自己破産をするとどうなる?デメリットや家族への影響、自己破産の誤解まとめ
自己破産をすることで借金が帳消しになる一方で、「自己破産をすると終わりだ」「自己破産をするとすべてを失ってしまう」そんなイメージを持つ人もいるかもしれません。
自己破産をすると具体的にどうなってしまうのか、正しく理解できている人はいないのでは?
ここでは、自己破産をするとどうなるのかを紹介するとともに、自己破産に関する誤解や家族に対する影響などについても解説していきます。
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自己破産をするとどうなる?
自己破産は裁判所に申し立てをして裁判所が免責を認めることで、原則借金がゼロになる手続きです。借金に困っている人を救済するための措置のため、借金救済制度とも呼ばれている債務整理の手続の一つです。借金がゼロになれば返済負担が軽減され、生活を立て直すことができるでしょう。
破産手続きをしただけでは、借金をゼロにすることはできません。そもそも自己破産は、これ以上借金が返せない状況だることを裁判所が認めた場合に申し立てられる手続きです。
また、浪費やギャンブルなどによる借金は免責を認めない「非免責債権」となっており、これに該当していないことが免責を認める条件となります。
自己破産をすると借金地獄から逃れられるかもしれませんが、その代償として生活に何らかの影響を与えてしまうことも事実です。まず、自己破産をするとどうなるのかを一覧で確認してみましょう。
- 借金が帳消しになる ただし非免責債権は除く
- 持ち家は原則手放す
- 一定以上の資産は失ってしまう
- クレジットカードの利用や新規契約ができなくなる
- 住所・氏名が官報に記載される
- 保証人に返済義務が移る
- 奨学金は支払わなくて済むが保証人に返済が移る
- 一部の職業は一定期間資格・職業制限がある
- 退職金は金額により処分対象となる
- 会社に連絡されることはないが勤務先に借金がある場合はバレる
- ブラックリストに載る
- 賃貸物件に住むことはできるが保証会社の保証審査に取らない可能性はある
- 携帯端末の返還を求められる可能性がある
- 保険を解約しなければいけない場合がある
- 給与の差し押さえを止められる
- 生活保護は受給できる
これら16項目について、詳しく紹介していきます。
借金が帳消しになる ただし非免責債権は除く
原則として、自己破産をすると借金はゼロになり支払義務がなくなるのですが、それは借金が免責されるためです。
債務を弁済する責任から免れさせること。これにより、借金を支払わなくてよくなる
ただし、自己破産をしても残る借金「非免責債権」があることに注意が必要です。
- 税金
- 国民健康保険料
- 養育費
- 罰金
- 損害賠償金
これらの借金は、たとえ自己破産をしても支払い義務がなくなることはありません。自己破産後もしっかりと支払うようにしましょう。
支払いが難しい場合は、自治体や税務署、弁護士などに借金相談するようにしてください。
持ち家は原則手放す
持ち家は原則処分されてしまうため、手放さなければいけません。
住宅ローンが残っている、残っていないに関わらず住宅は処分されてしまいます。
住宅ローンが残っている場合も自己破産により借金が帳消しとなるのですが、それは住宅やその他の資産を処分することで借金返済に充当されることになるので家を手放すことには変わらないのです。
自己破産をするにあたり、住宅ローンだけを払い続けて家を残そうとする行為は特定の債権者を優遇する「偏波弁済」にあたり、禁止されています。
一定以上の資産は失ってしまう
自己破産をすると、価値のある資産は処分されて債権者への返済に充てられてしまいます。
しかし、すべての資産を失ってしまうわけではありません。手元に残すことができる財産はこちらです。
- 破産手続き開始後に取得した財産
- 法律で差し押さえが禁止されている財産
- 99万円以下の現金
- 残高が20万円以下の預貯金
- 20万円以下の生命保険解約返戻金
- 家財道具
自己破産後に生活を立て直すために必要な最低限の現金や預貯金は手元に残すことができますし、家具や家電、食料などが差し押さえられることもありません。
車は、資産価値が20万円を超えると処分されてしまいますが、20万円を超える価値がなければ手放さずに持ち続けることが可能です。また、仕事上どうしても車が必要である場合も手元に残せる可能性があります。
資産価値が20万円以上かどうかを判断する基準としては、大阪地裁では初年度登録から7年以上、軽自動車なら5年以上経過しており、新車時の車両本体価格が300万円に満たない国産車の場合は価値がない、と判断するよう運用を行っています。
差し押さえ禁止財産については、国税庁のホームぺージでも詳しく紹介しています。衣類や食料などだけでなく、農業や漁業など仕事に関するもの、信仰または礼拝の対象になっているものなど項目ごとに紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
クレジットカードの利用や新規契約ができなくなる
自己破産をすると、現在利用しているクレジットカードが利用できなくなるだけでなく、信用情報に事故情報が登録されるため新規契約もできなくなってしまいます。
住所・氏名が官報に記載される
自己破産をすると、住所や氏名が官報に記載されます。官報とは、国が発行している新聞のようなものです。
官報は誰でも見ることができますが、一般の方が官報を見る機会はほとんどないため知人に知られる心配はありません。
保証人に返済義務が移る
自己破産をすると自己破産をした本人の債務は免責となり借金をゼロにできるかもしれませんが、保証人の支払い義務はそのまま維持されます。
自己破産をすることで保証人に返済義務が移ってしまうことになるのです。
保証人が債権者から請求された場合、この請求を拒むことはできません。
保証人も返済できないようであれば自己破産などの債務整理手続きを検討することになるでしょう。
保証人がいる借金がある場合は、自己破産をする前に相談することが大切です。
奨学金は支払わなくて済むが保証人に返済が移る
奨学金も免責が認められれば返済義務がなくなり、支払う必要はありません。しかし、奨学金は原則保証人を立てていますので、保証人が代わりに返済しなければいけなくなってしまいます。
保証人も奨学金の返済が厳しいのであれば、債務整理を検討する必要が出てくるかもしれません。
一部の職業は一定期間資格・職業制限がある
自己破産をすると、一部の資格・職業については制限がかかってしまいます。
- 警備員
- 宅地建物取引士
- 生命保険外交員
- 貸金業
- 会社の取締役
- 不動産鑑定士
- 弁護士
- 司法書士
- 税理士
- 公認会計士
- 社会保険労務士
- 旅行業
ただし、制限されるのは一時的なものです。裁判所から免責許可の決定を受ければ資格制限が解除され、通常通り働くことができるようになるでしょう。
ただし、一時的にでも制限されれば仕事に支障が出てしまいます。職場に報告することも必要となるでしょう。
退職金は金額により処分対象となる
実際に裁判所に納めることになる金額は、会社からの退職金証明を取得するか退職金起点などを基に大体の金額を計算し、裁判所に申告することで算出します。
ただし、退職金が全額差し押さえられることはありません。
法律上、4分の3は差し押さえ禁止債権となっているため、破産手続き開始時点で支払われるであろう退職金の4分の1を納めればOKです。
実際に裁判所に納められている金額は、4分の1に満たないことも珍しくはありません。東京地方裁判所などでは、退職金額の8分の1までに抑えられるなど、その運用は異なります。
ちなみに、計算を行った結果退職金の納めるべき金額が20万円を超えなければ差し押さえられることはありません。
また、確定拠出年金などの企業年金は差し押さえが禁止されており、処分されることはありません。
会社に連絡されることはないが勤務先に借金がある場合はバレる
自己破産をしたことを会社に報告する義務はありませんし、裁判所が会社に連絡することもありませんから、一般的に自己破産をしても会社にバレる心配はありません。
しかし、勤務先からの借り入れがある場合は勤務先も債権者となりますから、裁判所や破産管財人から勤務先に通知が届くことになります。
勤務先からの借金を隠して自己破産をすることはできませんし、隠してしまうと免責が認められなくなる恐れがあるため絶対に内緒にすることはやめましょう。
また、自己破産をすることにより制限を受ける資格・職業に就いている場合も会社に報告せざるを得ませんから、会社にバレてしまうでしょう。
ブラックリストに載る
自己破産をすると個人信用情報に事故情報が登録され、ブラックリストに載ることとなります。
ブラックリストに載ると、新規クレジットカードの作成や新たな借り入れなどができなくなります。
ブラックリストについては、後程詳しく解説します。
賃貸物件に住むことはできるが保証会社の保証審査に取らない可能性はある
自己破産をしても今住んでいる賃貸物件から出ていく必要はありません。自己破産を理由として賃貸住宅から退去を求められることは法律で禁止されているためです。
賃貸物件からの退去を求められるのは、家賃を滞納している場合です。
家賃を滞納していれば賃貸契約を解除される可能性があるので注意が必要です。
また、賃貸物件に住むにあたり、保証会社の保証を受けている場合は自己破産により保証が受けられなくなる可能性があります。保証が受けられなければ住み続けることが難しくなる恐れがあるため、こちらも注意が必要です。
携帯端末の返還を求められる可能性がある
携帯電話を購入する際、端末を分割払いにしていてまだ支払い終わってない場合は、自己破産をすることで解約となり端末の返還を求められる場合もあります。
端末代金を支払い終わっている、利用料金の滞納がない場合は、そのまま利用し続けられるので心配することはありません。
保険を解約しなければいけない場合がある
自己破産をすると、解約返戻金の総額が20万円以上ある保険は解約して借入先への分配に充てられてしまいます。
生命保険や学資保険などの解約を求められるケースもあるので気を付けましょう。ただし、保険の必要性が裁判所に認められれば保険を解約せずに残すことができる場合もあります。
また、契約者貸付制度を利用することでも例外的に保険を維持することができます。契約者貸付制度は、資金が必要な際に解約返戻金を一定の範囲で貸し付ける制度です。利用する際には、所定の利息がかかります。
保険の契約者貸付制度については、各保険会社の公式サイトでも紹介しています。概要を紹介するとともに、必要な手続きについても一緒に紹介していることが多いので一度チェックしてみると良いでしょう。
参照元:住友生命「契約者貸付のご利用」
自分が保険の解約をする必要があるのかを確認したい、どうしても保険を残したい場合は、弁護士に相談してみると良いでしょう。
給与の差し押さえを止められる
自己破産手続きを行うことで、給与を差し押さえられることなく手続きを進めることができます。
すでに給与を差し押さえられてしまっている場合も、自己破産を申し立てて手続きを進めると給与差し押さえの効力が失われ、給与の差し押さえを止めることができるのです。
ただし、いつ差し押さえが止められるかについては、手続きによって変わります。
- 破産手続き開始決定が出されれば給与差し押さえはストップされる。
- ただし、差し押さえがストップするだけで差し押さえ自体の効力は失われていない。
- 破産手続きが進行し免責許可決定が確定した時点で差し押さえ効力がなくなることになる。
- 破産申し立てを行い、破産手続きの開始が決定した場合に給与の差し押さえ効力を失う。
- 破産手続き開始決定により全額給与を受け取ることができるようになる。
生活保護は受給できる
自己破産をいても生活保護を受給することはできます。すでに生活保護を受けている人も自己破産をすることはできますし、自己破産をした後も生活保護の申請をすることはできます。
むしろ、生活保護費の中から借金を返済してしまうと返済に充てるだけの余剰資金があったと判断され、生活受給の資格が停止されてしまうリスクがあります。
生活保護費から返済しないよう注意しましょう。
ブラックリストに載ることによるデメリットを紹介
自己破産をすると「ブラックリストに載る」状態となります。
ただし、実際にブラックリストと呼ばれるリストが存在しているわけではありません。ブラックリストとは、個人信用情報に事故情報が登録されている状態です。
ブラックリストに載るのは、自己破産をしたときに限りません。
- 債務整理(任意整理、個人再生、自己破産、特定調停)
- 61日以上または3か月以上の延滞
- 代位弁済
これらもブラットリストに載る要因となります。
ブラックリストに載ることによるデメリットは、以下の通りです。
- クレジットカードの新規作成、利用
- 新規ローン・借入の契約
- 住宅ローン、マイカーローンなどのローン契約
- スマートフォン本体の分割払い
- 保証人になること
自己破産でブラックリスト扱いになる期間は、5~7年です。この期間経過後は事故情報が削除され、ブラックリストではなくなると考えてください。
自分でブラックリストかどうかを確認するためには、各信用情報機関に情報の開示請求を行う必要があります。
開示請求の方法は信用情報機関によって異なります。
- CIC:パソコン、スマホ、郵送
- JICC:スマホ専用アプリ、郵送
- KSC:パソコン、スマホ専用アプリ、郵送
インターネットでの開示には500円~1,000円、郵送は1,000円~1,500円程度の費用がかかります。詳しい開示請求方法については、各信用情報機関の公式サイトをチェックしてください。
自己破産に関する誤解を総まとめ!正しい情報を確認しよう
自己破産をすると一定以上の財産を差し押さえられるなど様々なデメリットがあるのは事実です。しかし、自己破産をしても影響が出ないこともたくさんあります。
ここでは、自己破産に関して多く見られる誤解をまとめました。正しい情報をチェックしておきましょう。
自己破産をすると引っ越しができない?
自己破産手続き期間中は、引っ越しする際に裁判所の許可を受ける必要があります。破産手続き中に破産者が逃亡するなどのリスクを避けるためです。
ただし、破産手続きが終了すれば自由に引っ越しをすることができます。
年金が受給できなくなる?
自己破産をしても年金を受給することはできます。
国民年金や厚生年金は差し押さえ禁止財産となっており、現在受給している人は引き続き受給できますし、現在働いている方も将来年金を受給できなくなることはありません。
ただし、個人年金は差し押さえ禁止財産となっておらず、解約返戻金が20万円を超えると差し押さえられてしまいます。
賃貸住宅が借りられなくなる?
自己破産をしても、自己破産が原因で賃貸住宅を借りられなくなることはありません。しかし、自己破産をしてブラックになることで保証会社の保証審査に通らなければ、賃貸物件が借りられないことはあります。
家を借りる際の審査がオーナーや管理会社の審査のみであれば、信用情報がチェックされることはほとんどないため自己破産をしても家賃の支払い能力があると判断されれば、契約することができます。
この時、年収、勤務先、勤続年数などの情報が重要視されることになるでしょう。
保証会社の審査を受ける場合は、自己破産をしてブラックになっている状態では審査を通ることは困難です。連帯保証人を立てる、保証会社に一定の保証料を支払って契約をするなどの方法を検討する必要が出てきます。
自己破産後に賃貸物件を探すときには、保証会社との契約がいらない物件を探す、連帯保証人を立てる、自己破産をしていない同居家族名義で契約するなどの対策を検討しましょう。
携帯電話、スマートフォンを持つことはできない?
自己破産をしても携帯電話やスマートフォンを持つことはできます。携帯電話の本体代金を分割払いしている場合は注意が必要です。
分割払いの期間が残っている場合、自己破産をすると携帯本体の返還を求められる恐れがあります。また、携帯料金を滞納している場合も契約終了となるリスクがあるので注意が必要です。
新規で携帯電話を購入する場合も注意が必要です。自己破産をしてブラックになると、携帯本体代金の分割払いができません。しかし、一括払いであれば問題なく購入できるでしょう。
車はとられてしまう?
車は20万円以上の資産価値がなければ処分されないこともあります。
また、仕事上車が欠かせない場合は手放さずに済む場合もありますので、弁護士に相談してみると良いでしょう。
子どもの学資保険は解約しなければいけないの?
子どもの学資保険は、解約返戻金が20万円を超えると解約して処分されてしまう恐れがあります。
ただし、学資保険をどうしても残したい場合は契約者貸し付けを利用する、自由財産拡張の申し立てをするなどの方法もあります。契約者貸し付けは解約返戻金を担保にお金を借りる方法で、借り入れをすれば利息をつけて返済することになります。
自由財産拡張とは、手元に残して置ける99万円以下の現金や差し押さえ禁止財産などの自由財産にプラスして財産を残す手続きです。
破産者が裁判所に申し立てをして裁判所に認められる必要があり、高齢者や持病を持っている方の保険は比較的に認められる傾向にあるようです。
詳しくは弁護士に確認してみると良いでしょう。
保証人の借金も帳消しになる?
自己破産をして帳消しになる借金は、あくまでも自己破産を申し立てた破産者本人のみです。保証人がいる場合、保証人に返済義務が移るため保証人が借金を返済しなければいけなくなります。
保証人には一括での借金返済を求められるケースが多いため、返済が難しければ保証人も自己破産せざるを得なくなる恐れがあります。
パスポートが没収され海外旅行ができなくなる?
自己破産をしてもパスポートが没収されることはありません。海外旅行に行くこともできますが、破産手続きが終わるまでは出張などで海外に行くときは裁判所許可を受ける必要があります。
選挙権に影響が出る?
自己破産をしても選挙権に影響は出ません。国民の権利として満18歳以上の日本人であれば誰でも選挙権を行使することができます。
戸籍や住民票に自己破産の情報が記載される?
自己破産をしても住民票や戸籍にそのような情報が記載されることはありません。住民票や戸籍から自己破産をした事実が知られてしまう可能性はありませんし、結婚や就職をする際にバレることもないでしょう。
自己破産が家族に与える影響はある?
自己破産は、家族に内緒で進めることは難しい手続きです。自宅や資産を失うため、家族には知らせざるを得ないでしょう。
また、親族から借金をしている場合、その借金も手続き対象となるため親族には必ず自己破産することが知られてしまいます。
親族からの借金について隠して自己破産をしてしまうと虚偽申告をみなされ、自己破産そのものが認められないリスクがあるのです。
自己破産をすることが家族に影響を与えると思われるのは、以下の通りです。
- 自宅や車などの財産がなくなる
- 破産者名義のクレジットカードは使えなくなる
- 家族が保証人になっていれば返済しなければいけない
- 自己破産者は一定期間保証人になれないため子供の奨学金の保証人になれない
最も大きな影響は、自宅を失ってしまうことでしょう。引っ越しを余儀なくされるため、通勤・通学や近所づきあいなどに影響します。
破産者名義のクレジットカードがあり、その家族カードを使っている場合は家族カードが使えなくなりますのでカード払いにしているものがあれば注意が必要です。
また、家族が破産者の借金の保証人になっている場合は、代わりに返済義務を負うことになります。高額な借金なら家族も自己破産に追い込まれる恐れがあります。
自己破産をするとブラックになるためローン審査に通ることはできませんし、借金の保証人になることもできません。子どもが奨学金を借りることを検討した場合も保証人になることができないので、他に保証人を探す必要があります。
家族に影響が出ないこともある
自己破産をしても家族に影響しないこともあります。
- 家族名義の預貯金
- 家族名義のクレジットカード
- 結婚
- 就職
- 個人信用情報
自己破産が家族に与える影響を正しく理解し、家族で話し合った上で自己破産を行いたいですね。
自己破産が向いていない人
自己破産には多くのデメリットがあるため、自己破産が向いていない人もいます。
以下に当てはまる方は、他の債務整理手続きを検討してみると良いでしょう。
- 家など失いたくない資産がある
- 借金を家族に知られたくない
- ほかの債務整理でも借金問題を解決できる
- 資格・職業制限に該当する仕事をしている
自己破産をすると一定以上の財産は処分されてしまうため、家を手放したくない人はほかの手続きを検討することをおすすめします。
また、家族に内緒で自己破産をすることは困難ですし、安定した収入があり将来利息のカットなどほかの手続きでも借金を完済できる目途が立つのであれば、自己破産でなく任意整理などの手続きで問題が解決できる可能性はあります。
資格制限に該当していると、職場で不利な状況に陥るリスクもあるため自己破産はおすすめできません。
自己破産のデメリットを避けたいなら任意整理や個人再生という選択肢もある
自分が自己破産に向いていないかもしれないと思ったら、任意整理や個人再生を検討しても良いでしょう。
それぞれの手続きについて特徴やメリット・デメリットを紹介していきます。
遅延損害金や将来利息をカットできる任意整理
任意整理は、裁判所を通さずに債権者と直接交渉をして借金の減額を目指す手続きです。
- 未払い利息、将来利息や遅延損害金のカットを目指す
- 減額後の借金は原則3年で返済する
- 手続きする債権者を選ぶことができる
では、任意整理のメリットとデメリットを見てみましょう。
- 利息がカットできる
- 手続きする債権者を選べる
- 元本だけ返済できるので月々の返済額が一定になる
- 過払い金請求で返還された過払い金を元金に充てることができる
- 家族に内緒で手続きできる
手続きする債権者を選ぶことができるので、保証人がいる借金を省く、住宅ローンを省くなど調整できます。保証人に迷惑をかけることなく手続きできるのが魅力でしょう。
- 事故情報が登録されブラックになる
- 任意整理だけでは元金が減額されない
- 大幅な減額効果は見込めない
- 相手が交渉に応じてくれないことがある
任意整理は利息のカットがメインとなるので、元金そのものを減額する効果はありません。過払い金請求をして元金返済に充てることは可能です。また、債権者が交渉に応じない場合もあり、望むような成果が得られない恐れもあります。
自宅を残したまま大きく借金減額が期待できる個人再生
個人再生は、裁判所から許可を得て借金額を5分の1~10分の1まで減額する手続きです。どのくらい減額できるかについては、借入や資産状況によって異なります。
- 借金を5分の1~10分の1まで減額できる
- 残った借金は原則3~5年で返済する
- 住宅ローン特則を利用すれば自宅を手放さずに済む
では、具体的なメリット・デメリットを見ていきましょう。
- 借金を大幅に減額できる
- 自宅を残したまま借金を減額できる
- 無理のないペースで毎月返済できるようになる
自己破産と違い車や住宅を手放さずに手続きできるため、手続き後も引っ越す必要がないのが最大の魅力です。
- 事故情報が登録されブラックになる
- 保証人が借金を支払うことになる
- 官報に氏名や住所が掲載される
個人再生には官報に掲載されるなど自己破産と同じようなデメリットがあります。また、手続きが煩雑で専門的ない知識やノウハウが必要となるため、専門家の協力が必要不可欠です。
自己破産すべきか判断するポイント
自分は自己破産をした方が良いのかを判断するためには、以下のポイントに該当しているかどうか確認してみてください。
- 返済の見込みがない
- 安定した収入がない
- 多重債務である
- 高額な資産がない
1つでも当てはまる項目があれば、自己破産を検討してみましょう。自己破産には様々なメリット・デメリットがあるので、自己破産を悩んだらまずは弁護士に相談してみることをおすすめします。
自己破産をしても一定の財産を残して生活を立て直すことができる
自己破産で借金を帳消しにする代わりにすべてを失ってしなう、というイメージを持っている方もいるかもしれませんが、自己破産をして失うのは一定以上の財産・資産です。
自宅は失ってしなうかもしれませんが、99万円までの現金、20万円までの預貯金、家具や家電などは手元に残すことができますし、自己破産後に得た収入はすべて自分のものにすることができます。
また、自己破産をすれば保証人に返済義務が移ってしまいますが、保証人でない家族が返済を求められることはありませんし、家族名義の預貯金や保険、クレジットカードなどにも影響は出ません。
人生をリスタートするための手続きであり、決して「終わり」ではありません。自己破産をするとどうなるのか、家族にどのような影響が出る恐れがあるのかを正しく理解することが大切です。