄性白血病)の分子標的薬の中には、治療費が高額になるため、独自の助成制度や患者会による支援制度が存在する場合もあります。詳細は、担当医やソーシャルワーカー、または地域の保健所などに確認することが大切です。
がん保険は白血病も対象!保障内容を確認
「白血病はがん保険の対象になるの?」という疑問を持つ方もいますが、多くのがん保険で、白血病は保障対象となる「がん」の一種として定義されています。そのため、白血病と診断された場合、がん保険の給付金を受け取れる可能性が高いです。
がん保険の主な保障内容には、以下のようなものがあります。
- がん診断給付金:
- がんと診断された際に一時金として受け取れる給付金です。まとまった資金を治療費だけでなく、生活費や先進医療費など自由に使うことができます。
- がん入院給付金:
- がん治療のための入院日数に応じて支払われる給付金です。
- がん通院給付金:
- がん治療のための通院日数に応じて支払われる給付金です。
- がん手術給付金:
- がん治療のための手術を受けた場合に支払われる給付金です。
- 先進医療特約:
- 公的医療保険の対象外となる先進医療の技術料を保障する特約です。白血病治療で先進医療を受ける場合、高額な技術料への備えとなります。
がん保険に加入する際は、これらの保障内容がご自身のニーズに合っているか、診断一時金の金額は十分か、複数回給付型か(がんの再発・転移でも給付されるか)などを確認しましょう。
癌と診断されたら300万円もらえる保険もある?がん診断給付金の活用
「がんと診断されたら300万円もらえる保険はありますか?」という質問をよく耳にしますが、はい、がん診断給付金として300万円(またはそれ以上、以下)が受け取れるがん保険は存在します。
がん診断給付金は、がんと診断された時に契約で定められた金額が一時金として支払われるものです。この一時金は、治療費だけでなく、仕事を休んだ間の生活費、差額ベッド代、交通費、家族の介護費用など、用途を限定されずに自由に使うことができます。
白血病の治療は、入院期間が長くなったり、高額な抗がん剤治療が継続したりすることが多いため、この一時金が非常に役立ちます。保険商品によっては、初めてのがん診断時だけでなく、がんの再発や転移、またはがん治療のための入院が一定期間続いた場合にも再度給付金が支払われる「複数回給付型」の商品もあります。ご自身の状況や将来のリスクに合わせた給付金額を選ぶことが大切です。
入院・通院・先進医療など、がん保険の多様な保障
がん保険は、診断給付金以外にも様々な保障で、白血病治療に伴う経済的な負担をサポートします。
- 入院給付金と通院給付金: 長期にわたる入院や、治療後の定期的な通院が必要となる白血病治療において、日額で給付されるこれらの保障は、医療費だけでなく、入院中の日用品費や通院のための交通費などにも充てられます。
- 先進医療特約: がん治療分野では日々新しい治療法が研究・開発されており、その中には公的医療保険の適用外となる「先進医療」が含まれることがあります。先進医療の技術料は全額自己負担となるため、高額になりがちです。先進医療特約を付帯しておけば、これらの費用をカバーでき、治療の選択肢が広がります。
これらの保障を組み合わせて検討することで、白血病の治療全般にわたる経済的リスクに、より手厚く備えることが可能となります。
働けなくなった時の備え(傷病手当金・障害年金)
白血病の治療期間中、体調や治療内容によっては仕事を休まざるを得ない状況も考えられます。そのような時に備えて、公的な所得保障制度についても知っておくことが重要です。
- 傷病手当金:
- 健康保険の被保険者が、病気やケガのために仕事を休んだ期間、会社から給与が支払われない場合に、生活保障として支給される手当です。支給期間は支給開始日から通算して1年6ヶ月です。支給額は標準報酬月額の約3分の2が目安となります。
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat303/sb3060/r145/
- 障害年金:
- 病気やケガによって生活や仕事に支障がある場合に支給される年金です。白血病の治療によって日常生活や仕事に著しい制限がある場合、申請できる可能性があります。支給額は、障害の程度や加入している年金制度によって異なります。
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/shogainenkin/qa/qa01.html
これらの公的制度を適切に利用することで、治療中の収入減少による経済的な不安を軽減し、安心して治療に専念できる環境を整えられます。
白血病治療の費用と備えに関する箇条書き
- 白血病の治療費は病型や治療法によって大きく異なり、高額になる可能性があります。
- 高額療養費制度は、月の医療費自己負担額を一定額に抑える公的制度です。
- 白血病は指定難病ではありませんが、多くのがん保険の保障対象となります。
- がん診断給付金は、治療費だけでなく生活費などにも充てられる一時金です。
- 傷病手当金や障害年金は、治療中の収入減少を補う公的な所得保障制度です。
白血病でも安心!目的に合った保険選びのポイント
白血病という病歴があっても、適切な情報を集め、ご自身の状況に合った保険を見つけることは可能です。賢い保険選びのために、いくつかのポイントを押さえておきましょう。
複数の保険商品を比較検討する重要性
保険商品は多種多様であり、特に持病がある方向けの保険は、保険会社によって加入条件や保障内容、保険料が大きく異なります。一つの保険会社の商品だけで判断せず、複数の保険会社の商品を比較検討することが非常に重要です。
例えば、ある保険会社では告知項目に該当しても、別の保険会社では問題なく加入できるケースや、引受基準緩和型保険でも保険料や保障開始までの待機期間に差があることもあります。
複数の選択肢を比較検討することで、ご自身の健康状態や経済状況に最も適した、バランスの取れた保険を見つけることができます。
持病があっても入れる海外旅行保険の事例
海外旅行が好きな方や、海外での治療・療養を検討している方にとって、持病があっても加入できる海外旅行保険の存在は大きな安心材料となるでしょう。通常の海外旅行保険は、持病の悪化や既往症の治療を保障対象外としていることがほとんどです。
しかし、一部の保険会社や代理店では、持病を申告した上で加入できる「持病対応型」の海外旅行保険を取り扱っている場合があります。特に、慢性骨髄性白血病(CML)のように症状が安定している場合は、加入できる可能性が広がります。
海外での医療費は非常に高額になることが多いため、渡航前に必ず持病に対応した保険に加入しておくことが、万が一の事態に備える上で不可欠です。具体的な事例や取り扱いのある保険会社については、海外旅行保険の専門窓口や保険代理店に相談してみることをお勧めします。
専門家(FPなど)に相談するメリット
白血病という病歴がある中での保険選びは、告知内容の整理や複数の保険商品の比較検討など、専門的な知識が必要となる場面が多くあります。このような時に頼りになるのが、ファイナンシャルプランナー(FP)などの保険の専門家です。
専門家に相談するメリットは以下の通りです。
- 最適なプランの提案: ご自身の健康状態、家族構成、経済状況、将来の希望などを総合的に踏まえ、最適な保険プランを提案してもらえます。
- 告知内容の整理: 告知書に何をどのように記載すべきか、診断書などの追加書類が必要かなど、専門的な視点からアドバイスが受けられます。
- 複数商品の比較検討: 複数の保険会社の商品を横断的に比較し、メリット・デメリットをわかりやすく説明してもらえます。
- 公的制度との組み合わせ: 公的医療保険や傷病手当金、障害年金など、公的制度との組み合わせを考慮したアドバイスが受けられます。
多くの保険相談窓口では無料で相談ができますので、一人で悩まずに、専門家の知識を活用してみることをお勧めします。
白血病の保険選びのポイント
- ご自身の病状や経過を正確に把握し、告知に際しては全てを正直に申告してください。
- 引受基準緩和型保険、無選択型保険、部位不担保特約付き保険など、様々な選択肢を検討しましょう。
- がん保険は白血病も保障対象となることが多いので、内容をよく確認してください。
- 高額療養費制度や傷病手当金など、公的な保障制度も活用しましょう。
- 複数の保険会社の商品を比較検討し、必要であればファイナンシャルプランナーに相談してください。
よくある質問(Q&A)
Q1:白血病と診断されたばかりでも保険に入れますか?
A1:白血病と診断されたばかりで治療中の場合、通常の保険への加入は難しい傾向があります。しかし、告知項目が少ない「引受基準緩和型保険」や告知が不要な「無選択型保険」であれば、加入できる選択肢があります。ご自身の病状や治療内容によって審査基準が異なるため、複数の保険会社に相談してみることをお勧めします。
Q2:白血病の治療費は平均でいくらくらいかかりますか?
A2:白血病の治療費は、病型(急性・慢性)、治療法(抗がん剤、造血幹細胞移植、分子標的薬など)、治療期間によって大きく異なります。造血幹細胞移植を含む治療では数百万円規模の自己負担となることもあり、分子標的薬による治療も薬剤費が高額となることがあります。日本の公的医療保険制度にある「高額療養費制度」を活用することで、自己負担額を一定額に抑えることができます。
Q3:がん保険は白血病の治療費に適用されますか?
A3:多くのがん保険において、白血病は保障対象となる「がん」の一種として定義されています。そのため、白血病と診断された場合、がん診断給付金や入院・通院給付金、手術給付金などの保障を受けられる可能性が高いです。ご契約のがん保険の約款で、白血病が保障対象に含まれるかをご確認ください。
Q4:白血病は指定難病に含まれますか?医療費助成はありますか?
A4:白血病そのものは、一般的に国の「指定難病」には含まれていません。したがって、指定難病の医療費助成制度の直接的な対象とはなりません。しかし、公的医療保険の高額療養費制度が適用されるため、医療費が高額になっても自己負担を一定額に抑えることが可能です。
Q5:過去に白血病を経験しましたが、通常の保険に加入できますか?
A5:はい、過去に白血病を経験し、現在は寛解(または治癒)しており、そこから一定期間(例えば5年や10年など)が経過している場合は、通常の保険に加入できる可能性が高まります。保険会社は、再発リスクなどを総合的に判断するため、ご自身の病状や経過を正確に告知し、複数の保険会社に問い合わせてみることが大切です。
まとめ:白血病と診断されても、適切な保険で未来に備えよう
白血病という診断は、ご本人やご家族にとって大きな不安をもたらすものです。特に「保険に入れるのか」「治療費はどうなるのか」といった経済的な懸念は、その不安をさらに大きくする要因となるでしょう。
しかし、このコラムで解説したように、白血病の既往歴があっても保険に加入できる選択肢は複数存在します。引受基準緩和型保険や無選択型保険、特定の部位を不担保とする特約付きの保険など、ご自身の健康状態や寛解からの期間に応じて、様々な商品が検討可能です。また、公的な高額療養費制度や、多くのがん保険で白血病が保障対象となることも、経済的な備えを考える上で重要なポイントです。
最も大切なのは、ご自身の健康状態や治療経過を正確に把握し、保険会社に対して正直に告知を行うことです。そして、一つの情報源や商品だけで判断せず、複数の選択肢を比較検討し、必要であれば保険の専門家のサポートを借りることです。
白血病と診断されても、適切な情報と行動によって、未来への経済的な備えを整えることは十分に可能です。どうぞ、諦めずに、ご自身とご家族にとって最善の選択肢を見つけてください。
今すぐできる行動リスト
- 自身の病状や治療経過(診断時期、治療内容、寛解期間、現在の通院状況など)を正確に整理する。
- 公的医療保険の高額療養費制度について、改めて内容を確認する。
- 複数の保険会社や保険相談窓口に、白血病の既往歴がある場合の加入について問い合わせてみる。
- 信頼できるファイナンシャルプランナーに相談し、個別のアドバイスを求める。