海外旅行保険はクレジットカード付帯保険で十分!一般保険と価値を比較
クレジットカードに付帯している海外旅行保険の有効性については、使える派と使えない派に分かれるところだと思います。
そこで、クレジットカード付帯の海外旅行保険と保険会社の保険を徹底的に比較して、クレジットカード付帯保険の利用価値を検証してみました。
徹底検証した結果、「クレジットカード付帯の海外旅行保険の補償内容は、カードの組み合わせ次第で一般の保険以上にリーズナブルで利用価値がある保険」という結論に至りました。
検証内容を是非ご覧いただき、海外旅行に行く際の参考にしてみてくださいね。
保険会社の保険とカード付帯保険の最大の違いは補償期間と病気の補償
まず、クレジットカード付帯の海外旅行保険と保険会社の海外旅行保険との相違点を見てみましょう。主な違いは以下の3点です。
①補償期間の違い
クレジットカードの海外旅行保険が適用になる期間は出国から90日です。保険会社の海外旅行保険は日数を選択でき、日数によって保険料金が変更します。
②補償対象範囲の違い
クレジットカード付帯保険は疾病死亡に対応していません。病気を患った状態で海外旅行へ行かないことを前提とし、最低限の補償内容に抑えられているからです。
一方で保険会社の場合は、疾病死亡にも対応しています。
③治療費の支払い方法
クレジットカード付帯の海外旅行保険の場合、病院で受診料を一旦立替払いし、帰国後に保険金を請求する必要があるケースが多いです。
一方保険会社の場合、治療費を自己負担する必要なく治療が受けられることが多いです。ですが、クレジットカード付帯保険でもキャッシュレスで治療が受けられるカードもありますので、後ほどご紹介しますね。
この他にも細かな相違点はありますが、それはカードの種類によって異なるケースであり、全てのクレジットカード付帯保険と一般保険と共通の相違点は、上記の3点です。
それでは、上記3点の相違点について詳しく解説していきましょう。
補償期間の違いとは?一般保険も基本は最長3ヵ月
補償期間とは加入している保険が適用される期間のことです。クレジットカード付帯保険の場合は、ほとんどのカードで90日間または60日間となっています。
これに対して一般の海外旅行保険の場合は、旅行期間で加入契約を行いますが、一般的に最長の補償期間は3ヵ月までとなっています。
それを超える長期滞在の場合、留学用や長期出張用の別プラン保険に加入する流れとなります。つまり3泊4日の場合は4日間が補償期間となり、6泊8日の場合は8日間が補償期間となる訳で、最長でも3ヵ月ですからクレジットカード付帯保険と変わらないのです。
補償期間だけを比較すると、通常の海外旅行であれば60日を超えることはありませんから、クレジットカード付帯保険でも十分です。
種類 | 補償期間 | 比較結果 |
---|---|---|
クレジットカード付帯保険 | 90日間or60日間 | 通常の海外旅行であれば十分 |
一般の海外旅行保険 |
最大3カ月 ※旅行期間のみ |
滞在が伸びた場合は別途料金が必要 |
留学・出張用保険 | 最長2年 | 留学・出張の場合は必要 |
出張や留学の場合で90日以内に一旦日本へ戻ってくる場合は、その都度クレジットカード付帯保険が有効となるので、留学・出張用保険よりクレジットカード付帯保険の方が安くて便利ですよ。
クレジットカード付帯保険は病気による死亡の補償なし
保険会社の海外旅行保険では、病気が原因で死亡または後遺傷害に陥った場合の疾病死亡補償があります。疾病死亡補償は旅行中に病気で死亡した場合や、旅行中に発病・感染した病気で帰国後30日以内に死亡した際にも支払われます。
一方で、クレジットカード付帯の海外旅行保険では疾病死亡補償がありません。この違いは、クレジットカード付帯保険が、必要最小限の補償内容で組まれているためです。数あるクレカ付帯サービスのうちのひとつという位置づけです。
保険会社の旅行保険はこれそのものが商品なのですから、手厚いのは当然ですよね。
キャッシュレス診療可能なクレジットカードを選べば立て替え不要
保険会社の海外旅行保険の場合、保険会社が直接病院に支払いをするため、立て替える必要がないものが多いです。
しかしクレジットカード付帯保険の場合、キャッシュレス診療に対応しているカードを選ばないと、現地で立て替えが必要となってしまうのです。
次章で、キャッシュレス診療に対応しているクレジットカード一覧をご紹介しますので、楽しみにしておいてくださいね。
海外での治療費は高額?盲腸で300万円かかることも
海外で事故や病気で病院に掛かった場合、日本での料金とは異なり、とても高額な治療費を請求されます。
例えば海外で盲腸(虫垂炎)になってしまい、手術と入院が必要となった場合の治療費は、安い北京で8万円弱~、ホノルルではなんと300万円も請求されるケースが発生しています。
参考までに、世界の主要都市で盲腸の治療をした場合、どれくらい請求されるかをご紹介しておきましょう。
都市 | 総費用 (円) | 平均入院日数 |
---|---|---|
ホノルル | 3,000,000円 | 2日 |
グアム | 656,900円 | 3日 |
ロンドン | 945,000円~1,350,000円 | 2~3日 |
パリ | 1,089,200円 | 3日 |
シンガポール | 1,110,500円~1,676,600円 | 2日 |
オーストラリア (ゴールドコースト) |
800,000円 | 3日 |
北京 | 77,800~1,556,000円 | 3~7日 |
このような高額な請求をされる可能性があることを思うと、やはり海外旅行保険には加入しておきたくなりますね。
人気のエイチ・エス損保ネット保険VS横浜インビテーションカード
それではここで、人気の海外旅行保険「エイチ・エス損保ネット保険」と、年会費無料の横浜インビテーションカードの海外旅行保険の補償額を比較してみましょう。
内容 | エイチ・エス 損保ネット |
横浜 インビテーションカード |
---|---|---|
傷害・疾病治療費用 | 1,000万円 | 200万円 |
傷害死亡 | 1,000万円 | 2,000万円 |
後遺障害 | 1,000万円 | 80万~2,000万円 |
疾病死亡 | 1,000万円 | 無し |
賠償責任 | 1億円 | 2,000万円 |
携行品損害 | 30万円 | 20万円 |
航空機寄託手荷物遅延 | 10万円 | なし |
救援費用 | 1,000万円 | 200万円 |
保険期間 | 10日間 | 90日間 |
保険料もしくは年会費 | 3,450円 | 無料 |
エイチ・エス損保ネットの保険料は、旅行エリアやプランによって変更します。上記は「P1」プランで旅行先をハワイで設定した場合の保険料です。
クレジットカード付帯保険の注意すべき補償内容はココ
クレジットカード付帯保険で注意すべきことは以下の4点です。
- 「最高2,000万円」など、死亡補償の最高額に惑わされてはいけない
- 死亡・後遺傷害補償だけでなく、傷害・疾病治療が補償されることが重要
- 傷害・疾病治療補償額が多いことが重要
- キャッシュレス診療に対応していることが重要
これら4点は、クレジットカード付帯保険を考える上で最も重要なことで、特に「最高○○万円の海外旅行保険が付帯」などの金額だけに惑わされてはいけません。
最高額は死亡・後遺障害の補償額であることが多いのですが、重要なのは傷害・疾病治療補償が付帯しているか、その補償額は十分であるか、そしてその支払いは自己負担しなくて良いか、ということなのです。
これらを踏まえた上で、クレジットカード付帯保険と一般の海外旅行保険のどちらがお得か、詳しく検証を行ってみましょう。
自己負担ゼロ!クレジットカード付帯保険でもキャッシュレス診療可能
クレジットカード付帯保険にもキャッシュレス診療が適用となるカードが存在します。キャッシュレス診療とは、現地で医療費を自己負担しなくてよいサービスのことです。
保険会社の海外旅行保険はキャッシュレス診療に対応したものが多いですが、クレジットカードの付帯保険の場合はそうではありません。
キャッシュレス診療が適用となるクレジットカード一覧
そこで、キャッシュレス診療が適用されるクレジットカードと、疾病・傷害治療費の補償額一覧をまとめました。
カード名称 | 年会費 | 疾病傷害治療費 | 付帯条件 |
---|---|---|---|
エポスカード | 無料 | 疾病:270万円 傷害:200万円 |
自動 |
ミライノカードゴールド | 3,300円(税込) 年間100万円以上の 利用で次年度無料 |
各500万円 | 自動 |
セゾンゴールド・アメリカン・エキスプレス・カード | 初年度無料 次年度11,000円(税込) |
各300万円 | 自動 |
リクルートカード | 無料 | 各100万円 | 利用 |
JCB CARD R | 無料 | 各100万円 | 利用 |
横浜インビテーション | 無料 | 各200万円 | 自動 |
三井住友カード(NL) | 無料 | 各50万円 | 利用 |
JAカード | 次年度1,375円(税込) | 各200万円 | 自動 |
MileagePlus セゾンカード |
1,650円(税込) | 各300万円 | 自動 |
JTB旅カード VISA/マスター |
1,760円(税込) | 各150万円 | 自動 |
JTB旅カードJMB(JCB) | 2,200円(税込) | 各150万円 | 自動 |
VIASOカード | 無料 | 各100万円 | 利用 |
セディナカードクラシック | 1,100円(税込) | 各100万円 | 利用 |
大丸松坂屋カード | 初年度無料 次年度2,200円(税込) |
各50万円 | 自動 |
JCB CARD EXTAG | 無料 | 各100万円 | 利用 |
JCB一般カード | 初年度無料 次年度1,375円(税込) |
各100万円 | 利用 |
JCBゴールド | 初年度無料 次年度11,000円(税込) |
各200万円 | 自動 |
ベルメゾン メンバーズカードVISA |
無料 | 各50万円 | 利用 |
SuMi TRUST CLUB エリートカード |
3,300円(税込) | 各150万円 | 利用 |
ANAワイドカード | 7,975円(税込) | 各150万円 | 自動 |
カード付帯保険のキャッシュレス診療を受けるための手順
キャッシュレス診療が適用されるクレジットカードが判ったところで、キャッシュレス診療を受ける際の手順と必要な書類、注意点をお伝えしますね。
キャッシュレス診療を受けるための手順
1:カード会社の緊急デスクに連絡
↓
2:カード会社がカード番号や有効期限など会員情報を照合(会員資格の確認)
↓
3:緊急デスクに診療の予約をしてもらう
↓
4:デスクに案内された病院へ行き、受付
↓
5:診療
- パスポート
- クレジットカード
- カード利用明細
- (利用付帯のカードに限り必要)
注意点
・利用付帯条件のカードの場合は、バス・タクシー・電車・船舶・飛行機をカード利用した際のカード利用控えが必要なこと。
・ツアー料金を支払って利用付帯を適用させている場合は、旅行前に利用控えを受け取っているはずなので、控えを忘れずに携帯しておくこと。
・上記のカード利用控えがないと、保険適用が認められないケースもあるので要注意。
・キャッシュレス診療が適用される病院が近くにない場合もある。
補償額は合算可能!海外旅行保険で選ぶおすすめのクレジットカード
海外旅行には複数枚のクレジットカードを持って行くことも、カード利用の基本となっています。理由は、海外でよく起きるカードトラブルに対処するためです。
国際ブランドの異なる複数のクレジットカードを持って行くことで、トラブルに対応することが可能となりますよ。
付帯保険の死亡・後遺障害補償は複数の保険中、最高額が適用となる
クレジットカード付帯保険の補償内容の内、死亡補償と後遺障害補償については、複数の保険に加入していても、その中で最も高額な保険のみが適用されます。
カード名称 | 死亡・後遺障害補償額 | 傷害・疾病治療補償額 |
---|---|---|
エポスカード | 500万円 | 疾病:270万円 傷害:200万円 |
JCBカードゴールド | 1億円 | 各300万円 |
横浜インビテーション | 2,000万円 | 各200万円 |
3枚の合算 | 1億円 | 疾病:770万円 傷害:700万円 |
上記一覧表は先のキャッシュレス診療が適用となるカード一覧の中から、3枚のカードを抽出してあります。
この3枚のカードの保険を利用した場合、適用となる死亡・後遺障害補償額は「セゾンゴールド・アメリカン・エキスプレス・カード」の5,000万円が最も高額なので、この保険の5,000万円のみが適用となります。
死亡・後遺障害以外の補償は合算でき、補償を手厚くできる
複数クレジットカードを所持していると、死亡・後遺障害補償以外の補償額は、加入している全ての補償が合算して支払われることとなります。
先の一覧表から見ると、3枚の傷害疾病補償額を合計すると疾病で770万円、傷害で700万円となりますよね。合算する事によって補償額が手厚くなりました。
- 死亡・後遺障害補償以外は、全ての補償金額を合算できる
- 上記3枚のカード補償を合算すれば最高770万円になる
- ただし、770万円全て支払われるのでなく、請求された医療費のみ支払われる
ここでよく勘違いされる注意点をお伝えすると、最高額である770万円全てもらえるのではなく、最大で770万円まで補償されるということです。
もしも治療費1000万円かかった場合、30万円は自己負担となるわけです。
保険強化におすすめ!年会費無料で充実補償が自動付帯のカード
それではここで、年会費無料で充実した海外旅行保険が自動付帯し、なおかつキャッシュレス診療に対応している3枚のおすすめカードをご紹介しておきましょう。
年会費無料で海外旅行保険が自動付帯しますから、合算によって補償額を充実させる為に一押しのクレジットカードです。
また、これからご紹介するカードは優待が豊富なクレジットカードですから、旅行以外の日常でも大活躍してくれますよ。
年会費無料で充実した海外旅行保険付帯!エポスカード
エポスカードは、年会費が無料で海外旅行保険が自動付帯の上、キャッシュレス診療に対応しています。海外旅行保険で重要な傷害・疾病治療補償額が充実しているため、保険強化のサブカードとして大活躍しますよ。
また、レジャー施設の割引や飲食店での割引など全国10,000店舗以上の優待サービスが利用できる点も魅力的です。
エポスカードは旅行以外にも日常生活がお得に楽しめるカードですから、是非持っておきたいところですね。
エポスカードは最短即日発行にも対応していますから、カード発行をお急ぎの方にもおすすめですし、旅行前の駆け込み申し込みもOKです。
年会費無料で充実した海外旅行保険付帯!横浜インビテーションカード
横浜インビテーションカードも年会費無料で作れて、充実した海外旅行保険が自動付帯するカードです。キャッシュレス診療にも対応しています。
このカードもREX CARD同様23万件以上施設で優待が利用できます。年会費が無料という事もあって、保険強化のサブカードとして人気の1枚となっています。
旅行保険の補償額を少しでも手厚くしておきたい方に、おすすめの1枚ですね。


年会費無料で海外旅行保険が充実しているクレジットカード補償額
ここで、年会費無料で海外旅行保険が自動付帯する3枚のカードの合算金額(補償金額)もご紹介しておきましょう。合算によって補償額が強化された分、とても無料とは思えないほどの充実した補償になりますよ。
内容 | エポス カード |
横浜インビテーション | 2枚 の合算 |
---|---|---|---|
死亡・ 後遺障害補償 |
500万円 | 傷害死亡2,000万円 後遺障害80~2,000万円 |
2,000万円 |
傷害治療補償 | 200万円 | 200万円 | 400万円 |
疾病治療補償 | 270万円 | 200万円 | 470万円 |
賠償責任補償 | 2,000万円 | 2,000万円 | 4,000万円 |
携行品損害補償 | 20万円 | 20万円 | 40万円 |
救援者費用 | 100万円 | 200万円 | 300万円 |
保険期間 | 90日間 | 90日間 | 90日間 |
年会費 | 永年無料 | 永年無料 | 永年無料 |
付帯条件 | 自動 | 自動 | 自動 |
同行する家族も補償!家族旅行にはJCBカードゴールド
保険会社の海外旅行保険では、4人家族(ファミリープラン)でハワイに10日間出かける場合、1万円~3.5万円ほど(保険会社や補償額による)かかります。
ご家族で旅行を楽しむなら、同行する家族の方も一緒に補償されるクレジットカードの方が、家族分の保険料を抑えられるため断然お得ですね。
その中でも海外旅行に行く機会が多い方なら、同行する家族の方も充実した補償を受けられるJCBカードゴールドが一押しです。
JCBカードゴールドなら本会員だけでなく同行する家族の方もキャッシュレス診療に対応していて安心です。
年会費も初年度無料、次年度以降11,000円(税込)とリーズナブルですよ。また、空港ラウンジサービスや手荷物無料宅配サービスなど旅行に役立つサービスが利用できる上に、ショッピング保険も付帯しますから安心してお買い物も楽しめます。
更にJCBは様々な国の店舗を優待価格で楽しめるなどの「たびらば」特典がありますので、海外旅行をかなりお得に楽しむことができます。
最短当日発行翌日届けのサービスが展開されていてカード発行もとても早く、旅行前の駆け込み申し込みもOKですね。
家族特約の付いたセJCBゴールドと、年会費無料のエポスカードを組み合わせると、次のように家族の補償も加わりお得になります。
内容 | JCBカードゴールド | エポスカード | 左記カード合算 |
---|---|---|---|
傷害 疾病治療費用 |
【本人】 300万円 【家族】 200万円 |
【本人】 傷害200万円 疾病は270万 【家族】なし |
【本人】 傷害500万円 疾病470万円 【家族】 200万円 |
傷害死亡・後遺障害 | 【本人】 1億円 【家族】 1,000万円 |
【本人】 500万円 【家族】 なし |
【本人】 1億円 【家族】 1,000万円 |
賠償責任 | 【本人】 1億円 【家族】 2,000万円 |
【本人】 2,000万円 【家族】なし |
【本人】 1億2万円 【家族】 2,000万円 |
携行品損害 | 【本人】 50万円 【家族】 50万円 |
【本人】 20万円 【家族】なし |
【本人】 70万円 【家族】 50万円 |
救援費用 | 【本人】 400万円 【家族】 200万円 |
【本人】 100万円 【家族】なし |
【本人】 500万円 【家族】 200万円 |
年会費 | 11,000円(税込) | 無料 | 11,000円(税込) |
複数のクレジットカードを持っていれば補償額を手厚くできるだけでなく、1枚目が磁気不良などで使えなくても2枚目で支払いができるなどメリットがたくさんありますよ。
クレジットカードの海外旅行保険とはどんなもの?現地での活用術
外国で予想外のトラブルに遭遇してしまった場合、誰だってどうしていいか判らなくなることは容易に想像がつくでしょう。そこで万が一の時にはどうすればいいのか、クレジットカードの機能に沿って解説します。
海外旅行先では言葉が通じないことが一番困る
海外旅行先で何が一番困るかといって、やはり現地では言葉や勝手が通じないことです。例えばもしもあなたが外国でこうなったとき、具体的にどう動けばいいか分かるでしょうか?
- 転んで足を挫いてしまった
- 子供が発熱したので病院で診てもらいたい
- 持病の薬を処方してほしい
国内でならすぐに解決できることも海外ではそうはいきません。こういった現地でのトラブルにこそ役立つのが、クレジットカードなのです。クレジットカードは、海外でのショッピングやキャッシングに便利なだけではないんですね。
クレジットカードには海外サポートサービスがついている
クレジットカードでトラブルに対応できるのは、大抵のカードには以下2種類のサービスが付帯するからです。
- 日本語によるサポートデスク
- 海外旅行傷害保険
海外に不慣れな方も、日本語対応の窓口で相談すれば、とりあえずどうすればいいかがわかるでしょう。またかかった費用についても、カードに付帯している保険がカバーしてくれます。
海外旅行保険には自動付帯と利用付帯がある
クレジットカードに付帯する海外旅行保険は、正式には「海外旅行傷害保険」ですが、ここでは判りやすく「海外旅行保険」と呼ぶことにしますね。
先ず知っておいて頂きたいのは、付帯保険には「自動付帯」と「利用付帯」という2種類の付帯条件が存在することです。一言に海外旅行保険と言っても、クレジットカードによって自動付帯と利用付帯の2種類があるんですね。
付帯条件を理解していないと保険適用されないことがあるので注意
両者の違いをちゃんと理解していないと、せっかくの保険が適用外になるので注意が必要です。
- 自動付帯:クレジットカードを持っているだけで適用される
- 利用付帯:旅行費用にカードを使えば適用される
自動付帯については特に意識しなくても大丈夫ですが、利用付帯の方は、交通費や旅行会社のツアー料金をカードで支払うことで、初めて保険が有効になります。
クレジットカード海外旅行保険の選び方にご注意!治療補償が重要
でもクレジットカードによって異なるのは、保険の付帯条件だけではありません。海外旅行保険の補償内容や補償額もそれぞれ違います。ではどのような基準で保険を選べばよいのでしょう?
旅行保険で代表的なのが死亡補償ですが、実はこの金額はさほど重要ではありません。その理由をこれから詳しくご説明しましょう。
最高額に騙されてはいけない!死亡保障よりも病気やケガの治療費が重要
死亡・後遺障害の補償額がそれほど重要でない理由とは、海外での事故といっても、ここまで最悪の事態になる確率はかなり低いと考えられるからです。
また死亡保険は一般の生命保険でも補償されますから、カード付帯の海外旅行保険だけに頼る必要はありません。
旅行先では怪我や病気になる確率の方がずっと高くなりますし、その際の治療費にこそ補償が必要なのです。
なぜなら、現地では予想外の費用を請求されるケースが少なくないからです。これは海外では保険がきかないことと、診療システムが日本とは異なるためです。
その結果、国内では健康保険で数千円程度で済む治療も、海外では10倍以上もの費用に跳ね上がってしまうんですね。これでは海外旅行保険でカバーしないと、大変なことになってしまいます。
こういった理由から、カード付帯の海外旅行保険は、死亡・後遺障害よりむしろ「疾病治療費用」や「傷害治療費用」を重視すべきなのです。
海外旅行保険には治療費用以外にも様々な補償がある
では、クレジットカードに付帯している海外旅行保険には、具体的にどのような補償があるのかをご説明しましょう。
補償種類 | 補償内容 |
---|---|
1:死亡・後遺障害 | 旅行中の事故による死亡、後遺障害が残った場合に補償 |
2:疾病治療費用 | 旅行中に病気になった場合の治療費を補償 |
3:傷害治療費用 | 旅行中のケガによる治療費を補償 |
4:損害賠償責任 | 他人にケガを負わせたり財物を壊した場合の賠償責任を補償 |
5:携行品損害 | デジカメなどの携行品の盗難を補償 |
6:救援者費用 | 家族などの旅費や捜索費を補償 |
海外旅行保険には、持ち物が壊れたり、他人に損害を与えた際の補償も含まれていることがわかりますね。補償項目はクレジットカードによっても異なりますが、こういった補償もついていればより安心でしょう。
怪我や急病以外の補償も重要ポイント
なお6番目の「救援者費用」とは、家族が現地へ駆けつける際の旅費や滞在費の補償ですが、救急活動や医師の付き添いの費用もここに含まれます。
ヘリ搬送など数千万円以上の請求を受けるケースもあるといいますから、これも決しておろそかにできない補償の一つです。
ただクレジットカードの種類によって補償内容は異なりますし、そもそも海外旅行保険そのものが付帯していない場合もあります。カードを選ぶ際には、項目や金額まで内容をよく確認してくださいね。
クレジットカードの海外旅行保険補償額は合算できる
先にご案内した通り海外旅行保険は複数合算することが可能です。つまり年会費の高いゴールドカードを選ばなくても、海外旅行保険については年会費無料のクレジットカード2枚でカバーすることも可能な訳です。
以下、海外旅行傷害保険の「疾病治療費」を例にとってもう1度考えてみましょう。
- ゴールドカードの疾病治療費:400万円
- 年会費無料Aカードの疾病治療費:200万円
- 年会費無料Bカードの疾病治療費:200万円
ゴールドカードの海外旅行保険の疾病治療費は400万円ですが、一方で年会費無料のAカードとBカードはその半額の200万円の補償しかついていません。
でもAカードとBカードの両方を持っていればどうでしょう?この場合、ゴールドカード1枚持っている人と、A・B2枚のカードを持っている人の「疾病治療費」の補償は同額となります。
これは保有するクレジットカードの付帯保険は合算が可能だからです。なお保険の合算は、クレジットカード付帯保険だけでなく一般加入の保険でも可能です。
死亡・後遺障害の補償額は合算されない
なお死亡・後遺障害の補償額については、複数のクレジットカードを持っていても合算されず、いずれか1つの最も高い補償額が限度されます。
- Aカードの死亡/後遺障害の補償額:5,000万円→高い方が適用される
- Bカードの死亡/後遺障害の補償額:2,000万円
例えば上記の2枚のカードを持っている場合、死亡・後遺障害の補償額はA+Bの7,000万円では無く、高額なAカードの5,000万円が上限です。
また同じカード会社の付帯保険だと、基本的に補償額を合計することは出来ません。カード会社によって異なる保険の引き受け会社についても、事前に下調べが必要です。
付帯保険の合算には「付帯条件」が重要ポイント
さて、ここで思い出して頂きたいのが冒頭で少し触れた「付帯条件」です。クレジットカードを複数枚持っていれば、その枚数分の補償額を合算することが出来ますが、その為には全ての保険が適用される状況になっていることが必要です。
年会費無料のクレジットカードが利用付帯だった場合、以下のように全てのクレジットカードの保険を有効にしなくてはなりません。
- Aカードでツアー料金を支払う:Aカードの付帯保険が有効になる
- Bカードで電車の切符を購入:Bカードの付帯保険が有効になる
- Cカードでタクシー料金を支払う:Cカードの付帯保険が有効になる
先ほどご紹介したエポスカードの保険は自動付帯なので、保険を有効にするためにカードを使う必要はありません。自動付帯の保険が便利だというのは、こういった理由があるからです。
利用付帯の保険も少し面倒ですが、このように条件さえクリアすれば保険は適用されます。
海外での事故はとにかくカード会社に連絡を
保険が有効になってさえいれば、万が一のことが起こっても補償がおりますが、保険金を受け取るには必ず届出などの手続きが必要です。
保険関連の手続きには保険会社に連絡を入れますが、旅先ではとりあえずカード会社のサポートデスクに電話をかけるとだけ覚えておきましょう。
カード会社がちゃんとサポートしてくれますし、保険に関しても適切な指示を受けることができます。
海外旅行時のトラブルには保険のことを忘れずに
海外旅行前には、是非以下のことをチェックしておいてくださいね。
- クレジットカードの緊急連絡先は必ず控えて持参すること
- 海外でのトラブル時にはすぐカード会社に連絡すること
- 保険適用に必要な書類についても教えてもらうこと
- クレジットカードの利用控えは必ず保管しておくこと
旅行時のトラブルは対処だけで精一杯でしょうが、保険のことも忘れないでくださいね。特にクレジットカードの利用控えは、カード会社への証明書類として必要となるもの。捨てたり無くしたりしないできちんと保管しておきましょう。
なおサポートは一般に電話での対応となりますが、先にご紹介したJCBゴールドの場合、現地のJCBプラザラウンジを利用しても構いません。
複数のクレジットカードで旅行中の不意なトラブル・体調不良も安心
複数のクレジットカードを持っていくことが推奨されるのは、旅行先でのカードトラブルに対処するためだけではなく、補償を手厚くするためでもあることをお伝えしました。
複数のクレジットカードを持っていくことで充実した保険に変身させることができるため、クレジットカードの付帯保険でも十分と言えるでしょう。
この点に関してより深く理解するために、海外で起こり得るケースをご紹介していきます。
ケース1 ハワイで急性盲腸炎になり緊急手術を行った
楽しいハワイ旅行。滞在1日目は観光や食事を楽しみ、明日の予定をホテルで確認していた時…急な腹痛に襲われて意識がもうろうと・・・救急車で病院に運ばれ、急性盲腸炎と診断されて緊急手術に!
友人の知らせを受けた家族も病院に駆けつけてくれて、3日間入院してしまった。さて、この場合どれだけの医療費が請求されるでしょう?
対象となる治療等 | 費用 | 補償 |
---|---|---|
救急車利用代 | 5万円 | ○ |
手術・入院・治療費 | 256万円 | ○ |
家族の渡航費 (救援者費用適用) |
137万円 | ○ |
合計 | 398万円 |
ハワイでは救急車は有料となっていますし、治療費も高額です。上記表のとおり家族が心配して現地に駆けつけた場合も含めると、その総額は398万円にもなります。
しかし、複数のクレジットカードを持っていれば全て保険の補償でカバーすることができるのです。
ケース2 旅行の為に購入したビデオカメラが盗まれてしまった
海外旅行で良く起きるトラブルに、デジカメやビデオカメラの盗難が挙げられます。日本製の電化製品は高値で売れるので、日本人観光客がターゲットにされてしまうケースが多いようですね。
ですが、クレジットカード付帯保険に携行品損害補償が付帯していれば、盗難にあったビデオカメラも補償されます。
購入費 | 補償額 | 理由 |
---|---|---|
20万円 | 12万円 |
商品の発売開始時期から計算し、中古価格として補償 されるので、20万円でなく12万円の補償となる。 自己負担額がある場合は負担額を支払う。 |
携行品損害補償の注意点は上記のとおり、購入時の新品価格ではないということです。どんな商品も購入した時点で中古品となってしまいますし、例えば1年型落ちの商品を購入した場合は、その時点で1年分が経過した中古品として計算されます。
ただ、それでも全く補償されないよりはマシですし、1枚のカードでは補償額が10万円でも、複数のカードを合算すれば12万円全額補償されることになりますよ。
クレカ付帯保険と一般保険の補償額は合算できる?
クレジットカードの付帯保険だけでなく、掛け捨ての一般の海外旅行保険に加入していた場合、それぞれの補償はどうなるのでしょう?
クレジットカード付帯保険については、死亡・後遺障害補償以外は合算することが可能でした。
一方、クレジットカード付帯保険と一般の海外旅行保険にも加入していた場合は、全ての補償内容が合算可能です。
補償内容 | クレカ付帯保険 | 一般保険 | 合計金額 |
---|---|---|---|
死亡補償 | 2,000万円 | 2,000万円 | 4,000万円 |
後遺障害補償 | 2,000万円 | 2,000万円 | 4,000万円 |
このように、クレジットカード付帯保険同士では合算できなかった補償も、クレジットカード付帯保険と一般の海外旅行保険とでは、合算することができるようになります。
- 治療費用、賠償責任、携行品損害なども合算することが可能
- ただし、実際の損害金額までしか支払われない
治療費用、賠償責任、携行品損害などの補償も合算することが可能ですが、実際にかかった費用を支払うのみとなります。
つまり、治療費用を全て合算すれば3,000万円となっていても、実際の請求額が500万円であれば、500万円しか支払われないということです。
クレジットカード付帯の海外旅行保険で補償されないケース
クレジットカード付帯の海外旅行保険で、補償されない主なケースも念のために確認しておきましょう。
- 山岳登はん中の携行品損害
- スカイダイビング等の危険な運動中の事故によるケガ
- 妊娠・出産・流産による医療処置やこれらに起因する疾病
- 歯科疾病
- 無免許・酒酔いなどの運転によるケガ
- ケンカ・犯罪行為によるケガ
- 戦争・暴動などの変乱・放射線照射・放射能汚染によるケガや病気
クレジットカード付帯の海外旅行保険だけでなく、保険会社の保険も、妊娠や出産、早産などによって生じた費用は補償されませんので、注意が必要です。
歯の治療費に関しては、クレジットカード付帯の旅行保険は補償対象外です。保険会社の場合、歯科治療もカバーしている商品は保険料も高額になりますから、海外旅行前に日本で虫歯などの歯の治療は済ませておきましょう。
ちょびっとコラム!海外旅行保険の補償期間を90日間以上にする裏技
クレジットカード付帯の海外旅行保険では、補償期間が90日間であることがほとんどです。しかし、それを90日以上にする裏技があるんです。
クレジットカードの保険は「自動付帯と利用付帯」の二通りに分類されます。自動付帯とはそのクレジットカードを持っていれば、いつどんな状況で海外旅行に行っても、保険が適用となる条件を言います。
利用付帯とは、そのクレジットカードを旅行前または、旅行中に「公共交通乗用具」と呼ばれているバス・タクシー・船舶・電車・飛行機のいずれかの乗り物を利用し、その料金を保険が付帯するカードで支払うことで保険が適用となります。
最も簡単な方法としては、ツアー料金をカードで支払っておけば利用付帯条件をクリアすることができますよ。
当然、利用付帯よりも自動付帯の方が便利であることは直ぐ判りますが、実はこの利用付帯の条件を上手く利用すれば、カードの枚数分×90日間の補償期間とすることが可能になるのです。
【クレジットカード付帯保険の補償期間を延ばす裏ワザ】
ほぼ同じ補償内容のクレジットカードを3枚用意する
(滞在先で利用するカードは必ず利用付帯の保険であること)
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旅行前に電車の切符をクレジットカード払いして、利用付帯を発動させる
↓
滞在先で87日~89日目に電車・バス・船舶・タクシー・飛行機のいずれかをクレジットカード払いで利用する
↓
この時点で2枚目のカードの保険が発動
↓
3枚目も同様に保険を発動させる
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結果、1枚90日×3枚=MAX270日間の補償期間が確保できる
※実際は重複期間が6日~4日あるので266日間
この技を使えば、カード枚数分付帯保険の補償期間を、延長させることができるのです。ただ、海外旅行の場合であれば、90日間を超えることは無いはずなので、あまり使うシーンはないでしょうね。留学や出張の場合だと、有効な手段にはなるでしょう。
改めて記事を読んでみると、複数のクレジットカードを持っていく重要性がお分かりいただけると思います。
複数のクレジットカードを所有する際のメリットとデメリットをご紹介した記事も合わせてご確認くださいね。
1枚のみでは不安!複数のカードで海外旅行保険は十分利用できる
クレジットカード付帯保険と一般の海外旅行保険を比較検討した結果、クレジットカード付帯保険のみでも、十分に海外旅行保険としての利用価値があることが分かりました。
ただ、1枚のみのクレジットカード付帯保険と比較すれば、一般の海外旅行保険に軍配はあがりますが、複数のクレジットカードを利用することで、最も懸念される海外での高額な疾病治療にも対応できます。
唯一、疾病死亡だけはクレジットカード付帯保険ではカバーできないものとなりますが、利用する確率は極めて低いので、問題にはならないと思います。
記事内で紹介してきた付帯保険の内容や補償額を参考に、ご自身にとって最強となるクレジットカードの組み合わせを選んでくださいね。





