自己破産するとどうなる?デメリットは?家や家族への影響、自己破産の誤解
自己破産をすることで借金が帳消し(0円)になる一方で、「自己破産をすると終わりだ」「自己破産をするとすべてを失ってしまう」そんなイメージを持つ人もいるかもしれません。
「自己破産をするとどうなってしまうのか?」正しく理解できている人はいないのでは?自己破産は、これ以上借金が返済できないという方を救うための方法です。目の前の借金問題を残さず解決し、借金なしの生活をスタートできる方法です。
借金がなくなるなんて、「自己破産したもん勝ち」では?と思うかもしれませんが、自己破産は借金免除ができる反面、それ相応の影響があるのも事実です。
借金がゼロになるのと引き換えに、原則として自由財産と呼ばれる財産以外のすべての財産が処分されてしまう可能性があります。ただ、一定額の財産は手元に残せますし、手続き後に返済の義務が残らないため、借金返済から解放された生活を送ることができるようになります。
- 自己破産すると家はどうなるの?
- 自己破産すると家族はどうなるの?
- 自己破産すると他にどんな影響がでるの?
- 自己破産はバレずにできるの?
- 自己破産以外の方法で辛い借金問題は解決できるの?
自己破産しようかどうしようか悩んでいる方は、こういったところが気になっているのではないでしょうか。
自己破産するとどうなる?「自己破産はメリットしかない!」と言われる3つの要因
自己破産を調べると、メリットしかない、メリットだらけ、と記載されていることがあります。
自己破産するとどうなるのでしょうか?自己破産がお得である、と言われている要因としては、次の3つが挙げられるでしょう。
- 借金がゼロになる
- 取り立てが止まる
- 一定の財産は手元に残せる
自己破産をすると借金がゼロになります。借金返済に追われる生活が終わり、新たなスタートを迎えられるのは大きなメリットでしょう。
また、自己破産手続き弁護士などに依頼すると、弁護士から受任通知が送付され督促・取り立てが停止します。現在強制執行が行われていても、自己破産手続き開始が決定すると強制執行は中止され、給与差し押さえも中止されます。免責が決定すれば、給料を再び受け取ることが出来るようになるのです。
自己破産をするとすべての財産を失うイメージがあるかもしれませんが、99万円までの現金や必要最低限の家具、家電など生活に必要な物まで失うことはありません。
つまり、「自己破産はメリットしかない」とは、借金から解放され生活再建に向けたスタートを切ることが出来ること故の言葉だと思われます。
自己破産がメリットばかりでは済まない人もいる
自己破産は多くのメリットがありますが、誰でも、どんな状況でも支払い義務がなくなり借金から解放されるわけではありません。
- 自力で返済できると判断されれば自己破産できない
- ギャンブル目的の借金では自己破産できないことがある
- 税金や損害賠償など非免責債権は免除されない
- 裁判所費用、弁護士費用がかかる
- 保証人や連帯保証人がいる(自己破産をすると保証人・連帯保証人が支払うことになってしまう)
自己破産にはこれらのデメリットもありますから、自己破産をして「こんなはずじゃなかった」となってしまう可能性もゼロではありません。
- 財産がない
- 非免責債権がない
- 保証人、連帯保証人がいない
このような状況であれば自己破産はメリットしかない!となるかもしれませんが、自己破産はメリットだけでなくデメリット・リスクがあることも認識しておかなければいけません。
自己破産すべきか判断するポイント
自分は自己破産をした方が良いのかを判断するためには、以下のポイントに該当しているかどうか確認してみてください。
- 返済の見込みがない
- 安定した収入がない
- 多重債務である
- 高額な資産がない
1つでも当てはまる項目があれば、自己破産を検討してみましょう。自己破産には様々なメリット・デメリットがあるので、自己破産を悩んだらまずは弁護士に相談してみることをおすすめします。
自己破産すると家、マイホームはどうなる?家族にも影響が出るので必ず手続き前にチェックして!
自己破産は裁判所に申し立てをして裁判所が免責を認めることで、原則借金がゼロになる手続きです。借金に困っている人を救済するための措置のため、借金救済制度とも呼ばれている債務整理の手続の一つです。
借金がゼロになれば返済負担が軽減され、生活を立て直すことができるでしょう。
破産手続きをしただけでは、借金をゼロにすることはできません。そもそも自己破産は、これ以上借金が返せない状況だることを裁判所が認めた場合に申し立てられる手続きです。
また、浪費やギャンブルなどによる借金は免責を認めない「非免責債権」となっており、これに該当していないことが免責を認める条件となります。
自己破産をすると借金地獄から逃れられるかもしれませんが、その代償として生活に何らかの影響を与えてしまうことも事実です。
- 管財事件:換金できる一定額以上の財産がある場合の自己破産。手続きに時間も費用もかかります。
- 同時廃止事件:換金できる財産が何もない場合の自己破産。
どの手続き方法になるかは、破産者に財産があるかどうかによって決まります。
同時廃止事件 | 管財事件 | |
---|---|---|
財産の有無 | 財産がない | 財産がある |
破産管財人 | 選任される | 選任されない |
予納金 | 1万円程度 | 20万円~ |
免責までの期間 | 3~6ヶ月 | 6ヶ月~1年 |
同時廃止事件は、財産がない場合に行われる手続きです。破産手続きを申し立て、手続き開始と同時に廃止が決定します。一方、管財事件については破産申立後、破産管財人を選任し破産は意思決定が行われることになります。
免責手続きについては、どちらの手続きでも免責審尋が行われ、免責許可・不許可が決まる流れです。
では、具体的に同時廃止事件、管財事件の流れや特徴について見ていきましょう。
財産がない同時廃止事件は破産開始と同時に終了する手続き
同時廃止事件は、財産がないために破産管財人が専任されず免責手続きのみが行われます。
20万円以上の財産、33万円を超える現金などの一定の財産がないことが明らかである場合に行われる手続き方法です。財産を清算し、債権者に分配する手続きがないため管財事件と比較して短期間で手続きが終了します。
自己破産申し立てのうち、7割が同時廃止事件であるとも言われています。
財産がある管財事件は財産を処分し配当する手続きがある自己破産の基本手続
自己破産とは、破産者の財産を処分して債権者に公平に分配する手続きです。財産を処分、清算することが前提となっていますから、自己破産の基本もこの管財事件となります。財産を処分・清算するのは、裁判所が選任した破産管財人です。
一部の地方裁判所では、管財事件の手続きを簡略化した少額管財事件と呼ばれる手続きも行っています。財産が少ない場合、短期間で手続きがでるものです。
ただし、少額管財事件にするためには弁護士による代理人申立てが必須となっています。
少額管財事件を利用できるかどうかについては裁判所によって異なりますので、弁護士に相談してみると良いでしょう。
自己破産では、管財事件となった場合、自由財産を除くすべての財産が処分の対象です。持ち家がある場合、一部の例外を除いてほとんどが管財事件として扱われます。
管財事件では、持ち家や自家用車など、基本的に評価額が20万円以上のものは処分の対象となり、換価処分後、債権者に平等に分配されます。
財産は裁判所から選任された破産管財人の管理下におかれ、処分される財産は破産財団に組み入れられます。換価財産と自由財産を大まかに分類すると、以下のようになります。
処分される「換価財産」 | 処分されない「自由財産」 |
---|---|
・持ち家や土地などの所有不動産 ・自家用車やバイク ・生命保険の解約返戻金 ・有価証券 ・退職金の一部 |
・99万円以下の現金 ・衣服や寝具、家電などの生活必需品 ・破産手続き開始決定後に得た新得財産 ・自由財産の拡張が認められた財産 ・破産財団から放棄された財産 |
所有不動産は換価財産に含まれるため、自己破産すると処分されてしまいます。
持ち家も土地も失うとなれば引っ越しを余儀なくされ、家族も含めて生活環境が大きく変わることを覚悟しなくてはなりません。
住宅ローンが残っている、残っていないに関わらず住宅は処分されてしまいます。
住宅ローンが残っている場合も自己破産により借金が帳消しとなるのですが、それは住宅やその他の資産を処分することで借金返済に充当されることになるので家を手放すことには変わらないのです。
自己破産をするにあたり、住宅ローンだけを払い続けて家を残そうとする行為は特定の債権者を優遇する「偏波弁済」にあたり、禁止されています。
共有名義の持ち家も処分の対象
自己破産した本人名義の持ち家が処分されるのはもちろんですが、夫婦や親子など共有の名義になっている場合も、自己破産した方の持ち分は処分されます。
どちらかが自己破産した場合、破産者の持ち分は競売にかけられ、落札した赤の他人や不動産会社と共有名義になります。
この場合、新しく共有名義人となった第三者とトラブルになりやすく、第三者が「共有分割訴訟」を起こすのが通例です。
一般的に裁判所は、「家を売却して現金化し、共有者と分け合うように」と合理的な解決策(判決)を下します。
共有名義人の分は財産として残せるものの、トラブルを回避するため、
- 破産管財人の許可を得て家を任意売却する
- 共有名義人が破産者の持ち分を買い取る
という方法をとる方が多いです。任意売却については後ほど詳しく解説します。
持ち分を買い取るのは資金がある場合の方法ですが、破産管財人や業者から提案されることがあります。
連帯債務型の住宅ローンの場合はどうなる?
連帯債務型の住宅ローンの場合は、自己破産する際、注意が必要です。
借入額が増えたり、諸費用を抑えられるというメリットがある反面、どちらかが自己破産をすると、その分は競売にかけられ、もう一方は自分の持ち分のローンを一括で返済しなくてはいけないデメリットがあります。
例えば主債務者が自己破産した場合は、住宅ローン会社は連帯債務者にローンの一括返済を求めてきます。
このような事態を避けるには、共有名義人の場合と同様に、
- 破産管財人の許可を得て家を任意売却する
- 連帯債務者が破産者の持ち分を買い取る
というどちらかの方法をとる必要があります。
自己破産しても持ち家を守りたい!方法はある?
実は、一定の条件をクリアすれば、自己破産しても持ち家の処分を回避できることもあります。現実的に厳しい条件もありますが、持ち家を守る方法を4つ紹介します。
①家族みんなでお金を出し合って一括で購入する
銀行の融資に頼らずに、家族がお金を出し合って残りのローンを一括で払えるなら、自宅を手放さずに済みます。
②親族に買い取ってもらう
破産管財人が財産の換価処分を行う際に、親族に買い取ってもらうことも可能です。親族といえども第三者となるため、適正な価格で買い受けるなら何も問題はありません。資金力のある信頼できる親族がいれば、相談を持ち掛けてみましょう。
③価値の低い家や土地なら自由財産の拡張で残せる
本来自由財産ではない持ち家ですが、裁判所に「自由財産の拡張」を認めてもらえれば、家を自由財産として残せます。
過疎地域にある値段のつかない土地や、相当古い家など、極端に価値が低い不動産は、自由財産として残せる可能性があります。前もって不動産屋に査定してもらうなどして、家の資産価値を把握しておくとよいでしょう。
④リースバックでしばらく住み続ける
持ち家の所有権は失うのですが、「リースバック」という方法ならしばらくは住み続けることは可能です。
ただし、売却価格は市場価格よりも安く、家賃は相場より高額になりがちです。また、リースバックのほとんどは「定期借家契約」で、賃借できる期間が決められているため、永遠に住み続けられる保証はありません。
あくまでリースなので、リフォームやリノベーションは運営会社の許可がないとできないデメリットもあります。リースバックは、どうしてもしばらくはこのまま住み続けたいという場合におすすめの方法です。
要注意!自己破産直前に家の名義を変えてはダメ!
「家族の名義に変えれば、持ち家を処分されずに済むのでは?」と思う方もいるでしょう。破産者本人以外の名義の家なら処分されないのは事実ですが、自己破産の前に名義を変更することは「破産法」という法律で禁止されています。
破産法で詐欺破産罪に該当すれば、10年以下の懲役か1,000万円以下の罰金のいずれか、または両方が科されます。
自己破産をしたらどう進む?持ち家の処分決定後の流れを解説していきます
自己破産を選択し、持ち家の処分が決定した場合、処分までどのような流れで進んでいくのでしょうか?住宅ローンを払い終えているいないに関わらず家を失いますが、ローンの有無で流れは異なります。
①住宅ローンを完済している場合の流れ
住宅ローンを完済している場合、または一括で購入している場合、家は破産者の資産です。破産管財人に任せて家を売却するのが一般的です。
②住宅ローンが残っている場合の流れ
住宅ローンが残っている場合は、破産管財人によって競売にかけられます。競売は、正式には「一般競争入札」といい、家の売却額を決めず、競売関連のホームページや広告などでオークション形式で価格を決める売り方です。
競売の流れは以下のとおりです。
- 債権者が裁判所に競売の申し立て
- 競売の開始決定(裁判所から通知が届く)
- 裁判所の執行官が自宅訪問
- 競売の入札期間の通知が届く
- 競売の開始、落札
- 立ち退き、明け渡し
まず、債権者は裁判所に競売の申し立てを行います。裁判所が競売の命令を出したら破産者は拒否することはできません。
自己破産では住宅ローンも免責されますが、住宅ローン会社にとっては大きな痛手となるため、競売にかけるために抵当権が実行されます。
裁判所が競売の開始を命令すると、裁判所から執行官が出向き、状況調査や自宅の写真撮影など競売のための準備を行います。不動産鑑定士や業者も訪れ、インターネットにも掲載されるため、近隣住民にも競売の事実を知られるでしょう。
競売が開始されると、期限内に最も高い値段をつけた人が落札し、裁判所は落札者に売却許可決定を出します。
代金の納付が終わると、家の所有権は落札者に移り、破産者は退去日を決めて家を明け渡します。
競売にかけられても入札されなかった場合は、価格を下げて再度競売にかけられます。それでも入札されなかった場合はさらに価格は下がり、どんなに下げても入札されない場合もあります。
住宅ローンが残っている場合は任意売却を
住宅ローンが残っている場合、競売の前に任意売却をするのがおすすめです。
任意売却をしても家を手放すことに変わりはないのですが、競売情報として家がインターネットに載ることはなく、プライバシーが保護されるメリットがあり、自己破産手続きが同時廃止事件になる可能性もあります。
自己破産では、持ち家がある場合は管財事件となりますが、持ち家を売ってしまい、他に換金できる大きな財産がない場合は、同時廃止事件となる可能性が高いです。
また、任意売却では競売とは違って、明け渡しの時期などを自分で決められるため、迅速に手続きを済ませられるメリットもあります。
ただし、近年では不動産の価格が下落しており、必ずしも希望通りの値段で売れるとは限らないため、期待しすぎないようにしましょう。
自己破産しても持ち家を残す方法はいくつかあるものの、現実的に厳しいことが多いです。自由財産として残すにしても、どの程度の価値や理由があれば残せるのかなどは専門家の知識が必須です。
自己破産以外の方法で解決できるかどうかも自己判断は難しく、専門家のアドバイスが必要です。無料で法律相談を実施している弁護士事務所や司法書士事務所も多数あるので気軽に利用して、早めの解決を試みましょう。
自己破産には「借金を免除してもらえる」という最大のメリットがある一方で、それ相応の代償があります。
目の前の借金問題から全て解放されるのであれば、これくらいのリスクであれば全く問題ないという方から、こんな影響があるのであれば別の方法も検討したいという方も居るはずです。
自己破産をした様の影響は?自己破産をするとどうなるか詳しく説明していきます!
- 持ち家は原則手放す
- 借金が帳消しになる ただし非免責債権は除く
- 一定以上の資産は失ってしまう
- クレジットカードの利用や新規契約ができなくなる
- 住所・氏名が官報に記載される
- 保証人に返済義務が移る
- 奨学金は支払わなくて済むが保証人に返済が移る
- 一部の職業は一定期間資格・職業制限がある
- 退職金は金額により処分対象となる
- 会社に連絡されることはないが勤務先に借金がある場合はバレる
- ブラックリストに載る
- 賃貸物件に住むことはできるが保証会社の保証審査に取らない可能性はある
- 携帯端末の返還を求められる可能性がある
- 保険を解約しなければいけない場合がある
- 給与の差し押さえを止められる
- 生活保護は受給できる
家については先述しましたので、それ以外について見ていきます。
借金が帳消しになる ただし非免責債権は除く
原則として、自己破産をすると借金はゼロになり支払義務がなくなるのですが、それは借金が免責されるためです。
債務を弁済する責任から免れさせること。これにより、借金を支払わなくてよくなる
ただし、自己破産をしても残る借金「非免責債権」があることに注意が必要です。
- 税金
- 国民健康保険料
- 養育費
- 罰金
- 損害賠償金
これらの借金は、たとえ自己破産をしても支払い義務がなくなることはありません。自己破産後もしっかりと支払うようにしましょう。
支払いが難しい場合は、自治体や税務署、弁護士などに借金相談するようにしてください。
また、借金減額診断という現在の借金状況に基づき返済額を減額できるかどうかを診断するサービスの利用も検討してみてください。このサービスは無料で提供されていることが多く、特に、任意整理や個人再生を検討する際に有効です。
借金整理には自己破産しかないと思っている方も一定数いらっしゃると思いますが、もしかするとあなたの借金問題は、他の方法で解決するほうがデメリットが少なくできるかもしれません。
減額診断については後述します。
一定以上の資産は失ってしまう
自己破産をすると、価値のある資産は処分されて債権者への返済に充てられてしまいます。
しかし、すべての資産を失ってしまうわけではありません。手元に残すことができる財産はこちらです。
- 破産手続き開始後に取得した財産
- 法律で差し押さえが禁止されている財産
- 99万円以下の現金
- 残高が20万円以下の預貯金
- 20万円以下の生命保険解約返戻金
- 家財道具
自己破産後に生活を立て直すために必要な最低限の現金や預貯金は手元に残すことができますし、家具や家電、食料などが差し押さえられることもありません。
車は、資産価値が20万円を超えると処分されてしまいますが、20万円を超える価値がなければ手放さずに持ち続けることが可能です。また、仕事上どうしても車が必要である場合も手元に残せる可能性があります。
資産価値が20万円以上かどうかを判断する基準としては、大阪地裁では初年度登録から7年以上、軽自動車なら5年以上経過しており、新車時の車両本体価格が300万円に満たない国産車の場合は価値がない、と判断するよう運用を行っています。
差し押さえ禁止財産については、国税庁のホームぺージでも詳しく紹介しています。衣類や食料などだけでなく、農業や漁業など仕事に関するもの、信仰または礼拝の対象になっているものなど項目ごとに紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
クレジットカードの利用や新規契約ができなくなる
自己破産をすると、現在利用しているクレジットカードが利用できなくなるだけでなく、信用情報に事故情報が登録されるため新規契約もできなくなってしまいます。
住所・氏名が官報に記載される
自己破産をすると、住所や氏名が官報に記載されます。官報とは、国が発行している新聞のようなものです。
官報は誰でも見ることができますが、一般の方が官報を見る機会はほとんどないため知人に知られる心配はありません。
保証人に返済義務が移る
自己破産をすると自己破産をした本人の債務は免責となり借金をゼロにできるかもしれませんが、保証人の支払い義務はそのまま維持されます。
自己破産をすることで保証人に返済義務が移ってしまうことになるのです。
保証人が債権者から請求された場合、この請求を拒むことはできません。
保証人も返済できないようであれば自己破産などの債務整理手続きを検討することになるでしょう。
保証人がいる借金がある場合は、自己破産をする前に相談することが大切です。
奨学金は支払わなくて済むが保証人に返済が移る
奨学金も免責が認められれば返済義務がなくなり、支払う必要はありません。しかし、奨学金は原則保証人を立てていますので、保証人が代わりに返済しなければいけなくなってしまいます。
保証人も奨学金の返済が厳しいのであれば、債務整理を検討する必要が出てくるかもしれません。
一部の職業は一定期間資格・職業制限がある
自己破産をすると、一部の資格・職業については制限がかかってしまいます。
- 警備員
- 宅地建物取引士
- 生命保険外交員
- 貸金業
- 会社の取締役
- 不動産鑑定士
- 弁護士
- 司法書士
- 税理士
- 公認会計士
- 社会保険労務士
- 旅行業
ただし、制限されるのは一時的なものです。裁判所から免責許可の決定を受ければ資格制限が解除され、通常通り働くことができるようになるでしょう。
ただし、一時的にでも制限されれば仕事に支障が出てしまいます。職場に報告することも必要となるでしょう。
退職金は金額により処分対象となる
実際に裁判所に納めることになる金額は、会社からの退職金証明を取得するか退職金起点などを基に大体の金額を計算し、裁判所に申告することで算出します。
ただし、退職金が全額差し押さえられるのは、既に受け取っている退職金がある方のみで、破産手続き時点で退職していても退職金を受け取っていないのであれば、全額が対象とななりません。
法律上、退職金の予定額の4分の3は差し押さえ禁止債権となっているため、破産手続き開始時点で支払われるであろう退職金の4分の1を納めればOKです。
まだ退職していない場合は、退職金の見込額の8分の1が対象となります。
実際に裁判所に納められている金額は、4分の1に満たないことも珍しくはありません。東京地方裁判所などでは、退職金額の8分の1までに抑えられるなど、その運用は異なります。
ちなみに、計算を行った結果退職金の納めるべき金額が20万円を超えなければ差し押さえられることはありません。
また、確定拠出年金などの企業年金は差し押さえが禁止されており、処分されることはありません。
会社に連絡されることはないが勤務先に借金がある場合はバレる
自己破産をしたことを会社に報告する義務はありませんし、裁判所が会社に連絡することもありませんから、一般的に自己破産をしても会社にバレる心配はありません。
しかし、勤務先からの借り入れがある場合は勤務先も債権者となりますから、裁判所や破産管財人から勤務先に通知が届くことになります。
勤務先からの借金を隠して自己破産をすることはできませんし、隠してしまうと免責が認められなくなる恐れがあるため絶対に内緒にすることはやめましょう。
また、自己破産をすることにより制限を受ける資格・職業に就いている場合も会社に報告せざるを得ませんから、会社にバレてしまうでしょう。
ブラックリストに載る
自己破産をすると個人信用情報に事故情報が登録され、ブラックリストに載ることとなります。
ブラックリストに載ると、新規クレジットカードの作成や新たな借り入れなどができなくなります。
ブラックリストについては、後程詳しく解説します。
賃貸物件に住むことはできるが保証会社の保証審査に取らない可能性はある
自己破産をしても今住んでいる賃貸物件から出ていく必要はありません。自己破産を理由として賃貸住宅から退去を求められることは法律で禁止されているためです。
賃貸物件からの退去を求められるのは、家賃を滞納している場合です。
家賃を滞納していれば賃貸契約を解除される可能性があるので注意が必要です。
また、賃貸物件に住むにあたり、保証会社の保証を受けている場合は自己破産により保証が受けられなくなる可能性があります。保証が受けられなければ住み続けることが難しくなる恐れがあるため、こちらも注意が必要です。
携帯端末の返還を求められる可能性がある
仕事で携帯電話を使うことが多い方などは、支障たでてしまうかもしれません。
携帯電話を購入する際、端末を分割払いにしていてまだ支払い終わってない場合は、自己破産をすることで解約となり端末の返還を求められる場合もあります。
端末代金を支払い終わっている、利用料金の滞納がない場合は、そのまま利用し続けられるので心配することはありません。
逆に利用料の滞納があれば、料金回収の見込みがなくあんってしまうため、解約を求められるでしょう。
端末代を一括で支払う、滞納している利用料を一括で支払うなどすれば、引き続き使用できる場合はありますが、もし解約となってしまった場合は、プリペイド携帯やレンタル携帯などの利用を検討してみてはいかがでしょうか。
保険を解約しなければいけない場合がある
自己破産をすると、解約返戻金の総額が20万円以上ある保険は解約して借入先への分配に充てられてしまいます。解約返戻金が債権者へ分配することができる財産であるとみなされるためです。
生命保険や学資保険などの解約を求められるケースもあるので気を付けましょう。ただし、保険の必要性が裁判所に認められれば保険を解約せずに残すことができる場合もあります。
また、契約者貸付制度を利用することでも例外的に保険を維持することができます。契約者貸付制度は、資金が必要な際に解約返戻金を一定の範囲で貸し付ける制度です。利用する際には、所定の利息がかかります。
保険の契約者貸付制度については、各保険会社の公式サイトでも紹介しています。概要を紹介するとともに、必要な手続きについても一緒に紹介していることが多いので一度チェックしてみると良いでしょう。
ただし、契約者貸付制度の利用は難しく問題になるケースもあります。自分が保険の解約をする必要があるのかを確認したい、どうしても保険を残したい場合なども、自分で判断せず、必ず弁護士にサポートしてもらいましょう。
給与の差し押さえを止められる
自己破産手続きを行うことで、給与を差し押さえられることなく手続きを進めることができます。
すでに給与を差し押さえられてしまっている場合も、自己破産を申し立てて手続きを進めると給与差し押さえの効力が失われ、給与の差し押さえを止めることができるのです。
ただし、いつ差し押さえが止められるかについては、手続きによって変わります。
- 破産手続き開始決定が出されれば給与差し押さえはストップされる。
- ただし、差し押さえがストップするだけで差し押さえ自体の効力は失われていない。
- 破産手続きが進行し免責許可決定が確定した時点で差し押さえ効力がなくなることになる。
- 破産申し立てを行い、破産手続きの開始が決定した場合に給与の差し押さえ効力を失う。
- 破産手続き開始決定により全額給与を受け取ることができるようになる。
生活保護は受給できる
自己破産をいても生活保護を受給することはできます。すでに生活保護を受けている人も自己破産をすることはできますし、自己破産をした後も生活保護の申請をすることはできます。
むしろ、生活保護費の中から借金を返済してしまうと返済に充てるだけの余剰資金があったと判断され、生活受給の資格が停止されてしまうリスクがあります。
生活保護費から返済しないよう注意しましょう。
生活費が不足しお金がない場合、まずは自分の家計を見直し、支出を抑える工夫が必要です。家計相談窓口や金融機関のアドバイスを受けることも、困難な状況から抜け出すための手段です。状況によっては生活保護、生活福祉資金や公的支援制度を活用することも検討できます。
自己破産したらブラックリストに載る!これによるデメリットを紹介
自己破産をすると「ブラックリストに載る」状態となります。
ただし、実際にブラックリストと呼ばれるリストが存在しているわけではありません。ブラックリストとは、個人信用情報に事故情報が登録されている状態です。
ブラックリストに載るのは、自己破産をしたときに限りません。
- 債務整理(任意整理、個人再生、自己破産、特定調停)
- 61日以上または3か月以上の延滞
- 代位弁済
これらもブラットリストに載る要因となります。
ブラックリストに載ることによるデメリットは、以下の通りです。
- クレジットカードの新規作成、利用
- 新規ローン・借入の契約
- 住宅ローン、マイカーローンなどのローン契約
- スマートフォン本体の分割払い
- 保証人になること
自己破産でブラックリスト扱いになる期間は、5~7年です。この期間経過後は事故情報が削除され、ブラックリストではなくなると考えてください。
自分でブラックリストかどうかを確認するためには、各信用情報機関に情報の開示請求を行う必要があります。
開示請求の方法は信用情報機関によって異なります。
- CIC:パソコン、スマホ、郵送
- JICC:スマホ専用アプリ、郵送
- KSC:パソコン、スマホ専用アプリ、郵送
インターネットでの開示には500円~1,000円、郵送は1,000円~1,500円程度の費用がかかります。詳しい開示請求方法については、各信用情報機関の公式サイトをチェックしてください。
ブラックリストに載ることでよく目にするデメリットとして、クレジットカードが作れなくなるという点が挙げられます。問題がある場合でも注意が必要であり、新規作成や利用ができない可能性は高いといえます。審査では収入証明や過去の借り入れ状況が重視されます。
またブラックリストに載ってしまった場合でも、お金を借りられる業者が存在します。しかし、高金利や厳しい返済条件が設定されていることが多く、再び借金問題に陥るリスクがあります。安易に借り入れを行うのではなく、まずは専門家に相談して適切な解決策を見つけることが大切です。
また、違法な貸金業者による闇金被害に遭う可能性もあるため、十分な注意が必要です。正規の金融機関からの借り入れが難しい場合は、公的な支援制度や生活福祉資金貸付制度などを検討してみましょう。
ブラック入り回避のため自己破産せず?借金放置するとどうなる!強制執行で給与差し押さえも!?
自己破産をしたくないと思っていても、借金問題が自然と解決することはありません。借金をそのまま放置すれば、最終的に強制執行が行われてしまいます。
強制執行では、不動産や給与・預金を差し押さえることができます。
給与を差し押さえるまでの流れは以下の通りです。
- 債務者住所地管轄の地方裁判所に申立て
- 裁判所による差し押さえ命令
- 差し押さえ(給与の4分の1または月給44万円を超える場合は33万円を除いた額)
- 差し押さえ命令送達から1週間または4週間経過後は債権者が取り立て可能になる
基本的に差し押さえ命令が出れば、債権を回収し終えるまで給与が差し押さえられ続けることになるのです。
一方、自己破産手続きを開始すると新たに取得する給与・ボーナスは新得財産となり、差し押さえられることはありません。また、強制執行により給与が差し押さえられていたとしても、自己破産手続きが開始すれば給与の強制差し押さえは中断されます。
自己破産以外にも債務整理で借金減額できる方法もあるため、専門家への相談は日強不可欠ですよ!
自己破産以外で借金解決するとどうなる?持ち家を守れる方法もあり!
「債務整理=自己破産」というイメージを持っている方は少なからずいますが、自己破産は債務整理の最終手段です。
債務整理の方法は自己破産だけではなく、任意整理や個人再生といった他の方法なら持ち家を残せたり、職業の制限がかかったりもなく、借金の理由を問われることもありません。
任意整理なら確実に手持ちの財産や持ち家を残せる
任意整理は、弁護士や司法書士が債権者に直接交渉することによって借金を減額したり返済期間を伸ばしたりする方法です。自己破産のように財産が処分されることはなく、持ち家は確実に残せます。
ただし、任意整理でカットできるのは、利息や遅延損害金です。減額率は高いとはいえないため、住宅ローンが大きな負担となっている場合や、減額後も返済できる見込みがない場合は任意整理での解決は厳しいでしょう。
持ち家の資産価値が高い場合は、先に持ち家の処分を促してくる債権者もいるため、交渉が上手く進まない場合もあります。これらの問題点を踏まえて、検討してみてください。
個人再生なら住宅ローン特則が使えるので住宅ローンを引き続き返しながら債務の整理も可能です!
個人再生では、「住宅資金特別条項」いわゆる「住宅ローン特則」を利用できます。住宅ローンだけは債務整理の対象とせずに支払い続けられる制度で、マイホームを守りながらその他の借金を大幅に減額することが可能です。
ただ、個人再生は債務整理の中で最も手続きが複雑で、住宅ローン特則を利用するとさらに手続きが複雑になるため、時間を要します。状況によっては住宅ローン特則を利用できない場合もあるため、専門家に相談して確認してください。
また、個人再生では「清算価値保障原則」という保有財産の価値以上の弁済をしなければいけない決まりがあります。持ち家の資産価値(住宅ローンを返済中の場合は住宅ローンの残債を差し引いた額)以上の弁済をする必要があります。
特定調停は自力で安くできる債務整理!しかし成功率が低いと言われている!
特定調停も債務整理手続き方法の1つです。利用者は少ないのですが、概要について説明しておきます。
特定調停とは、裁判所に債権者・債務者の話し合いを仲介してもらい、返済条件の軽減などの合意を目指す手続きです。一般的には、将来利息のカット、元本を3~5年で分割返済するという任意整理と同様の和解案で合意を目指していきます。
特定調停は手続きが簡単で比較的早く終わりますし、弁護士・司法書士などの専門家に依頼する必要がなく費用を抑えられるメリットがあります。
一方、デメリットとしては平日に裁判所での話し合いが必要となるため時間を取られてしまうこと、ブラックになることが挙げられるでしょう。
一見メリットの方があるように思える特定調停ですが、特定調停を利用する人は多くありません。
なぜなら、特定調停は成功率が3%~10%程度だと言われており、失敗する可能性が高い手続きとなるためです。
特定調停が失敗してしまう原因としては、債権者が非協力的であり合意が得られにくいことが挙げられるでしょう。特定調停が失敗してしまえば、任意整理や個人再生、自己破産などを検討することになります。
債務整理には任意整理、個人再生、特定調停、そして自己破産といった手続きがあり、それぞれ条件や向いている人、メリット・デメリットがあり、自分に最適な方法があります。
それらをよく理解し、弁護士や司法書士のアドバイスを受けながら慎重に方法を選択することが大切です。
無理をして任意整理や個人再生を行っても、減額された借金を支払っていけなければ、また同じことになってしまい意味がありません。
減額された借金を返済できなかった場合、結果的に自己破産することになり、持ち家を手放さなくてはいけなくなることもあります。
自分には本当に自己破産が合っているのか?については、無料の借金相談を利用して弁護士や司法書士にアドバイスをもらったり、専門家が無料提供している借金減額診断を利用して減額の可能性や自分に合った減額の方法を先に知っておいた方が良いです。
借金減額診断について紹介!自己破産が本当に自分の借金問題解決に合っているのか?を事前に知ることができる
自己破産をするべきかどうか迷っている人、自分の借金が減額できる可能性があるのか知りたい人は、借金減額診断の利用をおすすめします。
借金減額診断は、いくつかの項目を入力するだけで借金減額の可能性を判断してもらうことが出来るツールです。
無料・匿名で利用出来る、弁護士・司法書士事務所などが運営しているなど、安心して利用できるメリットがあります。
入力・選択項目としては、以下のものが挙げられます。
- 借金総額
- 借金期間
- 返済状況
これらの項目を入力・選択するだけで瞬時に減額の可能性有無を判断してもらうことができるのです。
借金減額診断は適した債務整理方法を判断できることもメリット
自己破産を検討していても、実際は自己破産よりも適した債務整理方法があるかもしれません。自分では判断することが困難ですが、弁護士や司法書士などの専門家は多くのノウハウから各依頼者の状況に適した方法を提案してくれます。
借金減額診断で詳細な診断を希望し、自分の借金状況について詳しく伝えることで過払い金請求や任意整理、個人再生という手続きを選択することで状況が改善する可能性を知ることが出来るのです。
また、結果を見て詳しく話が聞きたい、と思えば、運営している弁護士・司法書士事務所に連絡・相談してみると良いでしょう。相談した結果によってはそのまま依頼をすることもできます。診断から相談、依頼、手続き開始までスムーズに進めることが出来るのも借金減額診断のメリットでしょう。
借金減額診断を利用するデメリットと注意点
借金減額診断は便利なものですが、あくまでも簡易診断ですから詳しい情報から調査すれば結果が異なることがあります。
より詳しい診断結果を希望するのであれば、メールアドレスなどの情報を送信する必要があります。連絡先を伝えることで、勧誘の連絡が頻繁に届くこともあるようです。
また、借金減額診断を利用する際には、悪質な業者に引っかからないよう気を付けなければいけません。
- 診断費用を請求される
- 最初から個人情報を求められる
- 運営元がはっきりしていない
これらに該当する借金減額診断ツールは、決して利用しないようにしましょう。個人情報を取られる可能性があり大変危険です。
自己破産するとどうなるのかに関する誤解を総まとめ!正しい情報を確認
自己破産をすると一定以上の財産を差し押さえられるなど様々なデメリットがあるのは事実です。しかし、自己破産をしても影響が出ないこともたくさんあります。
ここでは、自己破産に関して多く見られる誤解をまとめました。正しい情報をチェックしておきましょう。
自己破産をすると引っ越しができない?
自己破産手続き期間中は、引っ越しする際に裁判所の許可を受ける必要があります。破産手続き中に破産者が逃亡するなどのリスクを避けるためです。
ただし、破産手続きが終了すれば自由に引っ越しをすることができます。
年金が受給できなくなる?
自己破産をしても年金を受給することはできます。
国民年金や厚生年金は差し押さえ禁止財産となっており、現在受給している人は引き続き受給できますし、現在働いている方も将来年金を受給できなくなることはありません。
ただし、個人年金は差し押さえ禁止財産となっておらず、解約返戻金が20万円を超えると差し押さえられてしまいます。
賃貸住宅が借りられなくなる?
自己破産をしても、自己破産が原因で賃貸住宅を借りられなくなることはありません。しかし、自己破産をしてブラックになることで保証会社の保証審査に通らなければ、賃貸物件が借りられないことはあります。
家を借りる際の審査がオーナーや管理会社の審査のみであれば、信用情報がチェックされることはほとんどないため自己破産をしても家賃の支払い能力があると判断されれば、契約することができます。
この時、年収、勤務先、勤続年数などの情報が重要視されることになるでしょう。
保証会社の審査を受ける場合は、自己破産をしてブラックになっている状態では審査を通ることは困難です。連帯保証人を立てる、保証会社に一定の保証料を支払って契約をするなどの方法を検討する必要が出てきます。
自己破産後に賃貸物件を探すときには、保証会社との契約がいらない物件を探す、連帯保証人を立てる、自己破産をしていない同居家族名義で契約するなどの対策を検討しましょう。
携帯電話、スマートフォンを持つことはできない?
自己破産をしても携帯電話やスマートフォンを持つことはできます。携帯電話の本体代金を分割払いしている場合は注意が必要です。
分割払いの期間が残っている場合、自己破産をすると携帯本体の返還を求められる恐れがあります。また、携帯料金を滞納している場合も契約終了となるリスクがあるので注意が必要です。
新規で携帯電話を購入する場合も注意が必要です。自己破産をしてブラックになると、携帯本体代金の分割払いができません。しかし、一括払いであれば問題なく購入できるでしょう。
車はとられてしまう?
まずは「名義人」を確認しましょう。家族の車であれば手羽さなくても良いです。
しかし、自己破産をする方が車の名義人になっている場合は、手放さないといけない場合があります。
- 自動車ローンが残っている
- ローンは払い終わっているが、車の査定額が20万円以上である
こういった場合はまず手放さないといけない可能性の方が高いです。
逆に20万円以上の資産価値がない車であれば、処分されないこともありますし、仕事上であったり介護に必要であったりと、車が一上生活に欠かせない場合はもしかすると手放さずに済む可能性もあります。
素人判断では難しいため、弁護士に相談してみると良いでしょう。
子どもの学資保険は解約しなければいけないの?
子どもの学資保険は、解約返戻金が20万円を超えると解約して処分されてしまう恐れがあります。
ただし、学資保険をどうしても残したい場合は契約者貸し付けを利用する、自由財産拡張の申し立てをするなどの方法もあります。契約者貸し付けは解約返戻金を担保にお金を借りる方法で、借り入れをすれば利息をつけて返済することになります。
自由財産拡張とは、手元に残して置ける99万円以下の現金や差し押さえ禁止財産などの自由財産にプラスして財産を残す手続きです。
破産者が裁判所に申し立てをして裁判所に認められる必要があり、高齢者や持病を持っている方の保険は比較的に認められる傾向にあるようです。
詳しくは弁護士に確認してみると良いでしょう。
保証人の借金も帳消しになる?
自己破産をして帳消しになる借金は、あくまでも自己破産を申し立てた破産者本人のみです。保証人がいる場合、保証人に返済義務が移るため保証人が借金を返済しなければいけなくなります。
借金の支払い義務はなくなりません。
保証人には一括での借金返済を求められるケースが多いため、借金の金額が大きくて返済が難しければ保証人も自己破産などの債務整理をせざるを得なくなる恐れがあります。
自己破産をする前に、必ず保証人には借金に困っている旨、自己破産を検討している旨を伝え、承諾を得ておきましょう。
もし保証人に迷惑をかけたくないという場合は、整理する借金が選べる「任意整理」の検討もしてみてください。保証人がついていない借金のみを減額対象とすることができる手続きなので、保証人への請求がされません。
パスポートは作れる?没収され海外旅行ができなくなる?
戸籍や住民票などに自己破産情報が掲載されることはなく、パスポート作成に自己破産が影響することはありません。
自己破産をしてもパスポートが没収されることもありません。海外旅行に行くこともできますが、破産手続きが終わるまでは出張などで海外に行くときは裁判所許可を受ける必要があります。
選挙権に影響が出る?
自己破産をしても選挙権に影響は出ません。国民の権利として満18歳以上の日本人であれば誰でも選挙権を行使することができます。
戸籍や住民票に自己破産の情報が記載される?
自己破産をしても住民票や戸籍にそのような情報が記載されることはありません。住民票や戸籍から自己破産をした事実が知られてしまう可能性はありませんし、結婚や就職をする際にバレることもないでしょう。
仕事を解雇されるの?
自己破産をしたことだけが原因で解雇されるようなことはありません。そもそも、勤務先に自己破産をしたことを伝える必要もないのです。
しかし、自己破産で一定期間資格・職業の制限は生じてしまいますから、該当する場合は勤務先に内緒にすることはできません。勤務先に伝えて、休職や転属を希望するなど対策が必要です。
資格が制限される期間は3~6ヶ月程度が一般的ですが、ケースによっては1年ほどかかることもあります。勤務先への相談が欠かせないでしょう。
自己破産って借りたお金を国が肩代わりしてくれているってこと?
自己破産をすると借りたお金を国が肩代わりしてくれる、というイメージを持つ人もいるかもしれません。だからこそ、自己破産はずるい、したもん勝ちと言われれている面もあるかもしれません。
しかし、国が個人の借金を税金で助けてくれることはありません。
返済は債務者本人の資産で行います。連帯保証人がいれば、連帯保証人の財産も処分して返済に充てることとなります。
差し押さえ、売却処分された資産については、法律に基づき債権者に公平に分配されることになります。借金完済に足りない金額になることも珍しくありませんが、可能な限り返済して終了となるのです。
つまり、自己破産で財産を処分しても返しきれなかった借金については、債権者が損をすることになります。
自己破産をすれば税金の未払いもすべてチャラになるの?
自己破産をすると基本的にすべての借金が帳消しになるのですが、自己破産をしても残る借金、「非免責債権」と呼ばれるものがあります。
非免責債権を挙げてみましょう。
- 税金
- 国民健康保険保険料、国民年金保険料
- 悪意で加えた不法行為による損害賠償請求権
- 故意や重大な過失により人の生命や身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権
- 養育費
- 罰金、過料、刑事訴訟費用など
- 意図的に再検車名簿に記載しなかった借金
これらの借金は自己破産をしても継続して支払うべき借金となります。もちろん一括で支払うのは困難でしょうから、関係機関と相談し、分割払いができるように交渉するなど対応を検討しましょう。
返済をどう進めていくかについては、弁護士など専門家に相談することもおすすめします。
自己破産のデメリットやリスクを完結にまとめて教えて下さい
自己破産のデメリット、リスクとしては、以下の点が挙げられます。
- 財産を処分される
- ブラックになる
- 免責決定まで資格・職業制限がある
- 自己破産手続きに費用がかかる
- 税金や損害賠償金など残る借金もある
- 保証人に迷惑がかかる
自己破産をすると借金がゼロになるメリットがある一方で、これらのデメリットがあることは知っていなければいけません。
デメリットを理解した上で自己破産を選択することが求められますし、専門家に相談し本当に自己破産が適しているのかについても確認することが大切です。
自己破産以外に借金を減額する方法はあるの?
自己破産以外に借金を減額する方法としては、任意整理、個人再生、特定調停があります。
- 任意整理:債権者と交渉し将来利息をカットする
- 個人再生:借金を最大で5分の1~10分の1に圧縮する
- 特定調停:裁判所が仲介に入り債権者との交渉で借金返済について合意を目指す
いずれの方法を選んでもブラックになってしまうデメリットがあります。ただし、これらの方法を選択すれば自宅を手放さずに借金を減額できる可能性はありますので、まずは専門家に相談してみることをおすすめします。
自己破産は家族に内緒で進められる手続きなの?
自己破産は、家族に内緒で進めることは難しい手続きです。自宅や資産を失うため、家族には知らせざるを得ないでしょう。
また、親族から借金をしている場合、その借金も手続き対象となるため親族には必ず自己破産することが知られてしまいます。
親族からの借金について隠して自己破産をしてしまうと虚偽申告をみなされ、自己破産そのものが認められないリスクがあるのです。
自己破産をすることが家族に影響を与えると思われるのは、以下の通りです。
- 自宅や車などの財産がなくなる
- 破産者名義のクレジットカードは使えなくなる
- 家族が保証人になっていれば返済しなければいけない
- 自己破産者は一定期間保証人になれないため子供の奨学金の保証人になれない
最も大きな影響は、自宅を失ってしまうことでしょう。引っ越しを余儀なくされるため、通勤・通学や近所づきあいなどに影響します。
破産者名義のクレジットカードがあり、その家族カードを使っている場合は家族カードが使えなくなりますのでカード払いにしているものがあれば注意が必要です。
また、家族が破産者の借金の保証人になっている場合は、代わりに返済義務を負うことになります。高額な借金なら家族も自己破産に追い込まれる恐れがあります。
自己破産をするとブラックになるためローン審査に通ることはできませんし、借金の保証人になることもできません。子どもが奨学金を借りることを検討した場合も保証人になることができないので、他に保証人を探す必要があります。
家族に影響が出ないこともあるの?
自己破産をしても家族に影響しないこともあります。
- 家族名義の預貯金
- 家族名義のクレジットカード
- 結婚
- 就職
- 個人信用情報
自己破産が家族に与える影響を正しく理解し、家族で話し合った上で自己破産を行いたいですね。
自己破産をしても家族の預貯金は差し押さえられられない!
自己破産をすると、破産者の預貯金は差し押さえられてしまいます。
しかし、配偶者、子供含め家族の預貯金が差し押さえられることはありません。
自己破産はあくまでも破産者本人の手続きです。ブラックになるのも破産者本人だけであり、家族がブラックになることもありません。
裁判所から家族の通帳提出を求められる場合もあります。家計収支を確認する目的で提出するものであり、同居して家計を同じしている場合は特にチェックされるものでしょう。また、財産隠しを調べる目的でも通帳チェックは行われます。
家族の就職、結婚などに影響が出ることは基本的にはありません!
自己破産をすると免責確定までの期間、就くことができない仕事・職業があります。しかし、免責確定となれば資格・職業制限はなくなります。
家族の就職、結婚などに自己破産が影響することはありません。戸籍に自己破産情報が掲載されるようなこともありませんので、安心してください。
ただし、結婚に関しては自己破産したことを伝えることにより破断となる可能性は捨てきれません。
自己破産が向いていない人
自己破産には多くのデメリットがあるため、自己破産が向いていない人もいます。
以下に当てはまる方は、他の債務整理手続きを検討してみると良いでしょう。
- 家など失いたくない資産がある
- 借金を家族に知られたくない
- ほかの債務整理でも借金問題を解決できる
- 資格・職業制限に該当する仕事をしている
自己破産をすると一定以上の財産は処分されてしまうため、家を手放したくない人はほかの手続きを検討することをおすすめします。
また、家族に内緒で自己破産をすることは困難ですし、安定した収入があり将来利息のカットなどほかの手続きでも借金を完済できる目途が立つのであれば、自己破産でなく任意整理などの手続きで問題が解決できる可能性はあります。
資格制限に該当していると、職場で不利な状況に陥るリスクもあるため自己破産はおすすめできません。
自己破産のデメリットを避けたいなら任意整理や個人再生という選択肢もある
自分が自己破産に向いていないかもしれないと思ったら、任意整理や個人再生を検討しても良いでしょう。
それぞれの手続きについて特徴やメリット・デメリットを紹介していきます。
遅延損害金や将来利息をカットできる任意整理
任意整理は、裁判所を通さずに債権者と直接交渉をして借金の減額を目指す手続きです。
- 未払い利息、将来利息や遅延損害金のカットを目指す
- 減額後の借金は原則3年で返済する
- 手続きする債権者を選ぶことができる
では、任意整理のメリットとデメリットを見てみましょう。
- 利息がカットできる
- 手続きする債権者を選べる
- 元本だけ返済できるので月々の返済額が一定になる
- 過払い金請求で返還された過払い金を元金に充てることができる
- 家族に内緒で手続きできる
手続きする債権者を選ぶことができるので、保証人がいる借金を省く、住宅ローンを省くなど調整できます。保証人に迷惑をかけることなく手続きできるのが魅力でしょう。
- 事故情報が登録されブラックになる
- 任意整理だけでは元金が減額されない
- 大幅な減額効果は見込めない
- 相手が交渉に応じてくれないことがある
任意整理は利息のカットがメインとなるので、元金そのものを減額する効果はありません。過払い金請求をして元金返済に充てることは可能です。また、債権者が交渉に応じない場合もあり、望むような成果が得られない恐れもあります。
自宅を残したまま大きく借金減額が期待できる個人再生
個人再生は、裁判所から許可を得て借金額を5分の1~10分の1まで減額する手続きです。どのくらい減額できるかについては、借入や資産状況によって異なります。
- 借金を5分の1~10分の1まで減額できる
- 残った借金は原則3~5年で返済する
- 住宅ローン特則を利用すれば自宅を手放さずに済む
では、具体的なメリット・デメリットを見ていきましょう。
- 借金を大幅に減額できる
- 自宅を残したまま借金を減額できる
- 無理のないペースで毎月返済できるようになる
自己破産と違い車や住宅を手放さずに手続きできるため、手続き後も引っ越す必要がないのが最大の魅力です。
- 事故情報が登録されブラックになる
- 保証人が借金を支払うことになる
- 官報に氏名や住所が掲載される
個人再生には官報に掲載されるなど自己破産と同じようなデメリットがあります。また、手続きが煩雑で専門的ない知識やノウハウが必要となるため、専門家の協力が必要不可欠です。
自己破産をしても実は一定の財産を残して生活を立て直すことができる
自己破産で借金を帳消しにする代わりにすべてを失ってしなう、というイメージを持っている方もいるかもしれませんが、自己破産をして失うのは一定以上の財産・資産です。
自宅は失ってしなうかもしれませんが、99万円までの現金、20万円までの預貯金、家具や家電などは手元に残すことができますし、自己破産後に得た収入はすべて自分のものにすることができます。
また、自己破産をすれば保証人に返済義務が移ってしまいますが、保証人でない家族が返済を求められることはありませんし、家族名義の預貯金や保険、クレジットカードなどにも影響は出ません。
人生をリスタートするための手続きであり、決して「終わり」ではありません。自己破産をするとどうなるのか、家族にどのような影響が出る恐れがあるのかを正しく理解することが大切です。