過払い金返還請求のからくりと3つのデメリットとは?仕組みと注意点を学ぼう

過払い金返還請求のからくりと3つのデメリットとは?仕組みと注意点を学ぼう

2010年以前に借金・キャッシングの経験がある方は、過払い金が発生している可能性があります。

過払い金とは、払いすぎていた利息のことです。貸金業法改正による上限金利の引き下げなどが関係しています。20%を超えた利息を払い続けていた可能性がある人は、請求すれば返してもらえる可能性があります。

借金返済をしている場合、過去に払い過ぎた利息分(過払い金)を取り返すためには、手続きをすることが必要です。これを「過払い金返還請求」と言います。

「過払い金が発生しているかも!請求しないと損!」という言葉を目にした経験がある方も多いのではないでしょうか?

でも悩んでいる暇はありません。過払い金には時効があります!せっかく返してもらえるお金があると分かった時には、すでに時効が来てしまっていては、戻るお金は1円もなくなってしまうからです。

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過払い金の「時効」を迎える前に、過払い金返還請求をすぐに行いましょう!過払い金の有無は、自分の借入状況や返済状況などでわかります。「借金減額シミュレーター」でも確認できます。

ただし、借金返済をしていた人であれば、誰でも過払い金は発生しているのでしょうか?また過払い金請求をすることにより何か弊害はないのでしょうか?

実は、過払い金返還請求にはリスクやデメリットはあります。過払い金や返還請求に関する基礎知識と共に、デメリットについても分かりやすく解説します。

メリット・デメリットの両方を理解した上で、今後について決断しましょう。

まずは、借金問題に関して実績のある専門家に、過払い金の有無や過払い金返還請求のデメリット、借金減額について診断してもらいましょう!

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そもそも過払い金とは?なぜ発生したの?請求して大丈夫?

過払い金とは、過去の法律の矛盾によって、貸金業者に対して支払い過ぎていた利息分のことを言います。

過払い金とは、その名前のとおり「支払い過ぎているお金」のこと。つまり、そもそも支払わなくても良かったお金であり、自分のお金です。

だからこそ、返還請求という正規の手続きを踏むことで、貸金業者から返してもらえる可能性があります。もちろんこれは、法律に則った手続きです。

「もしかしたら自分にも過払い金があるかもしれない」と思ったとき、ワクワクする気持ちと共に、不安を抱く方も多いはずです。

  • 過払い金って一体何?
  • 請求したら、何か不利益が生じるの?
  • 金融業者の怒りを買うのでは?
  • 過去の借金が、家族にバレてしまわないの?

まずは、そもそも過払い金が発生したのはなぜなの?というところから見ていきましょう。

利息制限法と出資法という2つの法律が関係!グレーゾーン金利って?

そもそも過払い金とは、過去に行われていた「利息制限法の上限を超えた貸し付け」において、返済し過ぎたお金のことを言います。

利息制限法と出資法という2つの法律は、どちらもお金の貸借に関するルールを定めたもの。お金を貸す際の上限金利も定めていましたが、それぞれが異なる上限を設定していたのです。

利息制限法の上限は、最高でも20%。しかし一方で、出資法が定める上限金利は、29.2%だったのです。つまり、29.2%以下であれば、「利息制限法の上限は超えていても、出資法により「合法」ということに。
法律 上限金利
利息制限法 10万円未満       20%
10万円以上100万円未満 18%
100万円以上       15%
出資法 29.2%

上限金利が高い出資法をもとに貸付を行えば、より高い「29.2%」という金利を適用できます。貸金業者にとっては、より効率良く稼げる仕組みと言えるでしょう。

実際に多くの貸金業者は、出資法で定められた29.2%を上限として、過去に貸付を行っていたのです。

20%以上29.2%以下の金利は、出資法と利息制限法の上限を超えているにもかかわらず、出資法によって適法と判断されていました。この間の金利のことを、「グレーゾーン金利」と言います。
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この、利息制限法の上限金利以上、出資法の上限金利以下のことを、グレーゾーン金利と言います。

利息制限法の上限を超えた貸し付けや、法律の矛盾点は、大きな社会問題となりました。

2006年には、最高裁が「グレーゾーン金利による貸し付けで払い過ぎた利息分は、返還請求が可能である」という趣旨の判決を下します。

つまり過払い金返還請求とは、法律に則った手続きであり、最高裁判所でも認められたもの。むしろ、過去に金融業者から提示された金利の方が、違法だったのです。

これにより、過去にグレーゾーン金利で貸付を受けた人が、貸金業者を相手に返還請求を行うケースが一般的になりました。グレーゾーン金利によって払いすぎていた利息を取り戻すことができる仕組み(からくり)が過払い金返還請求です。決して怪しい詐欺まがいのものではありません。

ちなみに、2010年には出資法は改正され、上限金利は利息制限法と同じに設定されています。

つまり、現在の貸付において過払い金が発生することはありません。過払い金は過去の借金返済時に生じるお金であり、返還請求をするためには、過去にさかのぼって状況を把握する必要があるのです。

また、過払い金が発生している可能性があるのは、消費者金融やクレジットカード会社など貸金業者からお金を借りている場合に限られます。銀行カードローンは昔から法律の範囲内(銀行法という法律が適用される)だったので、過払い金が発生していることはありません。

支払い過ぎたお金を取り戻すのは、当然の権利!

もちろん、過払い金請求をしたからといって、業者から嫌がらせを受けるようなこともありません。

ただし、過払い金請求をするためには、業者側とやり取りした上で、和解する必要があります。何も考えずに手続きすると、家族に知られてしまう可能性もあるでしょう。

また自身の借金の状況によっては、ブラックリストに登録されてしまう恐れもあります。正しい知識を身に付けた上で、請求することが大切です。

まずは現状把握から!過払い金が発生しているのかを知るための方法

過払い金の難しいところは、過去に借金していても、過払い金が発生しているかどうかは、わからないということ。

「おそらくないだろう」「あってもごく少額で、取り戻すほどのものではない」と、安易に判断してしまう方もいます。

「過払い金があるのかないのか」「あるならばいくらあるのか」は請求するにあたって最も重要なことです。実は、過払い金は「引き直し計算」によって自分でも知ることができます。

過払い金返還請求で後悔しないためのコツは、自身の状況を適切に把握することです。そのための方法を4つ紹介します。

ネット上のシミュレーションツールを利用

ネット上で「過払い金 シミュレーション」と検索すると、無料で使えるツールが多数ヒットします。自分にどれだけ過払い金があるのか、調べる手がかりになるでしょう。

「無料で過払い金の有無を調べられるなんて怪しいのでは?」と感じるかもしれませんが、怪しいツールではありません。利用したから依頼しなくてはいけないということはないので安心してください。

あと、過払い金には「時効」があるため、少しでも可能性があるのであれば早くに調べておくほうが良いです。

過払い金シミュレーションの多くは、弁護士事務所や司法事務所が公開しているもの。まずは過払い金の目安を伝えることで、借金相談への足がかりにしてもらおうという狙いがあります。

弁護士事務所や司法書士事務所の宣伝目的で設置されているため、ほとんどの場合、24時間無料で利用できます。また、その場ですぐに結果を得られるでしょう。

サイト上で入力を求められる情報は、以下のとおりです。

  • 借入金額
  • 借入時期
  • 年利
  • 毎月の返済額

入力できる情報量が多ければ多いほど、より正確な数字を導きやすくなるでしょう。

無料シミュレーションツールを使う場合、とにかく手軽に結果を得られる一方で、情報の信ぴょう性については、それほど高くはありません。

実際の過払い金計算は、債権者から取引履歴を取り寄せて複雑な計算を行います。ツールで出せるのは大まかな金額ですが、弁護士事務所・司法書士事務所にとっては、とにかく一度連絡してもらうことが目的なので、「目安」がわかれば十分なのです。

シミュレーションツールを使う場合、こうした特徴を頭に入れた上で、賢く活用する必要があるでしょう。

過払い金シミュレーションツールは、「過払い金チェッカー」という名称で公開されていることも多いです。基本的な内容はどちらも同じなので、まずは簡単なチェックとして利用してみるとよいでしょう。

また、今もまだ借金を抱えているという場合は、「借金減額シミュレーター」を使用することで、過払い金発生に加え、借金を減らせる可能性を知ることも可能です。こちらも弁護士事務所や司法書士事務所運営のものを使用すれば安心です。

弁護士・司法書士事務所の過払い金無料診断を利用

弁護士事務所や司法書士事務所によっては、サイト上のツールではなく、電話やメール、FAXなどで、無料診断を受け付けているところもあります。

求められる情報は、以下のとおりです。

  • 借入金額
  • 借入時期
  • 借入先
  • 年利
  • 毎月の返済額
  • 連絡先メールアドレスや電話番号

こちらの場合、弁護士や司法書士が直接対応してくれるため、シミュレーションツールよりも精度が向上します。

無料で診断してもらえるのは、もちろん宣伝のためなので怪しいことはありません。

「過払い金が発生している可能性が高い」と判断されれば、電話がかかってきて営業を受けることがあります。ただ結果を知りたいだけという人にとってはデメリットに感じるかもしれません。

シミュレーションツールよりも、応対の手間がかかり、心理的ハードルが高い点がデメリットと言えます。

また弁護士や司法書士が対応してくれるとは言っても、この段階で伝えられる数字は、あくまでも目安です。その点は、シミュレーションツールとそれほど変わりありません。

実際に請求手続きをスタートしてみたら、全く違う金額になった!というケースも多いですから、注意してください。

取引履歴の開示請求

過払い金の状況を把握するためには、過去にどういった条件でお金を借り、返済しているのかが、重要なポイントとなります。

つまり、過去の契約条件や返済状況さえわかっていれば、過払い金についてもある程度予測できるのです。

まずは自宅に、以下のような書類が残っていないかどうか確認してみましょう。

  • 貸金業者が発行した借入明細書
  • 取引残高報告書
  • 契約時に交わした書類

こうした書類をチェックすれば、契約時の金利がグレーゾーン金利に当てはまるのかどうか、確認できます。

書類が残っていない場合でも、諦める必要はありません。

  • 信用情報機関(CIC・JICC・全銀協)へ情報開示請求をする
  • 貸金業者に対して取引履歴の開示請求をする

いずれかの方法で、過去の契約状況を確かめられるでしょう。書類が手元に届いたら、そこから過払い金の有無を計算できます。

貸金業者には請求されれば取引履歴を開示しなくてはいけない義務があります。しかし、個人で取り寄せると後回しにされたり、業者が合併した場合は複数に分けて届いたりと、取り寄せまで2~3ヵ月かかる場合があります。

注意すべき点は、取り寄せる理由を聞かれても「過払い金請求をするため」だと正直に言わないこと。請求の際に不利になってしまうことがあるので、「自分の債務を見直すため」などと答えるのが無難です。

弁護士や司法書士に正式依頼する

より確実に過払い金について知りたい場合は、弁護士司法書士に依頼して調査してもらうのが一番です。

「過払い金があるかどうかわからないのに、調査を依頼するなんて…」という気持ちもわかりますが、実際には、調査してみないとわからないケースは多くあります。

弁護士や司法書士側もそれはわかっていますから、遠慮する必要はありません。

ただし、本格的な調査を依頼するためには、それなりの費用が発生します。まずは無料相談である程度の情報を得て、その上で依頼するかどうか検討するのがおすすめです。

専門家に依頼した場合の流れは、非常にシンプルです。依頼人は、要所で専門家から報告を受けるのみとなります。

弁護士や司法書士に調査を依頼した場合、専門家の方で過去の取引履歴を取り寄せてくれます。その情報をもとに引き直し計算を行い、過払い金がはっきりする仕組みです。

金融業者側も、法律のプロを相手にすることの意味をよく分かっています。自力手続きでつまづきがちなポイントも、プロ相手ならスムーズに進むといったケースも、決して少なくありません。

手続きの途中で困ったことやわからないことが出てきた場合も、相談しながら進めていけます。相手方の対応に、ヤキモキさせられることもありません。

専門知識を持った相手との交渉は、金融業者側も構えてきます。折り合いをつける条件も変わってくる可能性があります。

気になる費用については、以下を参考にしてみてください。

費用名目 目安の金額
相談料 0円~5,000円
着手金 1万円~2万円/1社
基本報酬 1万円~3万円/1社
成功報酬 2万円~3万円
過払い金報酬 取り戻した金額の20%前後
(※裁判になった場合は25%前後)

ただしこれらの報酬は、相談する事務所によっても異なるもの。相談料や着手金は発生せず、実際に過払い金を取り戻して初めて費用が発生するという事務所も存在しています。

弁護士や司法書士に依頼する場合、どのタイミングでどういった費用が発生するのか、事前にしっかりと確認しておくことが大切です。

メリットだけではない!過払い金返還請求のデメリットは大きく3つ

過払い金返還請求の最大のメリットは、「お金が返ってくる」ことです。

  • 支払い過ぎていたお金を受け取れる
  • 過払い金で、現在返済中の借金を完済できる可能性がある

過払い金がいくら発生しているのかは、過去の借金返済状況によって変わってきます。中には、100万円以上が返ってくるようなケースもあるでしょう。

そのメリットは、一目瞭然。しかし実際には、過払い金返還請求をすることによる、デメリットも存在しています。

メリットばかりに目を向けていると、「こんなはずじゃなかった…!」という事態に陥る可能性も。3つのデメリットを紹介するので、事前に知っておいてください。

1.過払い金で完済できなければブラックリストに登録

過払い金返還請求をすると、ブラックリストに登録される恐れがあります。

ブラックリストとは
信用情報機関が保有する顧客情報に、事故情報(ネガティブ情報)が載った状態のこと。一定期間以上返済が遅れた場合や、債務整理をした場合に、事故情報が登録される。

ブラックリストに登録されれば、クレジットカードの発行や利用ができなくなります。審査甘いクレジットカードであってもまず難しいでしょう。また新たにローンを組むことも、難しくなるでしょう。

しかし、過払い金請求をしてもブラックリストに登録されないケースもあります。ブラックリストに登録されるかどうかは、現在の借金の返済状況や残債によって変わります。3つのケースに分けて、その影響を解説します。

【すでに完済している借金の過払い金の返還請求をする場合】
すでに返済し終わった借金で過払い金が発生している場合、返還請求をしても、ブラックリストに登録されることはありません。もちろん、クレジットカードの発行や新規ローンの審査で、困ることもないでしょう。
【現在も借金返済中だが、過払い金が返還されればそれで完済できる場合】
現在も借金を返済中でも、過払い金によって清算できる場合も、基本的にブラックリストには登録されません。

ただしこちらの場合、請求先の業者によっては、「返還請求の手続き中=任意整理の手続き中」として、一時的にブラックリストに登録されるケースがあります。

手続きが完了し、完済が確認できた時点で事故情報が消去されます。

【現在も借金返済中で、過払い金を返還されてもまだ残債がある場合】
過払い金が返ってきても、まだ返済が続く場合、請求の事実が事故情報として登録されます。返還請求=任意整理と捉えられるためです。

こちらの場合、手続きが完了しても事故情報は消去されません。そのまま、ブラックリストに登録され続ける可能性が高いでしょう。

ブラックリストに登録されるリスクがあるのは、「返済中」の借金を過払い金請求した場合です。とはいえ、ブラック入りしたからといって、ずっと不自由な思いをするわけではありません。

任意整理として事故情報が登録されても、一般的に約5年が経過すれば、削除されます。その後はクレジットカードの発行やローン審査で、苦労することはなくなります。

2.貸金業者の「社内ブラック」への登録

一般的なブラックリストとは、信用情報機関が所有する顧客信用情報によるものです。このほかに、貸金業者が自社の顧客を対象にした、社内情報を持っている可能性があります。

社内情報とは、どの顧客が過去にどのような行動を取っているのか、詳しい履歴が残っていくもの。過払い金返還請求をすれば、その社内情報にネガティブ情報が記載されます。

社内情報が使われるのは、あくまでも「社内で行われる取引」に関してのみ。信用情報機関のように、影響が大きいわけではありません。

社内ブラックになると、過払い金請求をした貸金業者では、今後借り入れするのが難しくなります。グループ会社がある場合はグループ内で情報が共有されていることもあります。

社内ブラックになる期間は会社によって異なり、永久的にブラックになることも。何年も経ってから借入を申し込んでも審査に落ちてしまうこともあります。

とはいえ、

  • 社内情報にどこまでの情報を記載するのか?
  • 過払い金返還請求に対して、どういった認識を持っているのか?
  • 新たな契約時に、過去の情報をどの程度参考にするのか?

こうしたポイントは、業者によって実態が異なるもの。「絶対に借りられない」というわけではなく、「借りられない恐れがある」という点を、頭に入れておきましょう。

たとえ社内ブラックに引っかかって、お金を借りれないとしても大丈夫です。世の中には、非常に多くの貸金業者がありますから、利用先で困ることはないでしょう。

3.収入超過による生活保護の受給停止

こちらは、現在生活保護を受けている方に関係するデメリットです。

手続き後、返還された過払い金は、「収入」として計算されます。過払い金返還によって、生活保護の受給要件以上の収入を得た場合、受給はストップします。

生活保護の受給条件とは?
最低生活費として認められた13万円/月よりも、世帯収入が少ないこと。年収換算で、収入156万円以下であれば受給できる。

100万円以上の過払い金が返ってくるような場合、受給条件を満たさなくなる可能性は高いでしょう。超過分を返還、もしくは受給停止となります。

生活保護の受給中に過払い金を受け取った場合、担当の福祉事務所に申告する必要があります。申告しないまま隠していると、不正受給と判断されてしまいます。

もちろん、過払い金によってまとまったお金を得たとしても、その収入は継続するわけではありません。再び収入がない状態になれば、生活保護の再申請は可能なので、安心してください。

過払い金請求には条件がある…できない人は?

ここまで紹介してきたとおり、過払い金返還請求にはデメリットもあります。とはいえ、その影響はごく限定的なものと言えるでしょう。

つまり、過去に過払い金が発生している人のほとんどは、「返還請求をした方が良い」ということ。デメリットを心配し過ぎる必要はありません。

ただし中には、「過払い金の返還請求ができない人」もいます。以下の条件を確認してみてください。

借金の契約日が2010年6月17日以降の方は、そもそも過払い金が発生していません。この場合も、過払い金返還請求をすることはできません。

過払い金請求の時効を迎えている

過払い金には、時効があります。過去の取引で過払い金が生じていても、時効が完成している場合、返還請求できなくなります。

過払い金の消滅時効は、「最後の取引から10年後」です。最後の取引とは、「契約」ではなく「完済」を指します。

つまり、契約の日付から10年以上が経過していても、完済日から10年以内であれば請求できる可能性があるということ。また契約と完済を繰り返している場合も、「連続した1つの取引」として認められれば、取り戻せる可能性があります。

本当に過払い金の時効を迎えているのかどうかは、素人では判断が難しいケースもあります。無料相談などで、専門家のアドバイスを受けるのがおすすめです。

借入先の貸金業者がすでに倒産している

過払い金返還請求が認められてから、すでに長い時間が経過しています。その間に、倒産した貸金業者も決して少なくありません。

過去の取引で過払い金が発生していても、取引先業者がすでになくなっている場合、残念ながら返還請求はできません。まずは一度、確認してみてください。

利用した業者名がなくなっていても、他社との合併や吸収によって事業が続いている場合は、合併・吸収先業者への返還請求を検討しましょう。

こちらについても、弁護士や司法書士に相談すればOKです。請求できるのかどうか、請求する場合の相手先はどこになるのか、アドバイスをもらえます。

過払い金はどうやって返還請求する?具体的な手順とポイント

過払い金の返還請求の流れは、以下のとおりです。

  1. 過去の取引履歴を取り寄せる
  2. 引き直し計算をして過払い金の有無を調べる
  3. 貸金業者に対して過払い金返還請求書を送付する
  4. 貸金業者と交渉する
  5. 過払い金が入金される

過払い金請求の第一歩は、現状把握です。

  • 本当に過払い金が発生しているのか?
  • 発生している場合、総額でいくらあるのか?

これらの情報を確定するために必要なのが、過去の取引履歴と引き直し計算計算です。計算結果をもとに、業者に対して請求書を発行します。

貸金業者と請求内容を確認し、合意した上で過払い金が入金される仕組みです。

過払い金返還手続きは複雑!専門家への依頼がおすすめ!

言葉にすると非常にシンプルな過払い金返還請求手続き。

過払い金シミュレーションなどで「過払い金が発生している可能性が高い」とわかったら、「自分の手で取り戻したい」と思う方もいるでしょう。
過払い金返還請求は、専門家に任せる人が多いですが、「専門家しか手続きできない」というわけではありません。自分で手続きすることも可能です。

無料シミュレーションツールの結果をそのまま使うことはできませんが、自身の手で必要書類を取り寄せ、引き直し計算・和解交渉を行えば、過払い金を取り戻せます。

自分で手続きすれば、専門家に支払う報酬は発生しません。できるだけ多くのお金を手元に残したい方にとって、自力での手続きは非常に大きなメリットがあるように思えます。

ただ、自分でできる手続きを、あえて弁護士や司法書士に依頼する人が多い理由は、プロである弁護士や司法書士に依頼するメリットの方が大きいためです。

  • 難しいことをすべて一括してお任せできる
  • 法律の知識をもって、より良い条件で業者と交渉をしてくれる
  • 引き直し計算で失敗しない
  • 自分で業者とやりとりしなくていいので、家族にバレにくい
  • 過払い金返還請求のデメリットについて、事前に相談できる
  • 過払い金返還で今の借金が減っても返せないという場合は、債務整理の相談もできる

過払い金返還請求は、請求した側とされた側、双方が納得して初めて受け入れられるもの。有利に交渉を進めるために、専門家が持つ知識や技術は必須です。

面倒な作業や難しい作業、そして家族にバレるリスクがある作業を、すべてお任せできる点も、非常に大きなメリットと言えるでしょう。

過払い金返還請求には、残念ながらデメリットもあります。どのデメリットが当てはまるのかは、人によって異なるもの。弁護士や司法書士が味方についてくれれば、自分の場合に発生しうるデメリットを理解した上で、回避方法まで相談しやすくなるでしょう。

せっかくお金を取り戻すのに、わざわざ報酬を支払うなんて…と思う気持ちも、よくわかります。しかし、専門家に依頼した方が、より多くのお金を取り戻しやすいのも事実です。

弁護士に依頼した場合、取引履歴の取り寄せから交渉まで、すべてを一括でお任せできます。交渉がまとまらず、訴訟になった場合もそのまま対応を一任できます。

弁護士と司法書士の一番の違いは、1社あたり140万円以上の過払い金を扱えるかどうかです。司法書士が扱えるのは、1社あたり140万円以下の場合に限られます。また、「認定司法書士」資格を有している必要もあります。

プロに依頼した場合、返還された過払い金の中から、弁護士・司法書士報酬を支払わなくてはいけません。とはいえ、そのお金を差し引いても、依頼するメリットの方が大きいと言えます。

過払い金の金額が1社あたり140万円を超える可能性がある場合は、最初から弁護士事務所に相談すると、二度手間を防げます。相談先選びの参考にしてみてください。

また、過払い金が返されても尚、借金が残りそれが返せそうにない…という場合は、借金相談や債務整理の相談も専門家にすることができます。

債務整理とは任意整理、個人再生、自己破産といった方法がある「借金救済措置」です。借金減額したり借金をなしにすること法的手続きで進める方法です。

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自力で過払い金返還請求をする方法

過払い金返還請求の具体的な方法は、以下の通りです。

1.請求先の金融業者に取引履歴の開示請求をする

まずは過払い金を確定させるため、取引履歴の開示請求をします。請求した事実を証拠として残すため、文書で請求するのがおすすめです。

  • 普通郵便(書留)
  • 内容証明郵便
  • FAX

業者によっては、請求に応じないケースもあります。文書で請求しておけば、後に裁判になった場合でも、証拠として採用できるでしょう。

また、「一部分のみ開示請求に応じる」というケースもあります。金融業者側は、「開示請求=過払い金返還請求の可能性」を視野に入れて動き始めるもの。

「10年以上前のデータは残されておらず、開示できない」と伝えてくるようなケースもあります。この場合、開示のみで裁判にまでもつれてしまう可能性もあるでしょう。

2.引き直し計算を行う

無事に過去の取引履歴を入手できたら、次は引き直し計算を行います。インターネット上で過払い金計算ソフトを探し、使用するのがおすすめです。

引き直し計算には、以下のような情報が必要となります。

  • 年月日
  • 借入金額
  • 返済額
  • 利率
  • 利息
  • 日数
  • 残元金

履歴から見つけ出し、入力していきましょう。間違いがないよう、正確に操作する必要があります。

3.引き直し計算をもとに業者に請求・交渉する

引き直し計算が終わったら、その結果をもとに、過払い金返還請求書類を作成します。ネット上で公開されている、テンプレートを活用すると便利です。

出来上がった請求書は、内容証明郵便で相手方へと送付しましょう。

内容証明郵便で出すためには、定められた形式に沿った書面である必要があります。文字数制限や使用できる文字の種類、同封便数など、細かなルールを把握した上で準備してください。

請求書が業者側の手にわたったら、そこから交渉がスタートします。

金融業者にとっては、支払う過払い金額は、できるだけ低く抑えたいもの。一方で、請求する側は「すべて返してほしい」というのが本音でしょう。

相手の意見も聞きつつ、いかに自分の意見を通すかがポイントとなります。

4.交渉がまとまらなければ裁判する

交渉がまとまらなかった場合には、裁判になります。和解による解決よりも、長い時間が必要となるでしょう。

裁判になれば、必要書類を準備したり、指定された時間に裁判所に出かけたりと、自身の手間も増えてしまいます。

5.過払い金返還へ

一定条件で合意、もしくは裁判で決着が付いたら、その内容に基づいて過払い金が返還されます。

自分で手続きするメリットと、無視できないデメリット

過払い金返還請求を自分で行っても、専門家に依頼する場合と基本的に流れは同じです。しかし、自力手続きにはメリットもありますが、無視できないデメリットも多くあるのでおすすめはできません。

自力手続きのメリットは「節約」

自力で返還請求をする最大のメリットは、費用の節約です。

弁護士に依頼した場合の報酬額の目安は、返還された金額の約20%。自力で頑張れば、このお金も自分の手元に残ります。

過払い金請求を弁護士に依頼したときにかかる費用の相場は、1社あたり最低でも10万円。取り戻せる過払い金が多いほど報酬を多く支払う必要があり、着手金や別途手数料がかかる場合もあります。

一方、自分で行えば報酬などを払う必要がないので、1社あたり2万円程度に抑えることができます。

「せっかく手続きするなら、できるだけ多くのお金を手元に残したい!」と思う方にとって、非常に魅力のあるメリットと言えるでしょう。

デメリットは数多くの「リスク」

とはいえ、自力手続きのメリットだけに注目するのは危険です。なぜなら、自力手続きの裏には数多くのリスクが潜んでいるからです。

  • 計算間違いにより、返還額が減少するリスク
  • 請求が却下されるリスク
  • 業者との交渉がまとまらないリスク
  • 訴訟になった場合に、対応できないリスク

引き直し計算は非常に複雑で、素人には難しいもの。計算結果が間違っていた場合、返還額が減少する可能性もあるでしょう。

それだけで済めば良いのですが、最悪の場合、返還請求そのものが退けられてしまう恐れもあるのです。

法律知識がない人が交渉の場に立ったとき、専門家が交渉する場合と比較して、相手から下に見られてしまう可能性も。交渉を有利に進めることが難しくなります。

時間も手間もかかるのが、自力手続きの最大のデメリットです。また、交渉力によって、返還される金額に差が出るのが過払い金の現実。実際に発生している過払い金よりも低額の金額を提示して和解しようとしてくる可能性が高いです。

たとえ費用を節約できても、返還金額が少なくなってしまえば意味がありません。

弁護士は、過払い金を確実に回収するための手段を知っていますし、交渉力にも長けています。失敗するリスクを背負いながら自力手続きするよりも、プロに任せた方が安心だといえるでしょう。

過払い金請求を成功させ、時間や手間を省くためにも弁護士への依頼がおすすめです。

過払い金返還請求手続きを依頼したいおすすめ弁護士・司法書士事務所

過払い金返還請求は、どの弁護士事務所・司法書士事務所に依頼しても同じではありません。過払い金返還請求に強い、おすすめの事務所を5つ紹介します。

弁護士法人・響
幅広い法律問題を扱う弁護士法人で、過払い金返還請求には「債務整理サポートチーム」が対応します。日本全国どこからでも、24時間・365日体制で相談を受付けています。法律相談料は何度でも0円初期費用も0円。交渉力に自信あり。
天音総合法律事務所
顧客満足度を重視した法律事務所で、一人一人に寄り添った対応を心掛けています。フリーダイヤルにて、24時間365日、全国エリアからの相談を受付中。完済過払いについては、着手金0円で対応しています。
ベリーベスト法律事務所
2023年11月現在、全国73拠点を持つベリーベスト法律事務所。地方でも相談しやすい点が魅力です。弁護士の相談は何度でも無料。相談のみでもOK!債務整理や過払い金返還請求の実績が豊富。家族にバレないよう、最大限の配慮をしてもらえます。
みつ葉グループ
司法書士法人みつ葉グループは、借金問題を幅広くサポートしています。借金問題に関する相談料は無料。完済過払いであれば着手金、基本報酬も無料のため、「調査の結果過払い金が発生していなかった」という場合、無料で対応してもらえます。完済できず任意整理となった場合も、減額成功報酬は0円。
サンク総合法律事務所
24時間・365日体制で、全国からの相談を受け付けています。過払い金については、「迅速な回収」をモットーにしているサンク総合法律事務所。女性弁護士もいるアットホームな雰囲気の中で、リラックスして相談できます。借金相談料は無料です。

弁護士事務所・司法書士事務所には、それぞれ独自の特徴があります。相性の良い事務所や、自身のニーズに応えてくれる事務所を、ぜひ探してみてください。

債務整理や借金問題解決に定評がある事務所なので、安心して依頼できます。借金減額診断を持っている事務所なので、先に減額の可能性を調べることもできますし、相談料も無料なので、債務整理をするにあたっての節約にもつながるでしょう。

弁護士事務所と司法書士事務所の両方を紹介していますが、司法書士事務所が扱えるのは、「1社あたり過払い金が140万円以下」の案件のみとなります。

シミュレーションも活用し、もしこれ以上の金額になるようであれば、弁護士事務所を中心に相談先を探してみるのがおすすめです。

日本司法支援センター「法テラス」に過払い金の相談をすることもできる

過払い金の相談は、法テラスの窓口でも受け付けています。

法テラスは、法律相談や法律事務所の紹介、債務整理の費用の立て替えなどを行っている国が設立した機関です。

利用するには収入要件などを満たす必要がありますが、要件を満たした場合、過払い金の相談は3回まで無料で行えます。

さらに要件を満たせば費用の立て替え制度も利用できます。立て替え費用は月5,000円ほどを分割で支払っていくので、無理なく返済していくことができるでしょう。

生活保護を受給している方は、立て替え費用の返済が猶予されます。費用を心配して過払い金請求をためらっているなら、法テラスに相談し条件を満たしているかどうか確認してみましょう。

過払い金チェッカーを利用してみるのもおすすめ!

インターネット上のサービス「過払い金チェッカー」を使ってみるのもおすすめです。

過払い金チェッカーは、「過払い金シミュレーター」とも呼ばれ、簡単な情報を入力するだけで過払い金が発生している可能性があるかがわかるもの。

診断結果はあくまで概算なので過信は禁物ですが、24時間いつでも無料で利用できる便利なツールです。

債務整理に力を入れている法律事務所の多くは、借金減額シミュレーターや過払い金チェッカーを提供しています。「無料で利用できるなんて怪しい」と疑ってしまいますが、相談や依頼を増やすための広告のようなものであり、怪しいことはありません。

法律事務所が運営しているものは安全なので、目安を知るためにぜひ利用してみてください。

過払い金請求は時効がある!減額シミュレーションで最初の一歩を踏み出そう!

過払い金の有無は、「借金減額シミュレーター」「借金減額診断」で確認できます。 手軽に利用できるため、過払い金請求に向けた第一歩と言えるでしょう。「専門家に相談する前の足がかり」として利用するのがおすすめです。

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過払い金が発生している場合、借金に充当できるため、借金がなくなる可能性もあります。完済できるのであればブラックリストには登録されない可能性が高いため、ほぼノーリスクで借金問題を解決できるかもしれまんせん!

減額シミュレーションで得られる結果は、あくまでも目安。利用するツールによって、異なる金額が表示されるのも、そのためです。

  • 本当はいくら過払い金が発生しているのか?
  • 過払い金を取り戻せる可能性はあるのか?
  • 借金がある場合、過払い金請求よりも自分に合った借金減額方法はないのか?

こうした情報は、専門家に相談し、詳しい調査をしてもらった上でわかること。減額診断の結果だけを見て、一喜一憂しないように注意してください。

今回紹介した5つの弁護士事務所・司法書士事務所であれば、過去に数多くの過払い金返還請求を請け負っています。たとえ過払い金が発生していなくても、嫌な顔をされるようなことはありませんから、安心してください。

ただし、過払い金請求には、メリットだけでなくデメリットもあります。

特に影響が大きいのは、やはりブラックリストへの登録でしょう。とはいえ、自身の借金の状況によって、受ける影響が変わってくるのも事実です。

  • 自分の借金では、どのようなデメリットが生じるか分からない
  • 過払い金請求をしたことで、どういった具体的な影響が出るか知りたい
  • リスクが不安で、行動に踏み出せない
このような場合は、まずは一度、借金問題に強い弁護士・司法書士に相談してみましょう。弁護士事務所や司法書士事務所は、過払い金のデメリットも踏まえてアドバイスをしてくれるはずです。

「過払い金を取り戻したい」と願っている人の味方である専門家への相談は、遠慮する必要はありません!まずは無料相談を活用してみましょう。

過払い金には時効があり、いつまでも請求できるわけではありません。返ってくるはずのお金を取りこぼさないためにも、シミュレーターで発生しているかの目安を確認してから、弁護士事務所や司法書士事務所の無料相談を活用しましょう。

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